|
いくら夏が暑くても、ちゃんと、秋は来るものですね。というか、一気に冬に片足ツッコんだ気もしますが…
最近のIN
SHEILA E.の公演を観に、ブルーノート東京に行ってきた。
彼女のライヴを観るのは、2009年のCandy Dulferとの共演、そして、2014年のPete Escovedo率いるビッグ・バンドへの客演を観て以来、11年ぶり。今回は、彼女自身がリーダーを務めるバンドだ。
メンバーは、ステージ向かって左から
・Lynn Mabry(vo)
・Bertron Curtis(key)
・Myke Davison(g)
・Afton Johnson(b)
・Sheila E.(ds,vo)
ステージ上、キーボード、ギター、ベースの3人は奥の方が定位置で、前方には広めの空間が空いている。Sheila E.のドラム・セットは、中央にシンバルが2つ、低めに吊り下げられた、あまり見ないタイプのセッティングだ。そして、私の席は、ドラム・セット前方の、Sheila E.のプレイがバッチリ見えるベストな角度!
演奏が始まる。パワフルでファンキー。歌いながら叩くので、当然ではあるが、Sheila E.のヴォーカルとドラムスのフィルインのタイミングが爽快にキマる。メンバーも全員、手練れの演奏。ステージ中央に躍り出て弾きまくるギター・ソロも、アナログ・シンセ風のキーボード・ソロも、それぞれ個性的。超一流のミュージシャンと共演してきた実力者 Lynn Mabryの歌声も素敵だ。
そして、パーカッショニストのイメージも強いSheila E.のドラムス・ソロは、スティックでは無く、手でスネアを叩いてコンガのような音色を出したかと思えば、そこから一気に高速バスドラ連打のダイナミックなサウンドにシフト・チェンジしたり、とにかく、熱く、激しく、楽しい。
一方、1人1人に愛情を込めたメンバー紹介のMCなどには、彼女の人柄の良さが溢れ出している。”My name is” のフリに、観客全員で”Sheila E.!!”と声をかけ、「あら、やぁねぇ」という感じの手振りまでがセットになったお約束展開も楽しい。
終盤には、サポート・ドラマーを入れて、Sheila E.とLynn Mabryがマイクを持って歌いながら、観客席を練り歩き、場内のボルテージを一気に上げる。さらに、観客から楽器ができる人を募り、ベースとドラムの腕に覚え有り、と名乗り出た2人をステージに上げて、セッションするというチャレンジングな展開も!(このお二人が、また、上手かった)
このショーが、3日間 6公演の最終セットだったので、ブルーノート東京のスタッフ全員にステージに上がるように呼びかける。初めは遠慮していたスタッフ達も、熱心な呼びかけに応え、フロア・スタッフも音響スタッフもステージに上がり、観客も一緒に感謝の拍手を贈る。そして、全員とハグするSheila E.。ここにも、彼女の人柄の良さが溢れているし、この親しみやすさ、なんだか、関西のおばちゃんっぽい気もする。
そして、ラストは、超名曲 ”The Glamorous Life”を会場総立ち&大合唱で大団円。いやはや、凄かった。楽しかった。
ということで、ブルーノート東京が、とんでもない多幸感に満ちた祝祭空間に変貌する、滅多に無い機会を堪能。
半年ぶりに、原美術館ARCに行ってきた。現在、開催中の展覧会は、「夢のような」、「夢見心地」という意味のドイツ語をタイトルに冠したもの。
今回は、いつもの、JR渋川駅からバスではなく、月一で運行されている関越交通の路線バス「高崎駅~原美術館ARC線」を使って行ってみることにした。高崎駅前からノンストップで美術館正面まで行くので、楽ではある(運賃と所要時間は、JR渋川駅経由と大差なし)。
紅葉が始まったばかりの、爽やかな秋の晴天。三連休の初日だが、来館者は多くなく(それも、近くの伊香保温泉やグリーン牧場を訪れたついでに来た、という雰囲気の人がほとんど)地方の小規模美術館の経営は大変だろうなと、大きなお世話的心配をしてしまう。行きのバスも、乗客は3人だけだったし…
肝心の展示の方は、初めて観るものもあれば、お馴染みのものもある。
特に印象的だったのは、やなぎみわのヴィデオ作品「砂女」。ガルシア・マルケスの短編に想を得た10分間の小品。ずいぶん前に、品川の原美術館で観て、その"心地よい悪夢"のような世界が深く心に刺さったのだが、時間が経ってすっかり記憶の奥に眠っていた。それを久しぶりに観て、一気に蘇る悪夢感。いやぁ、好きだなぁ。
外せないのが、奈良美智の「My Drawing Room」。何度見てもワクワクするし、前回観た時から、細部が変わっていないか、間違い探しのように見つめるのも楽しい。
彼の作品は、その他に「Eve of Destruction」と「Fountain of Life」も展示されていた。特に後者は、展示室Aの天窓から入る自然光の下に設置されていて、とても良い雰囲気だ。
初めて観た作品の中では、増田佳江の 「flower bed」(左)と、Wilhelm SASNALの作品(無題)が好印象。
また、古美術を中心に展示する「觀海庵」では、加藤泉の現代美術と作者不詳の昔の屏風を並べるという、ここならではの展示が楽しい。
と言うわけで、やはり、センスの良い(と言うか、私と波長の合う)美術館だ。今後も定期的に訪問せねば、と思うのである。
最近のOUT
2021年の映画”Nobody”の続編を観てきた。邦題は「Mr.ノーバディ2」。
一見、パッとしない中年男だが、実は凄腕の殺し屋であることが、前作で家族にバレてしまった主人公。その時の大暴れの代償で、借金返済に追われる日々を送っているが、一念発起、家族とヴァケイションに出かけることにする。しかし、訪れたところは、保安官と結託したギャングが仕切る街だった…。というお話。
母親は不動産屋で働き、息子と娘も学校に通っている普通の一家。ただし、父親が殺し屋を職業としているのだが、それを、サラリーマンが通勤しているみたいに、家族は当たり前に受け容れている。という設定は、コメディとしては面白いと思う。しかし、そこからの話の展開のさせ方が、あまりにもリアリティが無い。コメディなのだから、リアルさを求める必要は無いと思うが、それにしても、乱暴すぎるのだ。これでは、冷めてしまう。
敵との決戦の場が、場末の遊園地というのも、あまりにも新鮮味が無い。ギャングの女親分を演じているSharon Stoneや主人公の父親役のChristopher Lloydといった豪華共演陣の無駄遣いが、勿体無い感を倍増させている。ところどころ、面白ポイントはあるのだが、結局、欠点が上回ってしまう残念な作品だ。
原美術館を訪問した土曜日は、暑くもなく、寒くもなく、春と違ってスギ花粉も飛んでいない、ベストの気候でした。火加減の難しいコンロで、奇跡的につまみの位置がピッタリ決まったかのよう。でも、昨今の気象状況だと、すぐに、暑すぎか寒すぎの二択状態になってしまうのでしょうね… |