IN/OUT (2026.2.15)

かつては、この時期、ちょっとした狂騒状態になっていたバレンタイン・デーの”義理チョコ”が絶滅の危機に瀕し、今では自分自身へのご褒美チョコが主流に。時代は変わっていくものですねぇ。


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「オルセー美術館所蔵 印象派―室内をめぐる物語」 @ 国立西洋美術館26.2.11

国立西洋美術館”印象派の殿堂”ともいわれるパリのMusée d'Orsay所蔵の作品を中心に、”室内”をテーマにした印象派の作品を集めた展覧会を観に、国立西洋美術館に行ってきた。

この展覧会のチケットは、昨年の三菱一号館美術館での「ルノワール×セザンヌ ― モダンを拓いた2人の巨匠」とセットになった「印象派をめぐる旅チケット」を購入してあったのだが、早くに購入してしまった油断で、会期末(2月15日)近くに訪れることになった。そのせいか、美術館は大混雑。入場まで80分待ちという行列に並ぶ羽目になってしまった。日本人は印象派が好きなのだ…。当然、展示室内も大混雑である。

国立西洋美術館展示は、「室内の肖像」、「日常の情景」、「室内の外光と自然」、「印象派の装飾」の4章仕立て。

まずは、「室内の肖像」。室内で描かれた肖像画が中心に展示されている。Edgar Degasの「家族の肖像(ベレッリ家)」など、ちょっと不穏な表情の作品などは、一般的な印象派のイメージとは違って面白い。

国立西洋美術館「日常の情景」になると、Pierre-Auguste Renoirの「ピアノを弾く少女たち」など、有名作が並ぶ。屋外のイメージが強い印象派だが、屋内の光の下で描かれた絵も、結構、多いなと気づく。

国立西洋美術館「室内の外光と自然」が、一番、興味深い作品が多い。Albert Bartholoméの「温室の中で」では、実際にBartholomé夫人が着ていたドレスも併せて並べるなど、展示方法にも力が入っている(写真には収められなかったが、この隣に、ドレスの実物も展示されている)。

国立西洋美術館「印象派の装飾」では、Claude Monetの「睡蓮」などが並ぶ。「睡蓮」も、最初は、邸宅の室内装飾を想定した連作で、それが、Musée de l'Orangerieの「睡蓮の間」になったとのこと。

なお、この展覧会、ごく一部の作品だけが写真撮影が許可されている。結果、その前には、大量の観覧者が滞留することになる。そこで役立つのがスマートフォンに搭載された”消しゴムマジック”だが、予想以上に消してくれたな…(国立西洋美術館は、常設展にもRenoirやMonetの名作が多いのに、そちらの観覧者が少ないのは、勿体無いと思う

極めて王道の展覧会という感じで、新たな発見のような楽しみは少なかったのだが、絵画の中に描かれた室内装飾や壁紙に、日本の意匠が多く登場するのは興味深かった。

また、絵画では無い参考出品だが「Berthe Morisotの応接間兼アトリエの再現模型」(彼女の画風の印象通り、可愛い部屋)が展示されていたり、上白石萌音と水嶋龍生によるオーディオガイドが、聴きやすく、歩くルートに気を使った構成になっているなど、展覧会としての作り込みが丁寧なのが好印象だった。


”SAMANTHA FISH” @ ブルーノート東京26.2.12

ブルーノート東京米国のギタリスト & シンガーソングライター、Samantha Fishの公演を観に、ブルーノート東京に行ってきた。

昨年観た彼女のライヴで、そのカッコ良さに衝撃を受け、再見したいと思っていたミュージシャンだ。昨年は、私が観た公演の直後(私が観たのが1st Show。同じ日の2nd Show)から急な体調不良で、その後の公演が中止になってしまった。彼女にとっては、リベンジの再来日なのだろうが、私としては予想外に短いスパンで再見することでき、ラッキーである。

バック・バンドは、昨年と同じメンバーが予定されていたが、ベースのRon Johnsonが米国の大雪の影響でキャンセル。急遽、KenKenが出演となった。
Ron Johnson KenKen(b
・Mickey Finn(key
・Jamie Douglass(ds
KenKenのSNSへの投稿によると、正式にオファーを受けたのは2日前。ぶっつけ本番だったそうだ。しかし、見事にフィットした演奏。流石である。

前回はサイドエリアでの鑑賞だったが、今回は、センターでは無いものの、ステージ至近。おかげで、キーボードの足下に置かれたセットリストの紙を視認することができた。

  • KICK OUT THE JAMS
  • PAPERDOLL
  • BETTER BE LONELY
  • I PUT A SPELL ON YOU
  • BULLETPROOF
  • SWEET SOUTHERN SOUNDS
  • * ACOUSTIC SET (X2)
  • POOR MATTIE
  • RUSTY RAZOR
  • DREAMGIRL
  • BLACK WIND HOWLIN'

米国のロックバンド”MC5”、1969年のデビューアルバムのタイトル曲「KICK OUT THE JAMS」のカヴァーを、超爆音で演奏開始。ブルーノート東京でここまでの音圧は滅多に無い。彼女の見事なテクニックのギター・サウンドと圧倒的声量のシャウトを浴びる。凝ったギター・プレイをしながら、同時に、迫力の歌唱もこなすのだから、本当に凄い。そして、2曲目、彼女の最新アルバムのタイトル曲。これが、滅茶苦茶カッコ良く、キャッチーな曲。燃える!

