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メンバー |
2017年9月28日(木):ビルホードライブ大阪 |
2017年9月30日(土):ブルーノート東京 |
2017年10月2日(月):ブルーノート東京 |
2017年10月3日(火):ブルーノート東京 |
今年で9年目となるトリオの一角。その間、死ぬことも、逮捕されることも無しにやってきました。恒例、画家としての物販では、団扇、スケッチブックという従来商品に加え、今年は、提灯もラインアップ。
今年で9年目となるトリオの一角。その間、死ぬことも、逮捕されることも無しにやってきました。商品は持ってきていないけど、音楽と、心からの愛を携えての参加です。
例年の「真夏の矢野顕子祭」から一ヶ月以上ずれての開催となった今年。オリジナル・カクテルは「ここにいるしあわせ」。矢野さんは、昨年と同様、ピアノの他にNord Electro 4 HPも使用。
1st Show。まずは、波の音のSEとWillの指笛をイントロに「てぃんさぐぬ花」、そして、新曲へと続く。3曲目"Welcome to Jupiter"では、Willがステージ前面に出て、ベース・ソロを披露する。この曲は、Chrisがヘッドホンを装着したことで分かるとおり、打ち込みサウンドがバックに入っているのだが、その状況で変幻自在のソロを取れるところが、Willの真骨頂だ。
4曲目は、昨年のブルーノートでも大盛り上がりになった「怪獣大戦争」。今年も聴けて、非常に嬉しい。「モスラ」のパートになってからも、間奏に「ゴジラ」のフレーズが顔を出し、まさに、怪獣バトル。超絶楽しい。演奏後、矢野さん曰く、「バトルのところ、私のイメージでは、キングギドラも参戦していた」。ああ、矢野さんに、Legendary Picturesが製作している"MonsterVerse"(「2014年のハリウッド版ゴジラ」や「Kong: Skull Island」のシリーズ)の次回作 "Godzilla: King of the Monsters"には、モスラとキングギドラ(ついでに、ラドン)の参戦が確実視されていることをお伝えしたい…
続いて、Willと矢野さんのデュエットでDonny Hathawayの名曲、そこから、シームレスに"All The Bones Are White"。エンディングのWillのハーモニカも泣かせる。
久しぶりに、Led Zeppelinの名曲を大胆にアレンジした"Whole Lotta Love"のヘヴィーなサウンド。そして、本編ラストは、比較的オリジナルのアレンジを踏襲した印象の「ラーメンたべたい」
アンコールの"ROSE GARDEN"では、Willはシンセ・ベースをプレイ。演奏の冒頭、矢野さんから、会場の手拍子を拒否する発言(上原ひろみさんの代弁という形で、やや婉曲表現)が有り。手拍子を求められていると早とちりした観客が混乱するところもあった(実際、演奏が本格化したら、とても素人の手拍子は追いつけなくなっていたと思うが…)。演奏の後半には矢野さんのミスがあったのだが、失敗したことを即興の(こんな珍しいハプニングを聴けた皆さんはラッキー、みたいな感じで)歌にして乗り切ってしまうのが、流石だ。最後、Willもコーラスに参加し、楽しく盛り上がって全編終了。あまり、意外性は感じられないセットリストという印象もあるが、すでに大阪でのライヴをこなしているせいか、ブルーノート初日でも、演奏のテンションは高い。
続いて、2nd Show。1stの時は、やや見づらい席だったのだが、今度は、左右ド真ん中の良いポジション。三人のプレイが良く見えるし、音響も良い。そのせいもあってか、演奏も、1st以上に引き締まっている印象を受ける。Willの演奏中のジャンプも、1st以上の回数と切れ味だ。先ほどは失敗があったアンコールの"ROSE GARDEN"も、大きなミス無く盛り上がったと思ったら、ここで終わらず、もう一曲。どうやら、1stでは時間が押してしまい、演奏できなかったらしい(Chrisがヘッドホン装着=打ち込み有りの曲なので、最初からセットリストには織り込まれていたはず)。かなりオーソドックスな印象で「ひとつだけ」。最後の矢野さんの台詞「今日は来て下さってどうもありがとう。気をつけてお帰り下さい」まで、たっぷり堪能できる、私が最も好きなパターンの演奏だ。
ということで、ブルーノート初日終了である。今年は、事前にトラックを仕込んできた曲が多く(3曲目、4曲目の後半「モスラ」の部、7曲目、8曲目、アンコール2曲目)、ちょっと、三人の丁々発止感は足りないかな、という印象もあったのだが、きっと、この後の二日間、さらにコンビネーションが熟成されるに違いないし、その分、化け幅もでかいに違いないと期待もするのである。
平日の18時30分。本当にギリギリで間に合った。一息つくや、場内が暗転する直前から、海の音のSEが響き始める。そして、三人が登場し、Willの指笛から演奏開始。前回のように、三人がスタンバイし終わってからSEを鳴らすよりも、間延びせずに効果的なオープニングになったと思う。
