IN/OUT (2025.4.13)

2025年3月24日申請分から、偽造・変造対策を強化した新しいパスポートが発給されるようになりました。ちょうど、あと半年ほどでパスポートの期限が切れるタイミングだったので、早速、オンライン申請を試してみました。

これが、予想以上にスムースな手続き。申請にあたって、手書きの書類は皆無(さすがにサインだけは必要だが、それも、手元で書いた物をスマートフォンで撮影するだけ)。受け取りも、事前にクレジットカード払いを登録しておけば、拍子抜けするほど簡単に出来てしまいました。素晴らしい。


in最近のIN

「九龍城寨之圍城」日本語吹き替え版25.4.8

T・ジョイ PRINCE 品川「トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦」、5回目の鑑賞。今回は、日本語吹き替え版だ。基本、外国の映画は字幕派なのだが、大ボス=洪金宝/Sammo Hungの吹替えを水島裕が担当しているなら、観ねばなるまい。TVの洋画劇場で育った世代としては、Jackie Chanの石丸博也、Clint Eastwoodの山田康雄、 Sean Conneryの若山弦蔵、Roger Mooreの広川太一郎と並び、デブゴンと言えば水島裕なのだ。

さすがに5回目になれば、ストーリーはすっかり頭に入っているが、それでも面白さがまったく落ちない。やはり、素晴らしい作品だ。最初は違和感がある吹き替えの声も、すぐに慣れるし、字幕を追わない分、画面に集中できるのがありがたい。

ただし、四仔が日本語で「ぶっ殺すぞ、この野郎」と叫ぶところは、広東語の中に急に日本語が入ることによる「熱さ」が無くなってしまうのが残念。また、王九の「硬直!」は、字幕で表示されるからこその面白味があったなぁ、と思う。

なので、6回目を観るときは、字幕版が良いのだが、それでも、水島裕の声で喋るSammo Hungを観られたのは、とても嬉しい。


"Here"25.4.10

角川シネマ有楽町Robert Zemeckis監督の新作を観てきた。主演はTom Hanks。”Forrest Gump”の黄金コンビではあるが、私は、正直、Tom Hanksの過剰な演技が苦手だ。しかし、この作品、予告編の音楽にYESの大名曲 ”I've Seen All Good People” が使われている! 予告編で流れる音楽が映画本編では使われていないという、よくあるパターンだろうとは分かっていても、観に行かざるを得ないのだ(そして、実際、本編では使われていない…。その代わり、という訳でも無いが、The Runawaysの ”Cherry Bomb” が流れたのは良かったな)。

驚くべき映画だ! 全編、定点カメラ。1907年に建てられた住宅のリヴィング・ルームの一箇所にカメラは固定され、全く動かない。画角も固定だ。そこに映し出されるのは、何世代にも渡る家族の姿。さらに、時間を超えて、最近のコロナ禍の時代、家が建つ前のアメリカ建国の時代、ネイティブ・アメリカンの時代、そして、恐竜の時代をも映し出す。

中心となるのは、Tom HanksとRobin Wrightが演じる夫婦の一生だ(Robert Zemeckis作品らしく、VFXを駆使して、10代から70代までを2人が演じている)。必ずしも劇的では無い、平凡とも言えるアメリカ人夫婦の日々。そこに、過去や未来の(全く同じ場所の)映像が巧みにインサートされる。時代を超えて繰り返される人々の営みと、そこに潜む数々の小さなドラマ。そして、ちょっとしたシンクロニシティ。これは、決して「定点カメラ」一発アイディアの作品では無い。練りに練られた構成を、Robert Zemeckisの職人芸が見事に視覚化している。

ただし、1時間44分の映画全体を牽引する強力なストーリーが有る訳では無いので、観る人によっては(特に、若い人には)退屈かもしれない。しかし、私は、ラストで涙腺大決壊。Tom Hanksが名優なのを(苦手な私としても)認めざるを得ないし、何よりも、Robin Wrightの演技が素晴らしい。好き嫌いが極端に分かれる映画なのは承知の上でも、これは必見作だと声を大にしたいのである。


「この、原美術館ARCという時間芸術」&特別企画「ジャネット カーディフ:40声のモテット」@ 原美術館ARC25.4.12

原美術館ARC半年ぶりに原美術館ARCに行ってきた。今回は、「原美術館ARCという美術館は、それ自体が詩のような、音楽のような芸術、つまり時間芸術なのではないかと思う」という、いささか大上段に構えた惹句を掲げた展覧会。

展示面積の多くを占めるのが、品川時代にも観て印象的だった、Sophie Calleの「限局性激痛」 。写真と文章によるインスタレーションだ。Gallery Bに第一部(彼女が交際相手から別れを告げられるまで)。そして、Gallery Cに第二部(別れの後、他人の辛い経験も聞くことで、徐々に自身の辛さが薄れていく過程)。私小説的な痛々しい話を元にした作品の全貌を一挙に展示。その異様な迫力には、今回も圧倒される。ただし、あまり観ていて楽しくなるタイプの作品ではない。芸術家のパートナーを持つのは大変だと言う身も蓋もない感想を持ってしまう…

一方、特別展示、カナダ出身のアーティスト Janet Cardiffの「40声のモテット」は、とても好印象。高い天窓から自然光が降り注ぐGallery A全体を、ぐるっと40台のスピーカー(B&W DM303)が取り囲む。そこで奏でられているのは、、16世紀 イングランドの作曲家 Thomas Tallisの多声楽曲「40声のモテット(Spem in Alium)」。ソールズベリー大聖堂合唱団の40人の声が、それぞれ、40台のスピーカーから別々に再生されるという趣向のサウンド・インスタレーションである。雰囲気の良い展示空間を充たす荘厳な教会音楽。40人の声楽家に取り囲まれているような体感は、いつまでも浸っていたくなる心地良さだ。

原美術館ARCあと、お馴染みの常設展示、GalleryBの奈良美智「My Drawing Room」は、いつ訪れても、何だかホッとする。

原美術館ARCさらに見応えが有ったのは、特別展示室「觀海庵」。入り口付近には蜷川実花の連作写真「PLANT A TREE」が展示され、

原美術館ARC室内には丸山応挙や長沢芦雪らの日本画と、草間彌生らの現代美術が同居している。原美術館ARC

原美術館ARCさらに、作品リストをよく見ると、「番号の記載はございませんが、須田悦弘の小さな作品を展示しています」の一文がある。改めて展示室に戻って、目を凝らすと、掛け軸の展示ケースの隅っこに「雑草」を発見。ちょっと嬉しい。念のため、係員に、この他に須田悦弘の作品はないか確かめてみたが、この一点だけ。ただし、時折、入れ替えているそうだ。

原美術館ARC展示室を出て、カフェへ向かうために屋外へ。ちょうど桜が見頃のタイミングで、Warholのキャンベル缶との組み合わせが綺麗だ。

原美術館ARC足下には、私の大好きなオオイヌノフグリの群生が咲いているのも嬉しい。軽く汗ばむ陽気の中、展覧会だけでなく、春を満喫(これで、ヒノキ花粉が飛んでなければなぁ…)。



残念なのは、パスポート更新のノウハウを次に生かせるのは10年後…。その頃にも、元気に海外に行ける状態(自分自身の状況だけでなく、世界情勢も)だと良いのですが、どうなっていることやら。