IN/OUT (2024.9.22)

昭和女子大人見記念講堂矢野顕子強化月間、今週は奥田民生との共演。会場は、奇しくもYESと同じ昭和女子大人見記念講堂で、1週間に3度の女子大通いでした。


in最近のIN

"BLUE NOTE TOKYO ALL-STAR JAZZ ORCHESTRA directed by ERIC MIYASHIRO かつしか プレミアムジャズライブ"@ かつしかシンフォニーヒルズ24.9.16

かつしかシンフォニーヒルズブルーノート東京でお馴染み、エリック・ミヤシロ率いるBNT All-Star Jazz Orchestraが、かつしかシンフォニーヒルズで単独ライヴを行うのを観に行ってきた。

本日のメンバーは、
エリック・ミヤシロ(tp, conductor
本田雅人、小池修、鈴木圭、米澤美玖、鈴木真明地(sax
小澤篤士、西方正輝、具志堅創、藤野拓人(tp
中川英二郎、藤村尚輝、小椋瑞季、石井優希(tb
青柳誠(p
川村竜(b
川口千里(ds

会場のモーツァルトホールは、キャパ 1318席。普段のブルーノート東京でのビック・バンド公演はステージ上がギュウギュウ詰めだが、今回は余裕のレイアウト。毎回、他のミュージシャンの陰になって見えづらい川口千里のドラムセットが中央にドーンと設置されているのが、嬉しい。

公演は二部構成。第一部は、エリック・ミヤシロ作曲「Blue Horizon」からスタート。BNT All-Star Jazz Orchestraのテーマ曲とも言える作品だ。早速、小池修、中川英二郎、川口千里、本田雅人のソロも冴える。

そして、Stevie Wonderの「Sir Duke」、Chick Coreaの「Got a Match」、Cory Wongの「St. Paul」とお馴染みのナンバーが続く。クラブ公演で感じる勢いよりも、ホール公演だとアンサンブルが響く。

ここからは、ビッグバンドの歴史を紐解くようなエリックの(体験談も交えた)解説と共に、「Standing Up in a Hammock」、「Skydance」。そして、第一部ラストはSnarky Puppyの「Lingus」。

20分間の休憩後、第2部。最近の定番、「20th Century Fox Fanfare」から、Cory Wongの「Assassin」。West Side Storyから「Something's Coming」。

そして、「和泉宏隆メドレー」。「宝島」や「Omens of Love」といった和泉宏隆の代表曲をエリックがメドレーにアレンジし、彼とT-Squareで一緒にプレイしていた本田雅人のウィンド・シンセサイザーをフィーチャーして演奏。これは、盛り上がるし、泣ける。

再び、ビッグバンドの古典「Back to the Apple」、「In the Still of the Night」。そして、Snarky Puppyの「What About Me?」、Chick Coreaの「Spain」(本田雅人のフルートがフィーチャーされる)で本編終了。間髪入れずにアンコール、全員、1フレーズずつのソロ回しが楽しい「Birdland」で全編終了。

やはり、このバンド、皆さん上手い。クラブ公演の熱狂も良いが、大ホールでじっくり聞くのも楽しかった。そして、今回もまた、ほぼ全編に渡り叩きまくっていた川口千里のドラムスが良き。

「Got a Match」では本田雅人と鈴木真明地の年の差アルト・サックス・バトル、「Lingus」では小池修と米澤美玖の年の差テナー・サックス・バトル、「Back to the Apple」では鈴木真明地と藤野拓人の若手ソロ共演を織り込むなど、エリク・ミヤシロの若手育成への思いが感じられたのも好印象だった。


"YES / The CLASSIC TALES OF YES Tour 2024"@ 昭和女子大人見記念講堂24.9.18 & 19

昭和女子大人見記念講堂YESのデビュー55周年記念公演を観に、人見記念講堂に行ってきた。

来日メンバーは、
Steve Howe(G
Geoff Downes(Key
Jon Davison(Vo
Billy Sherwood(Ba
Jay Schellen(De, Per