曲目は同じだが、三人とも、演奏の調子はかなり良い。特に矢野さんのピアノは、前回以上に滑らかに指が動いているという印象だ(今日の私の席が、矢野さんの指が見える場所だった事も影響していると思うが。いずれにしても、とても良い演奏)。因みに、宇宙への憧れをよく口にする矢野さんだが、意外にも、Elon Muskのヴィジョンには否定的だということが"Welcome to Jupiter"の演奏前のMCで判明。
前回は、3曲目が終わると、そのまま無言の中、ゴジラの咆哮が響き、演奏スタートという構成だったが、今日は「1950年代生まれの友達を紹介します」と、ちょっとした小芝居を入れてから演奏スタート。この方が、音響さんがSEを入れるタイミングを取りやすそうだ。これもまた、上手い改変だと思う。因みに、矢野さんも、次のハリウッド版ゴジラには、モスラとキングギドラも登場するという情報を仕入れられたようだ(映画会社に義理は無いのだが、私も期待している映画なので、この情報が広まるのは嬉しいな)。あと、演奏の途中、ゴジラとモスラ(とキングギドラ)がバトルしているような展開になり、Willが怪獣の咆哮のサンプリング・サウンドを鳴らしまくるところ、ちょっと、YMOのライディーンの間奏を思い出してしまった。さらに妄想すると、Willがベースのボディを拳で叩いていたのは、キング・コングを表しているのかもなどと…(Legendary Picturesのハリウッド版怪獣映画、2019年公開予定の"Godzilla: King of the Monsters"の次に製作されるのが、"Godzilla vs. Kong"なのだ)
その後も、とてもノリの良い演奏が続くと同時に、MCの方は良い按配にリラックスした感じで、とても楽しい雰囲気だ。ただ、やはり時間が押したのか、アンコールは1曲だけ。
1stの出来が非常に良かったと満足していたが、2ndも、やはり気合いの入った演奏が続く。演奏自体は、1stも充分に凄かったのだが、2ndではヴォーカルとのバランスが良くなっているように感じる。また、毎回、違う工夫を入れてくる"Welcome to Jupiter"でのWillのベース・ソロは、今回のが一番好きだ。
MCの方も、随分、こなれてきた。特に、WillのSadowsky製のベース(彼のシグネチャー・モデル)推しが楽しい。
"All The Bones Are White"のラスト、遠くに去って行く汽笛を模したハーモニカを奏でるWillのプレイに、一部で笑い声が起きたのに私は憤慨していたのだが、ステージ上のWillは、もちろん、そんなことは気にせず(気づかず?)「次はLed Zeppelinの曲をプレイしたいな」と前振りして、"Whole Lotta Love"。この演奏と本編ラストの「ラーメンたべたい」が、尋常で無い白熱ぶりになった。今日は、1stも2ndも、前回以上の良い演奏だなと思って楽しんできたのだが、最後の二曲で、一気に、何か突き抜けた領域に飛んでいったという感じだ。
プレイヤーの皆さんも手応えがあったのだろうか? アンコールで登場したWillは、"Weak Godzilla"とおどけてみせるし、矢野さんは、即興の歌で「このしあわせ」を表現。そして、本編ラストにも引けを取らないテンションで"ROSE GARDEN"を歌いきると、端正な、オリジナル寄りのアレンジでの「ひとつだけ」。改めて、良い構成だと思う。この、何でも出来るトリオで、敢えて、「ラーメンたべたい」と「ひとつだけ」の二大代表曲をオリジナルに近いアレンジで演るのは、計算ずくだったんだな、やられたな、と感じると同時に、大満足の公演だったのである。
ブルーノート最終日である。例年、4日間公演のところ、今年は3日間というのは、やはり短く感じる。とにかく、最終日は見逃せないと言うことで、今日も 1stにギリギリ滑り込む。
冒頭の海の音のSEは、三人がステージに上がった直後に流れ始めるという、9/30と10/2の中間ぐらいのタイミング。Willの指笛と同時に矢野さんもSE風サウンドを発声。その声が、回を重ねる毎に大きくなっているようだ。そして、最終日とあって、ChrisとWillのプレイの切れ味が最初から素晴らしいと感じる。
何度聞いても、超絶ノリの良い「怪獣大戦争」では、今日は特に、矢野さんのピアノとキーボード同時弾きのカッコ良さに圧倒される。
ここで、毎回、メンバー紹介となるのだが、これまた最終日だからなのか、皆、饒舌。Chrisは、好評につき売り切れたので、夜中に団扇に絵を描いていたらしい。そして、Willがそれを運ぶ役割だったなどの、楽しくも、かなり長目のトーク。
そのトークで、喉の調子がほぐれたのか、"Someday We'll All Be Free"では、Willと矢野さん、お二人とも、とても良く声が出ている。続く"All The Bones Are White"での矢野さんのヴォーカルも絶好調(飛ばしすぎたのか、終盤、ちょっとむせちゃったけど)。ただ、私の感覚がズレているのか、この曲の最後、遠くに去って行く汽笛を模したハーモニカを奏でるWillのプレイに対して、やはり観客席からは笑い声が起きる…。私は、Willが身体ごとオフマイクになっていく所も含め、抒情的で素敵な演奏だと思うんだけどなぁ?
