IN/OUT (2014.6.29)

ぶつぶつ文句を言いながら使い始めた職場の新PCですが、一週間経って、大分、使い方が分かってきたし、カスタマイズも進んできました。100%満足はしていないけど、やっぱり新しいOSやソフトウェアには便利なところもありますな。↓の映画に出てきたような音声認識による操作が主体になっちゃうと、オフィス内が騒がしくてかなわない、ということになりそうですが…


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"Her"14.6.28

Spike Jonze監督の新作を観てきた。

AIが搭載されたコンピューターのOSが発売された近未来。人格を持ったOSと恋に落ちた男性を描くという物語。ここで用いられるコンピューターは、音声認識によるインターフェースがメインで、物語中、キーボードを打つ姿は出てこない。ワイヤレスのイヤホンを装着することで、どこにいてもPC・スマホと連携した使用が可能。この設定は、それなりに現実味があると思う。

主人公の職業は、手紙の代書屋。内省的で、コンピューターとの会話にのめり込むという設定に必然性を持たせているのが上手い。この時代、手紙の代書は、PCに向かい、考えた文章を音声で入力するので、彼は、元々、一日中、コンピューターに向かって話しかけていた訳だ。

ある程度、設定に現実性を持たせたところで描かれるのは、学習効果で日増しに人間的な感情を覚えていくOSと主人公との恋。これだけだと、人畜無害の映画のようだが、意外にもPG12指定。監督が追求するのは、肉体を持たない者との恋愛が成立するのか、という課題なのだ。しかもこのOS。ネット上の文献や他の人工知能との交流を通じ、どんどん進化していく。果たして、人間の男性との(肉体的欲求も込みにした)恋愛はどう進展するのか?

描き方によっては、単なるキモオタの話になりそうなところ、ギリギリで踏みとどまっているのは、Joaquin Phoenixの好演と、お相手のOSが音声だけで、擬人化したキャラクターがスクリーンに登場しないことだろう。これが、日本で人格を持ったOSという設定だと、画面上に萌えキャラを出してきそうなところだが、それだと、二次元コンプレックスの、本当にキモい話になってしまったと思う。

何より素晴らしいのは、OSの声を担当したScarlett Johansson。この人、最近ではアクション映画づいている印象があるし、ちょっとビッチっぽい雰囲気も感じたりするのだが、やはり演技は上手い。1秒ごとに進化し、人間的な感情を身につけ、恋を楽しむ人工知能という難役の台詞を、キュートにこなしている。この声だけの演技で、ローマ映画祭の最優秀女優賞を受賞したというのも納得だ。さらに、普通に想像する人工知能の声質とは真逆の、ちょっとハスキーな声の彼女を起用したところに、製作陣の才気を感じる。


"PETE ESCOVEDO LATIN JAZZ ORCHESTRA featuring SHEILA E."14.6.28

ラテン・パーカッションのベテラン、Pete Escovedo率いるバンドのライヴを観に、ブルーノート東京に行ってきた。

元々は、ノーチェックの公演だったのだが、先週、ブルーノートを訪れたときに流れていたビデオで、Pete Escovedoの実の娘、Sheila E.が共演すると知って、急遽、参戦を決定。以前観た、Candy Dulferとの共演が、とても印象的だったのだ。

ステージ上は、ギター、ベース、キーボードにホーンが三人。そしてステージ中央のパーカッションにPete Escovedo父さん。右手のドラム・セットにSheila E.姐さんという布陣。御年78歳、まもなく79歳の誕生日を迎えるPete Escovedo。元気なプレイだ。かたや、Sheila E.のドラムは、どこか、本職のドラマーというより、パーカッショニストっぽい雰囲気を感じる。

ギターの泣きの音色と、情熱的なホーンが響く楽曲は、私の嗜好とはちょっと違うものではあるのだが、Pete Escovedoのエンターテインメント性溢れるステージングは、さすがベテラン。それを派手なドラムで支えるSheila E.も見事。楽しい公演だった。

そして、最後の曲が一旦終わったところで、Sheila E.の長いドラム・ソロ。そのまま客席に手拍子を促して始まったのが、ドラムと手拍子だけをバックにした"The Glamorous Life"。これで全て終了。父親のバンドへの客演で、自身の商業ヒット曲を前面には出さず、でも、それを期待しているお客さんへのサービスもばっちり。上手いやり方だ。そして、やっぱり名曲だ。



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"Transcendence"14.6.29

Johnny Deppの新作を観てきた。こちらも、電脳空間内の人格がテーマになった作品だが、"Her"とは随分と感触が違う。

先端技術を敵対視するテロリストに襲撃された人工知能の研究者がJohnny Depp。妻は、死に瀕した彼の意識をコンピューターに丸ごとアップロードする。インターネットに接続され、全能とも言える能力を身につけた彼の意識は、やがて人類を、そして文明を、新しく作り替えようと暴走していく。

ありきたりの題材(死に瀕した人の意識が電脳空間内で新たな人格となる、というのは1984年の「マックス・ヘッドルーム」や、「攻殻機動隊」などでも描かれる定番だ)だが、製作に名を連ねているのが、Christopher Nolan。監督は、Nolanの"The Dark Knight"や"Inception"で撮影を担当していた Wally Pfister。これが初監督作とは言え、ちょっと期待が持てるかと思ったのだが、残念な作品だった。

冒頭の演出がもたついていて、中々リズムに乗り切れないし、電脳空間内の人格となったDeppの描写も面白味が無い。これを観てしまうと、(全く違うタイプの作品ではあるが)"Her"のOSのキュートさが、さらに際立ってしまうなぁ。



最近では、オンライン予約が出来る映画館が増えてきて便利なのですが、予約システムの使い勝手には大きな差があります。そんな中、秀逸だったのがプリンスシネマの、予約完了後、携帯電話にQRコードが送られてくるというもの。映画館の窓口で、携帯電話をかざすだけで発券できる優れものだったのですが、なぜか、最近になってシステム改悪。予約番号を窓口の係員に口頭で伝え、さらに電話番号をキーボードから入力するという面倒くさいシステムになってしまいました。新しくなれば便利になるって訳じゃないことが多い世の中です。