IN/OUT (2021.6.13)

なし崩し的に、街中に人が増え、テレワーク熱も冷め(私の職場では、今でも出勤率3割をクリアしているが)、それがオリンピック開催に繋がっている。それらの是非はともかく、なし崩しというのは、さすがに拙いんじゃないかなぁ、と思う、今日この頃です。


in最近のIN

"Nobody"21.6.12

John Wick”シリーズの脚本家、Derek Kolstadが脚本を担当したアクション映画を観てきた。邦題は「Mr.ノーバディ」

主人公は、冴えない毎日を送る中年男性。ある日、自宅に押し込み強盗が侵入するが、ゴルフクラブを握りしめるだけで、反撃すら出来ない。しかし、それをきっかけに、彼の中で何かが目ざめ、そして始まる暴力の連鎖。妻、息子、娘、さらには、老人ホームに入っている父親(Christopher Lloydが怪演)にまで悪人の魔手が迫る中、彼らを守るため、自らのことを"nobody" だと言う主人公の行動はエスカレートしていく。というお話。

設定は荒唐無稽。暴力シーンは過激で、見る人を選びそうなところはある。しかし、コメディと呼んでも良いぐらいニヤリとさせるシーンが多く、割り切って観る分には、能天気に楽しめる作品だ。終盤の展開は、リアリティはともかくとして、痛快。劇中に流れる音楽のセンスも気が利いていて、特に、"Don't Let Me Be Misunderstood(悲しき願い)"が、歌詞を巧みに活かした場面で使われるのが上手い。個人的には、Pat Benatar姐さんのあの超名曲がフル・コーラスでたっぷり流れたことに大興奮である。


「シン・エヴァンゲリオン劇場版 EVANGELION : 3.0+1.01」21.6.12

シン・エヴァンゲリオン劇場版」の、一部のカットに細かな修正を加えた新バージョン「EVANGELION : 3.0+1.01」を観てきた。新たな入場者特典として小冊子「EVA-EXTRA-EXTRA」が配布される事に釣られて、これで4回目の鑑賞である。

回数を重ねたことで、理解が進んだところもあるが、それでも意味不明な箇所も相変わらず多い作品だ。それでも、練りに練られた脚本と映像のクオリティには、何度観ても圧倒される。ただし、今回加えられたという修正箇所は判別できず。

結局、数度の延期の末に公開にこぎ着けたのに、映画館の上映体制が通常には戻らない中、上映期間が終わろうとしている時期に、興行収入に活を入れるための営業戦略が、「新バージョン」と「小冊子配布」な訳で、それに、まんまと(というか、自覚して)乗っかった多くの観客の中の一人が私である。同病相憐れむ人は多く、映画館は満員(といっても、座席は一つ飛ばしだが)。

エヴァは、様々な企業とタイアップしている。全日空、小田急、ユニクロ、ローソン、UCC、モンテローザ、タニタ、参天製薬、丸井、バンダイなどなど。積極果敢な商業主義を仕掛けているが、映画自体は、ほぼ庵野監督のプライベート・フィルムと言って良い内容だ。これらを両立させている、この作品が持つ不思議な引力は、本当に特殊だと思う。


「Ai Kuwabara Tour 2021 ”Opera, Solo & Trio”」@ブルーノート東京21.6.13

桑原あいの公演を観に、ブルーノート東京に行ってきた。全編ソロ・ピアノによるニュー・アルバム「Opera」を携えてのツアーの一環だが、「ソロ」だけでなく、ベースの鳥越啓介とドラムスの千住宗臣を加えた「トリオ」の二つの編成を組み合わせたスペシャル・プログラムでの公演である。ブルーノート東京は、相変わらずノン・アルコール・ドリンクしか提供されないのだが、日曜の1st show(16時開演)なので、気にはならない。

最初の3曲は、ピアノ・ソロ。「Opera」収録曲、Astor Piazzollaの「Leonora's Love Theme」、Bon Joviの「 Livin' On A Prayer」、The Monkeesの「Daydream Believer」。今年の2月に観たソロ公演で非常に印象的だったBon Jovi。単なる「弾いてみた」じゃなく、ちゃんと桑原あいというピアニストを通した音になっていて、やっぱりカッコ良いなぁ。

ここからは、トリオ演奏。やはり、迫力が桁違いに増す。特に、千住宗臣のドラムスは、ジャズよりも、かなりロック寄りの激しさだ。桑原あいも、ソロの時以上に楽しそうな表情で演奏を続け、最後は「Everything Must Change(Quincy Jones)」とオリジナル曲「The Back」で本編終了。

一旦、捌けることはせず、そのままアンコールに突入。敢えて「Opera」収録曲ではない彼女のオリジナル、寺山修司の詩に触発された「All life will end someday, only the sea will remain」。とても彼女らしいメロディー・ラインの曲で全編終了。ソロとトリオでお得感がある公演とも言えるが、せっかくの新アルバムを引っさげてのツアーなので、もっとピアノ・ソロのパートが多くても良かったかな、という気もした。



まあ、自分も、映画館やイベントなど、営業されていれば遠慮無く行く。というスタンスなので、これもまた、なし崩し的なのかな。