IN/OUT (2024.9.29) |
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矢野顕子強化月間、いよいよ最終イベント、上原ひろみとのレコーディング・ライヴ。 最近のIN"YES / The CLASSIC TALES OF YES Tour 2024"@ 岡谷鋼機名古屋公会堂 (24.9.23)
会場の名古屋市公会堂は、以前、清水ミチコのライヴで訪れたことがある。1930年(昭和5年)に開館した、国の有形文化財の建造物。キャパ 1,552席。今年の4月から、ネーミング・ライツの導入で「岡谷鋼機」が名前に付くようになっている。このレトロな雰囲気は、結成55周年を祝うベテラン・バンドにふさわしいと感じる。 今回の席は右端。Steve Howe師匠から遠いのが残念。また、観客席の傾斜が緩く、前の人の頭が邪魔になりがちで、写真撮影には不向き。ただし、音響は中々良い会場だ。 セットリストは変わらず。今回は、座席の関係で、もっぱら、Billy Sherwoodのプレイを中心に観たのだが、Chris Squire譲りのベース・プレイ(”ベロンベロン"と表現したくなる、独特のタッチ)にバック・コーラスと、献身的にバンド・サウンドを支えているのがよく分かる。改めて、素晴らしいプレイヤーだと感心。 平均年齢65歳 の皆さん、東京3公演の後、1日休んだだけで仙台公演、そして、また1日休みを挟んだだけで名古屋公演(さらに、明後日には大阪公演)というハード・スケジュールだが、実にお元気。特に「Starship Trooper」のエンディング、Billyのベース・ソロと、Howe師匠のギター・ソロは、人見記念講堂以上の熱の入り方だと感じた。また、私の席が右端だったので、気兼ねなしに右拳を突き上げることが出来たのも、個人的には幸いだった。いやぁ、やはり、YES、好きだなぁ。ただ、これが恐らく、最後のYESのライヴだろうなと思うと、やはり寂しい(まぁ、2年前の来日時にも、そう覚悟したのだが……)。 因みに、この会場、建物は古いが、トイレは綺麗にリニューアルされていて、消音用なのか、せせらぎの音と小鳥のさえずりが流れていた。これを、「Closet to the Edge」のイントロだと勘違いして、「憎い演出!」と、一瞬、感激したのは私だけでは無いと思う。 久しぶりの名古屋港水族館 (24.9.23)YESのライヴのついでに、名古屋港水族館を訪れた。前回訪れたのは2015年。久しぶり、5回目の訪問だ。 この水族館の素晴らしいところは、なんと言っても、入館してすぐに、ドドーンと、シャチ、 そこから、北館3Fのスタジアムに直行し、11時30分開始の、シャチ公開トレーニングを観覧。欧米を中心に、水族館でのシャチのショーや飼育自体に否定的な圧力が高まっているご時世だけに、エンターテインメント的なショーではなく、あくまでもトレーニングを公開しているという建付けなのだろう。 9年ぶりのシャチのショーを堪能した後、館内に戻るが、この日は三連休の最終日、お子様連れで大賑わいで、水槽の前に近づくのも困難な状況だ。じっくり観覧するのは諦め、12時30分からのイルカショーを見学。こちらも、エンターテインメント的な盛り上がりよりも、イルカのウェルネス重視=コンプラに気を遣ってます!という感じのショーだ。 そして、館内のフードテラスで味噌カツ丼の昼食。 大規模な水族館だが、オシャレ系よりも学術系重視という、ある意味、時代遅れの不器用さが9年ぶりの訪問でも変わっておらず、なんとも好ましい。次の機会があれば、もっと空いている時に、じっくりと見学したいものだ。 "Hit Man" (24.9.26)Richard Linklater監督の新作を観てきた。 主人公は、大学で心理学と哲学を教える傍ら、趣味の電子工作を生かして、地元警察に盗聴などで協力していた。が、ある日、担当刑事が職務停止となったため、急遽、囮捜査の殺し屋役を務めることになる。殺し屋になりきった彼に対し、依頼人が殺人の意図を明言し、謝礼の現金を支払ったところで、張り込んでいた刑事が依頼人を逮捕するという段取りである。