そして、やはり本編ラストの二曲は、三人とも凄い切れ味の演奏だ。アンコールでは、演奏の冒頭、手拍子が起きかけたのだが(Willのアクションのせいだと思うが…)、矢野さんは歌いながら「手拍子は止めて」とキッパリ。そして、素人の手拍子など寄せ付けないことを強調するかの如く、凄い演奏に突入。ただし、今日も、1stでのアンコールは一曲のみ…
2nd Show。毎回、衣装を換えるWillだが、今回は、白のTシャツにジーンズと、今までで一番ラフなスタイル。それを見て、このステージはきっと熱くなるに違いないと、勝手に期待が高まってしまう。
最初は、やや地味な曲という印象だった"Soft Landing"が、聴き込むにつれ、シンプルなようで、実は、かなり奥が深い曲だと分かってきた。良い曲だ。
演奏の熱気は、この辺から、さらに高まってきたようだ。"Welcome to Jupiter"では、Willのベース・ソロも良かったし、Chrisのドラムのキレも矢野さんのピアノも、かなりの熱量。さらに、1stの反省を踏まえてか、2nd show全体を通じて短めのMCを心掛けているようで(冗長なMCにならないよう、初代ゴジラが1954年の映画ということも、ちゃんと調べられたようだ)、それもまた、ステージを引き締めている。「怪獣大戦争」の前振りの小芝居も、なんだか、完成度が高い。そして、続く演奏が、最終日最終公演ならではのぶっ飛び具合を体現する、物凄いことになっていた。つくづく、カッコ良いアレンジ、カッコ良い演奏だ。もう、これだけでも、ずーっと聴いていたい(ただ、あのフレーズを聴くと、どうしても私の頭の中には「ゴジラ、ゴジラ、ゴジラとメカゴジラ」の歌詞が鳴ってしまう…)。
ここからは完全に振り切れた演奏だと感じる。"Someday We'll All Be Free"のお二人の熱唱も、"Whole Lotta Love"の重厚なリズムも、ひたすら心地よい。そして、「ラーメンたべたい」。9/30の感想に『事前にトラックを仕込んできた曲が多く、ちょっと、三人の丁々発止感は足りないかな』などと書いてしまったが、昨日の2nd以降、その印象は完全に払拭。見事に化けてくれた。そして、この最後のラーメンは、まさに三人が丁々発止のプレイの応酬だ。
打ち込み有りの曲で、あの奔放なプレイだったのだ。ましてや、アンコール1曲目"ROSE GARDEN"は事前準備したトラック無し。三人のアイディアが飛び交う、スリリング、かつ、カッコ良いプレイで、大満足。散々盛り上がったところで、アンコール2曲目「ひとつだけ」で、ちょっとクールダウンという完璧な構成に、ほとんどの人がスタンディング・オベイション。これまでのセットでも、ちらほら立つ人はいたが、演奏が終わるやいなや、ほぼ全員、超満足げに立ち上がったのは、この最終セットだけだ。それだけ、演奏が素晴らしかったし、会場の一体感もあったと思う。このセットは、客層の雰囲気も良かったな。
9/30の感想には『あまり、意外性は感じられないセットリスト』と書いた。確かに、過去のブルーノート公演で演奏したことがある曲も多かったが、よくよく考えれば、「沖縄」、「木星」、「ゴジラとモスラ(とキングギドラ)」、「Donny Hathaway」、「Led Zeppelin」、「ラーメン」が、極めて高いレベルで共存するステージなんて、世界中で、ここだけだ。なんとしても、来年、トリオ結成10周年記念のブルーノート東京公演に居合わせたいと、強く願うのである。