IN/OUT (2024.12.15)

気がつけば、12月も中旬。冬の矢野顕子強化月間 & 上原ひろみ嬢祭りも終盤戦です。


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「上原ひろみ Hiromi's Sonicwonder JAPAN TOUR 2024」 @ 大宮ソニックシティ 大ホール24.12.8

大宮ソニックシティ先週のアクトシティ浜松に続いて、上原ひろみのプロジェクト” Hiromi's Sonicwonder”の公演を観に、大宮ソニックシティに行ってきた。

が、この日、夕方に抜けられない会議があり、早くても18時30分頃まではかかりそう。一方、コンサートの開演も18時30分。ということで、空き時間の内に移動し、大宮駅構内のStation Booth(JR東日本が運営している個室ブース型シェアオフィス)に籠もって会議に参加。ありがとう、Microsoft Teams!。予想通り、18時30分過ぎまで会議はかかったが、そこから会場までは5分ほど。ホールに入った時点で2曲目「Utopia」の演奏中。扉の近くで立ったまま鑑賞し(スタンディングで聴くのも悪くない)、演奏終了後、座席へ移動。

ここで、MC。開口一番「大宮 ソニック… ワンダー」と呟くひろみ嬢。楽屋で思いついてしまったらしい。大宮ソニックシティは初めてで(私もだ。キャパ 2,500席の立派なホール)、大宮は「鉄道博物館」を訪れたことがあるだけ、とのこと。

ここから、怒濤の演奏が続く。セットリストは浜松と同じだが、当然ながらあちこち新工夫があって、エキサイティング。ひろみ嬢の超絶技巧と圧倒的熱量は、観る度に、その凄さの印象が上書きされ「今回が1番だ!」と感じてしまう。特に、今日は、休憩開けの「Polaris」が、個人的には素晴らしく響いた。あと、浜松では、昨年と比べたら控え目かも、と感じた「Up」終盤のGene Coyeのドラム・ソロが、サービスたっぷりの長尺。そして、そこから4人揃った演奏が始まる瞬間のカタルシス!

もちろん、新曲「YES! RAMEN!!」も、アンコールのソロ「The Tom and Jerry Show」も、そして最後のご陽気「Bonus Stage」も、全てが素晴らしく、冒頭の「XYZ」こそ聴き逃したものの、駆けつけることができて、本当に良かったのである。


”The Monk and the Gun”24.12.14

ヒューマントラストシネマ有楽町ブータン映画を観てきた。ほのぼのとした佳作 "Lunana: A Yak in the Classroom(ブータン 山の教室"の、Pawo Choyning Dorji監督の新作である。邦題は「お坊さまと鉄砲」

舞台は、2006年。国王の近代化の決意の下、それまでの絶対君主制から立憲民主制に移行しようとしているブータン。国民のほとんどが、民主主義という概念すら知らないこの国で、初めての選挙に向け、まずは、模擬選挙が行われることになる。そのための準備が進む中、山間の村で修行をしていた高僧は、その模擬選挙の日までに、銃を用意するよう、弟子に指示する。一体、何に使うのかは分からないが、そこは信仰の篤いブータン。高僧の指示とあれば、若い僧は必至に銃探しに奔走する。一方、同じ時、米国人の銃コレクターが、希少な骨董品の銃を探しに村にやってきて…。というお話。

いささか、ブータンを美化し過ぎのきらいはあるが、こんな話がリアリティを持つのは、さすがはブータン。村の風景も、そこに暮らす人達も、本当に純朴で美しい。資本主義にまみれた人物のように見える米国人の銃コレクターと、彼をガイドするブータン人の若者ですら、最終的には、悪い人では無いのだ。これが、もっと前に作られた映画なら、素敵な現代のお伽噺で終わっていたかもしれない。

しかし、民主主義がポピュリズムと陰謀論に毒され、選挙の有効性が揺らいでいる今、この映画が訴えかけるのは、とても真摯なメッセージだ。最後に明らかになる、高僧が銃を求めた理由が、実に深く、示唆に満ちている。ここまでタイムリーなメッセージを持っている映画だとは思っていなかった。

もちろん、そうしたメッセージを抜きにしても、その風景と、愛すべき登場人物を見ているだけで、心洗われる映画でもある。お勧め作だ。


「モネ 睡蓮のとき」@ 国立西洋美術館24.12.14

国立西洋美術館 Claude Monetの展覧会を観に、国立西洋美術館に行ってきた。彼の晩年の芸術を中心に、67点。その内 1/3は「睡蓮」がタイトルに付いた作品だ。日本においては過去最大規模のMonet展である。

国立西洋美術館気合いの入った入り口から展示室内へ。冒頭から見応えのある作品が惜しげも無く展示されている。そして、石田ゆり子によるオーディオ・ガイド(いささか抒情的過ぎる気はしたが)も含め、全てが「睡蓮の大装飾画」に集約していくような見せ方は、迫力がある。

晩年のMonetの作品は、それまでの、光を繊細に捉えた印象派らしい作風から、どんどん、色使いは激しくなり、物の輪郭は曖昧になり、ほとんど抽象画のようになってくる。白内障の影響が大きいという事だが、それでも創作を続けた芸術家の凄みが伝わってくる。

ということで、人気になるのも納得の、充実した展覧会なのだが、館内、大混雑である。この日も、前売り券は持っていたものの、入場まで30分間の行列(来週からは、日時指定のチケットが導入されるそうだ)。中に入っても、人気の絵の前は二重三重の人垣である。

国立西洋美術館 唯一、写真撮影が許可されている「第3章 大装飾画への道」の展示室は、大判の睡蓮の絵で楕円形の部屋の壁面を覆うという趣向。部屋の中央に立って、ぐるっと睡蓮に囲まれる没入感を体感したいところだが、この混み具合では、それも叶わない。朝の開館直後とか、夜の閉館間際(金・土曜日は21時まで開館している)を狙った方が良かったかな。



地球温暖化だ、猛暑の夏だ、と言っても、さすがに12月中旬ともなると、寒くなりますね。