ここで主人公が隠れた才能を発揮。依頼人の個性に応じ、様々なタイプの殺し屋になりきることが出来たのだ。そして、捜査協力の実績を積み上げていく中、彼は、暴力夫の殺しを依頼してきた人妻に一目惚れしてしまう。彼女も彼に好意を抱くが、それは、あくまでも殺し屋になりきった彼で、本当の彼では無い。果たして… というお話。 犯罪とその捜査が背景にはなっているが、重苦しさはなく、軽快に映画は進んでいく。中盤の若干のもたつきと、ラストの、倫理的にそれで良いのか? という能天気なオチは気になる所だが、才人と言われる監督(私は、彼の作品は初見だ)らしい、ツイストの効いたクライム・コメディだ。 見所は、主演のGlen Powell。"Top Gun: Maverick"で、一躍、スターダムに上った彼だが、私は、単なる筋肉俳優だと思っていた。が、この作品で共同脚本にも名を連ねる彼は、様々なタイプの殺し屋になりきる七変化と、冴えない大学講師がモテ系男子に変貌していく様を、巧みに演じている。その演技の振り幅には大いに感心。捻ったコメディが好きな人にも、イケメン白人が好きな人にも、本当の自分とは何なのか?という深読みが好きな人にも、お勧めできる作品だ。 なお、この主人公、実在の人物をモデルにしているという。民間人を巻き込んだ、このような捜査が合法とは、米国、恐るべし。 ”Beetlejuice Beetlejuice” (24.9.28)Tim Burton監督の新作を観てきた。あの傑作”Beetlejuice”の36年ぶりの続編だ。 前作では女子学生役だったWinona Ryderは、30年以上が経った今では、TVの心霊番組で活躍している設定。結婚し、子供も出来ているが、夫とは死別。一人娘は、母の能力を信じておらず、親子関係は上手く行っていない。一方、バイオ・エクソシスト(人間を怖がらせるのが仕事)のBeetlejuiceは、いまだにWinona Ryderに未練たっぷり。 エキセントリックな登場人物達が、この世とあの世を股にかけて繰り広げるドタバタを、敢えて最新のVFXからは距離を置いたローテク風の特撮で描く。まさに、Tim Burton趣味が詰まった作品だ。 好演するWinona Ryderはもちろん、70歳を過ぎてもハイ・テンションな演技を披露するMichael Keaton(Beetlejuice)とCatherine O'Hara(Winona Ryderの母親役)。前作からの続投組が活き活きしているのが楽しい。 ただし、ストーリーは整理されておらず、なんだかワチャワチャした感じだ(様々な伏線を律儀に回収するところは、見事ではある)。Monica BellucciやWillem Dafoeら芸達者な新規参加組の皆さんが、やや浮き気味なのが残念。前作の底抜けの面白さには及ばないとういのが、正直な感想だ。 が、個人的には、Donna Summerの魂の名曲”MacArthur Park”が大々的にフィーチャーされているだけで、傑作認定である。この曲、オリジナルは1968年にRihcard Harrisが歌ったものだが、やはり、1977年のGiorgio Moroder × Donna Summerヴァージョンが超絶カッコ良いサウンドなのだ。一方、サウンドは凄いのだが、歌詞が馬鹿馬鹿しい事でも有名である。この映画の中では、その馬鹿馬鹿しい歌詞まで完璧に活かした、素晴らしい使われ方なのだ。まぁ、若い人には分からないかも… 若い人には分からないと言えば、劇中、”Soul Train”に関するネタも出てくる。私は、あまりにもベタ過ぎると感じてしまったが、これもまた、今の人にはピンとこないのかもしれない…… そもそも、36年前の前作を知らなければ面白さは半減してしまうという点で、シニア層向け作品と言えるだろう。そういう意味では、本作の公開直前に”Beetlejuice”のリバイバル上映を企画したWarner Bros. Japan、やはり、Good Job!だったのである。 怒濤のライヴ漬けが終わったタイミングで、ようやく秋の気配です。 |