IN/OUT (2023.11.26)

1年ぶり5回目のコロナ・ワクチン接種をしてきました。過去4回がモデルナ製で、今回は初のファイザー製。そのせいか、接種後の発熱は無し。楽に済んだのはありがたいものの、多少の副反応が有った方が効いた気がして良いかも、という感じもする、今日この頃です。


in最近のIN

"Reality"23.11.23

FBIの実際の尋問音声記録を、ほぼリアルタイムで再現した映画を観てきた。タイトルは、主人公の名前。2017年、ロシアの大統領選介入に関する報告書をメディアにリークし「第2のスノーデン」といわれた、米国家安全保障局(NSA)の契約社員 Reality Winnerである。

Realityを演じるのは、Sydney Sweeney。買い物帰り、家の前で車を降りようとするところで、二人のFBIエージェントに話しかけられる。その喋り方は、あくまでも紳士的でフレンドリー。しかし、彼らは令状を持っており、自宅と車を調べるという。全ての台詞は、FBIの音声記録のまま。後で、要らぬ言質を取られないようにコントロールされたエージェントの一言一言が、巧みというか、怖いというか。

一方、Realityの方も、徐々に、単なる無邪気な女性では無いことが見えてくる。決して、あからさまな圧力は掛けられていないが、エージェントの言葉が、ジワジワと彼女を追い込んでいく。国家権力に対して個人が出来る抵抗は、ほとんど意味を成さないのだ。アクション無しの会話劇だが、独特のサスペンスが高まる。見事な演出と演技だ。

映画のラストでは、この事件のTV報道の様子も描かれる。彼女を危険人物として誇張した伝え方や、政府機関の内部からの情報リークという事象を煽情的に採り上げ、ロシアの大統領選介入という問題が後回しにされる様子など、報道の偏りの怖さも見せつけられる。

83分間、緊張感が持続する、骨太の社会派作品だと思う。一方で、日本人的には、Realityの私物からうかがえる、彼女が「ナウシカ」や「ハローキティ」好きという点も見逃せない。


「上原ひろみ Hiromi's Sonicwonder JAPAN TOUR 2023 "SONICWONDERLAND"」@アクトシティ浜松 大ホール23.11.25

アクトシティ浜松上原ひろみの新プロジェクト” Hiromi's Sonicwonder”の公演を観に、浜松に行ってきた。故郷での凱旋公演である。私は、前日の、豊橋での矢野顕子のさとがえるコンサートと併せての東海ツアー。

Hiromi's Sonicwonderのメンバーは、上原ひろみ(piano & keyboards)、Hadrien Feraud(bass)、Gene Coye(drums)、Adam O’Farrill(trumpet)の4人。トランペットが入っているところが新機軸。また、Hadrien Feraudは、2016年の上原ひろみ ザ・トリオ・プロジェクトのツアーで、体調不良で降板したAnthony Jacksonの代打として参加していたベーシストだ。

ステージ向かって左から、ピアノ、トランペット、ベース、ドラムスの順で並び、新アルバムの1曲目「Wanted」から演奏開始。やはり、主旋律をピアノだけで無くトランペットが担う局面が多いのが新鮮だ。Adam O’Farrillは、ジャズ系のトランペッターと言えば、まず想像するハイノート・ヒッターとは対極で、時にエフェクトを効かせた多彩な音色を操る技巧派だ。しかも、トランペットを片手で持って演奏しながら、同時に、(足では無く)左手でエフェクターを操作している。こういうプレイをする人、初めて観た。

ひろみ嬢は、ピアノの他に、キーボードを2台駆使して、きらびやかで、攻撃的なシンセ・サウンドを多用するのが、このプロジェクトでの特徴だ。それでも、ここ一番という場面ではピアノがメインになる。やはり、ピアノの可能性を信じていて、かつ、それを最大限に引き出すテクニックを持っているのだと感嘆。この二人がたっぷりインプロヴィゼイションを披露した後、4人が揃った演奏に入る瞬間のカタルシスや、まさに、この日、この場所でしか味わえない、ライヴの醍醐味。

