IN/OUT (2019.12.1)

あちこちで、来年の手帳やカレンダーを貰う機会の増える時期になりました。


in最近のIN

"Doctor Sleep"19.11.29

1980年の大傑作映画 ”The Shining”の、約40年ぶりとなる続編を観てきた。

"The Shining"は、Stephen Kingの原作を、Stanley Kubrickが監督した映画で、主演のJack NicholsonとShelley Duvallの「顔芸」と言っても良いような過剰な演技と、Kubrickらしい完璧な構図の画面による、異様な緊張感を持つ傑作ホラーだ。ただ、原作者のStephen Kingは、Kuburickの映画版を忌み嫌っている事でも有名だ(私は、断然 Kubrick派である)。今回の続編は、小説版と映画版、どちらの続編としても成立するという触れ込みである。

さて、その作品。冒頭の、木々の上から垂直に移動するカメラワークから、前作(映画版)を意識した感じで、ニヤリとさせる。ストーリーを下世話に要約すれば、超能力を持っているが故に少年時代に恐ろしい事件に巻き込まれ、トラウマを抱えて生きてきた中年おじさんと、同じく超能力を持った少女が組んで、特殊能力を悪しき目的に使う邪教集団と戦うというもの。活劇要素と、特殊能力者の苦悩というKingお得意のテーマに、"The Shining"の成分を掛け合わせることで、独特の雰囲気に満ちた作品になっている。さらに、終盤の決戦が繰り広げられるのは、The Overlook Hotel。"The Shining"の舞台だ。もちろん、そこに巣くう悪霊達も懐かしの再登場。映画版"The Shining"ファンも、その視覚効果に大喜びである。

うがった見方をすれば、原作者が大いに不満を持っている(と言うか、罵倒している)Kubrick 版映画に対して、世間の評価が極めて高い事に、Stephen Kingは複雑な感情を抱いて来たのではないだろうか。そこで、Kubrick 版の要素を活かしつつ、自分らしい続編を造ることで、Kingは、自らのコンプレックスにケリを付けたような気がする。

まあ、作者の思惑とは別に、これだけの娯楽作を仕上げてくれたのだから、有り難いことである。


「細野晴臣 音楽活動50周年記念オフィシャル・プロジェクト Day 2 細野晴臣 イエローマジックショー 3」@ 東京国際フォーラム19.12.1

エイプリル・フールのベーシストとしてデビュー以来、50周年を迎える細野晴臣。それを記念したイベントが二日間にわたって開催され、その二日目「イエローマジックショー 3」を観に、東京国際フォーラムに行ってきた(Day 1は、記念公演としてのコンサート)。

出演者は、超豪華。細野さん以外に、安部勇磨(never young beach)、伊賀航、伊藤大地、小山田圭吾、清水ミチコ、清水イチロウ、ジョイマン、高田漣、高橋幸宏、豊崎愛生、野村卓史、ハマ・オカモト、水原希子、水原佑果、宮沢りえ、U-zhaan、Little Glee Monster、ロッチ、ヴィデオ出演で坂本龍一、星野源、声の出演でナイツ。

ただし、イベントとしての出来は、最低・最悪だ。もちろん、このメンバーが揃って入念なリハーサルが出来る訳も無いのだが、進行はグダグダ。やたらと場面転換に時間がかかり(その間、映画「No Smoking」の映像を流して場を繋ぐ)、観客の集中力も続かない。イベントの最後は、ジョイマンのネタに皆が参加するというコントで、ハッキリしたオチの無いまま、唐突に終了し、観客を煙に巻くという、かなり非道いものだった。

と、客観的には、豪華出演者を無駄遣いした駄目イベントだと言わざるを得ないが、私も含め、観ていた人の多くは、温かい目で観ていたと思う。むしろ、有り難みすら感じている。特に、細野さん&ユキヒロの生演奏にヴィデオ出演の教授も加わった「COSMIC SURFIN' ~ ABSOLUTE EGO DANCE 」のカッコ良さと、ベース兄弟(ハマ・オカモトと伊賀航)による「ライディーン」の怪演、、宮沢りえを「サンタフェ」ネタでイジるユキヒロの姿は印象深い。

さらに言えば、このイベントは録画されていたので(「No Smoking」の監督、NHKエンタープライズの佐渡岳利が、イベントのディレクター)、その内、1時間30分ぐらいに編集して、NHKで放映されるのだと思う。そうなれば、編集の魔術によって、楽しい音楽バラエティに化けるのだろう。



年末の、メモ帳・カレンダー配布は、PCやスマートフォンが、予定表やメモ帳の代わりになっている今、あまり有り難みの無いサービスになってしまっています(というか、紙の手帳は、目のピント調節的に、使うのが辛い…)。まあ、年末サービスとして、その代わりになる物が、中々無いのも確かですが。