もはや、オリジナル・メンバーは皆無。最古参のSteve Howe(御年77歳)は1970年に加入。アルバムで言えば「The Yes Album(イエス・サード・アルバム)」からだ。
Geoff Downesは1980年のアルバム「Drama」から、
Billy Sherwoodが1997年の「Open Your Eyes」から、
Jon Davisonは2012年に参加し、アルバムでは2014年の「Heaven & Earth」から、
Jay Schellenは2016年のツアーからのサポートドラマー。2023年に正式メンバー入り。
ということで、1970年代の黄金期ファンにとっては有り難みは希薄なのだが、それでもYES印のライヴは観ておきたい(一応、2023年にもSteve Howeプロデュースで新アルバムを発表している現役バンドなのだ)。

昭和女子大人見記念講堂皆さん、高齢者なので、ライヴは二部構成。まず、第1部。演奏曲は
・Machine Messiah
・I've Seen All Good People
・Going for the One
・Southern Solo("America"の、インスト・パート
・Time and a Word
・Turn of the Century
・Siberian Khatru

プロ用機材で無ければ、撮影自由だった

1曲目から、Steve Howeが元気にジャンプまで決めているのが嬉しい。そして、Jon Davisonのヴォーカルは、Jon Andersonにそっくりなので違和感無し。Billy Sherwoodは、ベースだけでなく、コーラス・ワークまで、見事にChris Squireを完全再現。 Geoff Downesのキーボードは、Rick Wakemanのような華やかさは無いが的確なプレイではある。そして、Jay Schellenのドラムスも頑張っている。ということで、出てくるサウンドは、紛れもない”YES印”。ただただ、ありがたい。

1977年のアルバム「Going for the One」から2曲(タイトル曲と「Turn of the Century」)が選曲されたのも意外だが、Steve Howe加入前の1970年のアルバム「Time and a Word」からタイトル曲が選曲されたのが超意外。そして、第一部ラストの「Siberian Khatru」は、やはり名曲。Steve Howeのギター、大活躍である。

15分間の休憩後、第2部。演奏曲は
・South Side of the Sky
・Cut from the Stars
・Tales from Topographic Oceans - Edit -

これは、驚きの選曲。1曲目は、名盤「Fragile(こわれもの)」収録曲を、LPでは前曲との間に入っているSEから再現。2曲目は、2023年発売の新アルバム「Mirror to the Sky」の収録曲!超名曲とまでは言えないと思うが、YESの作品として十分なクオリティの最新作だ。そして、問題の3曲目、1973年のアルバム「Tales from Topographic Oceans(海洋地形学の物語)」、2枚組、全80分の大作。あまりに長大にして幻想的かつ難解で、YESファンにとっても踏み絵的なアルバム(Rick Wakemanは、このアルバムが不満でYESを脱退したのだ)を、まさかの再現である。もちろん、完全再現では無く、20分間に編集した物だが、これが巧みな編集で、美しいメロディー・ラインが続出する素晴らしい組曲に仕上がっている。

そして、アンコール
・Roundabout
・Starship Trooper

「海洋地形学の物語」で度肝を抜かれた後の、超鉄板曲2曲。盛り上がらない訳が無い。やっぱり、YES、良いなぁ!(ただ、「Starship Trooper」の最後に、The Beatlesの「I Feel Fine」を入れる演出は要らないかなぁ…


昭和女子大人見記念講堂ということで、翌日も連戦である。前日は、ほぼ左端の席だったが、今回は左右の中央。このポジションだと、音のバランスが格段に良く、セットリストは同じだが、どの曲も、さらに印象が良くなったのが嬉しい。そして、改めて、良い曲ばかりだなぁと感慨にふけるのである。

昭和女子大人見記念講堂 昭和女子大人見記念講堂 昭和女子大人見記念講堂 昭和女子大人見記念講堂
Steve Howeのプレイは、全盛期からは確実に衰えているのは隠しようが無いと思うが、その音色と味わいは、今でも唯一無二。そして、他のメンバーが、あまり前面に出ようとせず、Steve Howeを盛り上げようとしている姿に、胸が熱くなる(曲紹介等のMCは、Steve HoweとJon Davisonのみ。Geoff Downes、Billy Sherwood、Jay Schellenの3人は、無言で黙々とプレイ)。