一方、個性的な二人を支えるリズム隊は、派手さは無いが、的確なサポートというのが、第一部での印象だった。しかし、休憩を挟んで第二部になると、その印象は一変。まずは、Hadrien Feraudが情感たっぷりのソロを聴かせる。そして、続く「Up」が。この日の演奏の白眉。元々が、超絶カッコ良い曲なのだが、ひろみ嬢のインプロヴィゼイションの後、4人がバシッと決めて、凄い!となった直後から、Gene Coyeのドラムス・ソロが始まる。これがかつて聴いたことが無いタイプ。まず、音が小さい。小さい音を巧みにコントロールしつつ、たまにグッと盛り上げるのだが、また小音量に戻る。そして、長い。正直、流石に長過ぎだろうという空気が、私だけで無く、会場全体に拡がる感じ。しかし、悠然とソロを続けるGene Coye。そして、気がつくと、会場から合いの手を引き出し、観客と一体となったドラムス・ソロになだれ込むという展開。そこから、また、4人の演奏になったときの昂揚感たるや、もう、筆舌に尽くしがたし!

アンコールは、しっとりしたひろみ嬢のソロ「Blue Giant」。そして、4人揃って、本編での緊迫感が嘘のように、ご陽気な「Bonus Stage」の演奏で大団円。浜松公演恒例の、ひろみ嬢のシャウト「浜松、サイコー!」で、全編終了。観ていた我々にとっても、浜松、最高!だったのである。


浜松散策23.11.25

浜名湖浜松で2泊するスケジュールだったので、真ん中の土曜日は、夕方のライヴ開催まで空き時間。これまで、浜松は何度か訪れているのに、浜名湖には行ったことが無かったので、遊覧船に乗ってみることにした。

浜松駅前からバスで50分ほど。浜松市立動物園の近くにある遊覧船乗り場から乗船。30分強かけて奥浜名湖を軽く周航。正直、それほど見所が有る訳では無い。お子様達は、ユリカモメにかっぱえびせんをあげるというプチ・イベントで喜んでいたようだが、そこには近寄らず。まぁ、巨大な水面を眺めるだけで、心を穏やかにする効果はある。

浜松市楽器博物館その後、市内に戻り、しっかりめのランチを食べ、結局、いつもの浜松市楽器博物館へ。毎年来ているが、飽きることの無い好施設だ(展示されている楽器に触れられないのが残念だと、毎回思うが…)。

浜松市楽器博物館今は「どうする 江戸の音楽」と題して、三味線に焦点を当てた展示コーナーが設けられている。私も、「やのとあがつま」のようなプロジェクトが無い限り、積極的に聴くことが無い楽器/音楽分野だが、そういった層にも分かりやすく、かつ、熱の入った展示になっている。存続の危機にある楽器であることは間違い無く、「どうする」というタイトルはピッタリ。世間的には毀誉褒貶が激しい(と言うか、貶の意見が多い)大河ドラマだが、地元では、それなりに好意的に捉えられているのかな。

湖上で、冷たい風に当たっていたこともあり、これで、いったん、ホテルに撤退。半日、簡単にうろついただけだが、好印象の街である。

なお、遊覧船乗り場までのバスは、片道 630円。ただし、SUICAが使えない。遠州鉄道及び遠鉄バスは、かなり早い時期にICカードを導入したのだが、他社に先駆けすぎた結果、SUICAなどの交通系ICカードと互換性が無い独自規格になってしまっている(今更、改修するには巨額の投資が必要になってしまうのだ)。そこで、事前に、「遠鉄バス 土日祝1日フリーチケット」をWebで購入しておいた。丸一日乗り放題で、1000円。ということは、遊覧船乗り場まで往復するだけで元は取れるし、バスの中で両替の心配をすることもない。使い方は、スマホの画面を運転手に見せるだけ。これは、観光客には超お勧めだ。旅先で、地元の人が使う公共バスを円滑に乗りこなせると、何だか得意げな気持ちになるのである。



考えてみたら、インフルエンザの予防接種では、ワクチンの製造元を気にしたことは無いし、特に報道や発表もされていないと思います。こちらの方は、既に成熟した製品で、メーカーの違いは関係無いと言うことですかね。