そこから、泣きのブルーズ・ギター有り、ソロでアコースティック・ギターを弾き語るコーナー有り、ちょっとカントリー・テイストの曲有りと、多彩ながら、どれも渋くて、ヘヴィーで、カッコ良いプレイが続く。彼女は、歌唱はセンター・マイクを使うが、何度もステージの左右を行き来して、会場中のオーディエンスにギター・ソロを見せつけてくれる。私の目の前、数十センチのところで繰り広げられる超絶プレイに、もう大興奮だ。

ゴリゴリのサウンドも凄いが、その佇まい自体も素晴らしい。シャウトする姿、ギターを弾く姿、厚底のブーツで足下のエフェクターを操作する姿、ヘッドバンギングしながらソロを弾きまくる姿。ステージ上の全ての瞬間、どこを切り取っても絵になる、ロック・ミュージシャンとして完璧なカッコ良さだ。

ラストはアンコール無しだったが、演奏者も観客も、完全燃焼。当然のスタンディング・オヴェイション。今回も、ガツンと衝撃を受けたパフォーマンスだった。


「LOVE いとおしい…っ! ー 鏑木清方の恋もよう、奥村土牛のどうぶつ愛ー」 @ 山種美術館26.2.14

山種美術館"LOVE"をテーマにした日本の近代・現代絵画を中心に取り上げた展覧会を観に、山種美術館に行ってきた。恋愛だけでなく、親子愛や郷土愛、動物愛など、多様な作品が並ぶ。

展示の冒頭は、速水御舟の「桃花」など、親子や家族の愛情が描かれた作品が並び、実に、微笑ましい。しかし、恋愛になると雰囲気は変わり、哀切さが漂う。池田輝方の「お夏狂乱」、小林古径による「安珍清姫の伝説」に基づいた連作、近松門左衛門の心中ものを題材にした鏑木清方「薄雪」や北野恒富「道行」など、日本画の題材になる恋愛は、悲恋物語ばかりのようだ…

楽しいのは、奥村土牛の「兎」など、動物への愛が溢れる作品。日本画の技法で描かれた動物たちは、どれもこれも、ひたすら可愛い。竹内栖鳳の「みゝづく」など、これをフィーチャーしたグッズがあれば買う気満々だったのだが、残念ながら無し。山種美術館、商売下手かも…

全体に、分かりやすい展示が多く、楽しい展覧会だった。ただ、集客努力としては良い目の付け所の企画だと思うが、師匠・尊敬する人への愛、神仏への愛、故郷への愛なども"Love"で括るのは、ちょっと無理があったかも…


”Bugonia”26.2.14

Yorgos Lanthimos監督の新作を観てきた。なお、私は未見だが、2003年の韓国映画「地球を守れ!」のリメイクとのこと。

主演は
"The Favourite女王陛下のお気に入り)"
"Poor Things
"Kinds of Kindness憐れみの3章)"
と、監督が描くエキセントリックな世界に果敢にチャレンジし続けるEmma Stone。今回も、丸刈りにされ、全身に抗ヒスタミン軟膏を塗りたくられ、電気ショックを受けるなど、散々な目に遭う…

彼女が演じるのは、製薬会社の社長。ForbesやTimeの表紙も飾る、イケてる経営者だ。そんな彼女が誘拐・拉致される。犯人は陰謀論に毒された製薬会社の社員(演じるのはJesse Plemons)。Emma Stoneのことを、地球を滅ぼしにきたアンドロメダ星人だと信じているのだ…

Emma Stoneは、酷い目に遭いながらも、冷静にJesse Plemonsと会話しようと試みるが、陰謀論に染まりきり、無敵状態の彼は、激昂するばかり。それではと、自分は宇宙人だと認める作戦に切り替えてみるが…。ここから話は突飛な方向に展開し、予想外のラストを迎える。

2人の演技は凄いことになっているが、Yorgos Lanthimosにしては、ストーリーがやや弱い。これまでの彼の作品は、ぶっ飛んだ捻くれ具合が癖になる魅力だったのだが、今作の展開は、捻くれ度合いが少なめで、ある種、予想の範囲内。監督の作品にしては”普通”に感じてしまう…(あくまでも監督にしては、という意味で、客観的には”変テコ”な作品ではある



バレンタイン・デーの成功に触発されたのか、”秘書の日”とか、”サン・ジョルディの日”とか、ブームを仕掛けようとした動きが、過去、色々あったけど、結局、どれも定着してない。それどころか、お中元やお歳暮もすっかり下火に。虚礼廃止の流れは止まらないのでしょうね(虚礼と言うより、節約志向の方が動機としては強いのかも…