昭和女子大人見記念講堂客席の平均年齢は、当然、高めだが、その分、皆、ジェントルで、5人を暖かく見守りながら、”Roundabout”などでは、小声で一緒に口ずさんでいる人、多数。2日間とも、客席の雰囲気も良かった。

正直、2年前の「イエス『危機』50周年記念ジャパンツアー」に比べると、キャッチーさは乏しいとは思う(まぁ、我が魂の名盤「Close to the Edge」の全曲演奏だったからなぁ…)。が、やはり、彼らのサウンドは私の奥深いところに染みこんでいることを、再認識したのである。


CANDY DULFER "WE FUNK HARDER TOUR IN JAPAN 2024"@ ブルーノート東京24.9.20

ブルーノート東京先週に続いて、オランダ出身のサックス奏者、Candy Dulferの公演を観に、ブルーノート東京へ行ってきた。

先週は、急遽、追加でチケット取得した臨時席だったが、今回はアリーナ席最前列!

ドラムス、ベース、ギター、キーボード、男性ヴォーカル 2人に、サックスとトロンボーンが入る8人のバック・バンドと共に、1曲目「Jamming」で演奏開始。が、何か様子がおかしい。PAの具合が悪いみたいだ。演奏をストップし、「PAが直るまで、5分待って。”Men in Black”は知ってる? あの感じで、みんなの記憶を消しておくから」。流石はベテラン。慌てるでも、誰かを責めるわけでも無く、その場を収める。ということで、いったん、メンバーは退場。結局、10分ほどして、Take 2スタート。

ブルーノート東京の広くはないステージに、総勢9人。しかも、ヴォーカルとホーンの4人は、踊りまくっている。窮屈なようだが、中心に控えるCandy姐さんの求心力が実際以上にステージを広く見せているようだ。2曲目は、レコーディング前の新曲「The Message」、そして、鉄板で盛り上がる「YeahYeahYeah」。やはり、ツアーでライヴを重ねて熟成されてきたのか、先週観たときより、メンバー個々のプレイも、バンドとしてのまとまりも、大幅にパワーアップしている(決して、今回は至近距離で観たからというだけでは無い)。

ホーンとヴォーカルが一旦捌けて、1989年の大ヒット曲「Lily Was Here」。Ulco Bedの泣きのギターに絡む姐さんのサックス。アップテンポでノリの良い演奏だけで無く、こういう曲で聴かせる圧倒的な表現力が、本当に素敵だと思う。

続く、「L.A. Citylights」も、しっとり系のナンバー。そこから、テンポアップして「Good Time」。テナー・サックスのMarc Manginが、調子に乗って踊りすぎて、プラグを抜いちゃった…、という小芝居からの再起動で盛り上げる。そして、一転、David Sanbornへのトリビュート曲「Straight to the Heart」を情感たっぷりに演奏。

「Perspective」の演奏では、たまたま来日中だったというトロンボーン奏者Greg Boyerが飛び入り参加(PrinceのバンドでCandy姐さんとは接点があったはず)。これで、アルト・サックス×テナー・サックス×トロンボーン2管、計4管のホーン・セクションとなって、さらに迫力増し増しである。一旦、演奏が終わったとフェイクを入れて、そこからさらに盛り上げていくパフォーマンスが、とんでもなく楽しい。

そして、「The Climb」での、Ulco Bedのたっぷりのギター・ソロでエモーションを高めて、ラスト「Pick Up the Pieces」に突入。Greg Boyerも参加しての総勢10人が、ステージの端から端まで使って、大熱演。観客も総立ちだ。さらに、ホーンセクションの皆さんは、恒例の、観客席を練り歩きながらの演奏も披露しての大団円。1週間前は、これで終わりでアンコールが無いことに、ちょっとした残念さを感じたのだが、今回は、超完全燃焼。とにかく、猛烈な熱量と楽しさ。Candy姐さんが見せつけるサックス・プレイヤーとしての実力とエンターテイナーとしての華やかさに、すっかり、パンチ・ドランカーのような状態である。



ということで、観たいパフォーマンスが重なって、様々なタイプのライヴがてんこ盛りの1週間でした。それは、忙しくも楽しい日々で良かったのですが、職場から会場に向かうには、蒸し暑すぎました……