IN/OUT (2026.5.3)

シェルターなんようホール春の矢野顕子強化月間、 山形県南陽市へ。

シェルターなんようホール会場のシェルターなんようホール(南陽市文化会館)は、「最大の木造コンサートホール(Largest wooden concert hall)」としてギネス世界記録認定という、音響の良いホールでした。


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MICHEL CAMILO "MANO A MANO" featuring PEDRITO MARTÍNEZ & RICKY RODRIGUEZ @ ブルーノート東京26.4.28

ブルーノート東京Michel Camiloのライヴを観に、ブルーノート東京に行ってきた。ここ数年、やのとあがつまと同じく、私にとって初夏の恒例イベントになっている。

一昨年昨年に続き、今年もトリオ編成。
・Michel Camilo(p
・Pedrito Martínez(per
・Ricky Rodriguez(b
プエルトリコ出身のベーシスト Ricky Rodriguezは3年連続でお馴染み。キューバ出身のパーカッショニスト Pedrito Martínezは初めて観るプレイヤーだ。そして、Camiloはドミニカ共和国出身。3人揃って、カリビアン・トリオである。

私が参戦したのは、5日間公演の最終日、2nd Show。Camiloの手元が見える良席。

冒頭から、とんでもないテンションの演奏に圧倒される。ご本人も”Closing Stageは特別"と言っていた(もっとも、彼のパフォーマンスはいつもこうだが)。とにかく、とんでもないスピードで鍵盤を叩きつけながら、1音1音、しっかり芯の通った太い音。そして、Pedrito Martínezのパーカッションが、Camiloに負けない馬鹿テク。ドラムスよりも音量は控え目になるが、その分、ピアノの打楽器としての側面を引き出すような感じもあり、相性はバッチリ。アイコンタクトを交わしながらの、ピアノとパーカッションの緩急自在のソロの応酬がとにかく楽しい。そこから一転、超高速のトリオ演奏になだれ込む瞬間のカタルシスたるや!!

本編最後の「On Fire」で会場の興奮はピークに。怒濤の演奏が終わった瞬間、弾かれたように、観客全員、スタンディング・オベイションだ。

アンコールは、少しギアを下げた曲で締めて、全編終了。3年連続で、この超白熱のライヴを体験できて大々満足だ。


「驚異の部屋の私たち、消滅せよ。ー 森村泰昌・ヤノベケンジ・やなぎみわ ー」 @ 大阪中之島美術館26.5.1

大阪中之島美術館関西出身の3人の現代美術家、森村泰昌、ヤノベケンジ、やなぎみわによる展覧会を観に、大阪中之島美術館に行ってきた。日本の現代美術界のビッグ・ネーム3人の豪華な組み合わせは、森村泰昌の呼びかけで集まったそうだ。

展示は、「プロローグ」、「Room1~5」、「エピローグ」の7章仕立て。

大阪中之島美術館「プロローグ」。
3人、それぞれが製作した立体造形が組み合わされている。

大阪中之島美術館「Room1:博覧会は子供の領分(ヤノベケンジ)」。
3人の中で、実のところ、彼だけは私が苦手とするタイプなのだが、造形の迫力は凄い。

大阪中之島美術館「Room2:広場にパノラマ絵画奇譚(森村泰昌)」
彼の代表的な作品である、女優などに扮したセルフ・ポートレートを、現役の映画看板絵師の方々に絵画に仕立ててもらった大作が並ぶ。トリックスター、森村泰昌の面目躍如。

大阪中之島美術館「Room3:坂道のオード(賛歌)(やなぎみわ)」
3人の中で、最も好きな作家だ。今回は、黄泉比良坂をモチーフに、写真、立体造形、舞台の映像など様々な手法の作品が並ぶ。

大阪中之島美術館 「Room4:迷宮を紡ぐ厳粛な綱渡り」
3人の最新作が並ぶ。写真は森村泰昌の「境界線上の⾈遊び(「浄瑠璃船」のために)」

「Room5 : 絶望するな。では、失敬。」
ここまで、圧倒的なボリューム感の作品が展示されていたが、一転、広い展示室にあるのは、3つの白いキャンバス、彫刻を乗せるような形状の2つの白い台、大きなインスタレーション作品を展示できそうな白いステージだけ。これは、パフォーマンス作品で、マイム俳優、落語家、ダンサーなど、毎回、様々なパフォーマーが、これらの”消滅した作品”を解説するというもの(脚本は同じ)。私が観た回は、講談師の旭堂一海が朗々たる名調子で、(ここに実体は存在しない)森村の最高傑作の絵画、ヤノベケンジによる月面に彫った彫刻を観るための天体望遠鏡と世界最小の彫刻を観るための電子顕微鏡、そして、やなぎみわが企んだインスタレーションを解読する。これは、極めて刺激的だ。他のパフォーマーによる解説も聞いてみたかった。

「エピローグ」
最後に、この展覧会の実現に向けて2年間に渡って重ねられた3人によるミーティング風景を、映像作家の林勇気がまとめたドキュメンタリー映像が上映される。三者三様の思惑と森村の策士ぶりが興味深い。

現代美術にしてはキャッチーな作品が過剰なまでの物量感で展示され、最後に消滅というテーマが立ち上がる巧みな構成。とても印象的な展覧会だった。


”The Life of Chuck”26.5.1

大阪ステーションシティシネマStephen Kingの短編小説(邦訳タイトル「チャックの数奇な人生」)の映画化作品を観てきた。邦題は「サンキュー、チャック」。これは、絶対に原題の方が物語の本質を表していると思う。

大地震に見舞われたカリフォルニアは海中に没し、ドイツでは火山が噴火。日本でも原発が水没。世界中でありとあらゆる災害が起こる中、インターネットが繋がらなくなり、TV放送も受信できなくなる。そんな終末を迎えつつある世界に、”Chuck Krantz”なる人物に感謝を述べる広告が溢れかえる。冒頭で描かれるのは、何とも不条理な世界の終わりだ。3章仕立ての映画は、ここから、Chuck Krantzの過去に遡っていく(演じるのは、Tom Hiddlestonと、各年代の子役達)。

原作は、Stephen Kingの膨大な小説群の中で、ホラー系統では無く、しみじみ系の作品だ。それを、「Doctor Sleep」でKing原作との相性の良さを見せてくれたMike Flanagan監督が、かなり忠実に映像化している。一部、印象的な脇役の属性(性別や見た目など)が改編されているのは、個人的には”違うなぁ”と感じたが、総じて、誠実な映画化と言えるだろう。”Project Hail Mary”が、長大な原作を大幅に刈り込んだのとは逆に、こちらは、短編小説に映像ならではの付加情報を多数加えている。いささか親切すぎるきらいがあるが、結果として、物語のコンセプトが分かりやすくなっているし、伏線を見つける楽しみも増えている。

原作は、2020年の発売。当時73歳のKingがこの作品で提示した人生観・死生観が、私には自然に腹落ちする。とてもチャーミングで愛おしい映画だ。



赤湯駅最寄りの赤湯駅は、山形新幹線の停車駅とは思えない、何も無さ。ただ、街を挙げてラーメンを推しているようで、この地に矢野顕子を呼び寄せたのは、これだったのかしらん?