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先々週に壊れ、急遽、購入した洗濯機が、ようやく到着。AV機器やPC関連を新調したようなワクワクは無いものの、21年前の製品より、洗濯容量は増えているのに外形寸法は小さく、洗剤自動投入などの機能も増え、これはこれで楽しいですね。
最近のIN
Chloé Zhao監督の新作を観てきた。硬派な"Nomadland"から、アメコミ映画"Eternals"まで、守備範囲の広い監督だが、今回取り上げたのは、William Shakespeareと、その妻 Agnes。私は、Agnesは悪妻だったと聞いていたのだが、果たして、どのように描かれているのか?
1582年に、18歳のShakespeareは、8歳年上のAgnesと、できちゃった婚。その後、長女、長男と次女の双子の3人の子供をもうける。その長男の名前がHamnet。
しかし、Hamnetは、1596年、11歳で病死。その4年後、Shakespeareは、一字違いの名作悲劇 ”Hamlet”を発表した。という史実を基に、”Hamnet”と”Hamlet”を関連付け(実際に関連があったのかは、諸説あり)、想像で膨らませたストーリー。
正直、前半は集中するのが辛かった。この作品でアカデミー賞主演女優賞を受賞したJessie Buckleyの演技は、確かに鬼気迫る凄いものだが、私にはtoo much感が強く、ちょっと引いてしまう。Agnesがスピリチュアル系なのも、キツい。一方、Shakespeareの方は、イマイチ、存在感が薄い。
が、後半になり、Shakespeareの劇作家としての描写が増えてくると、映画の様相が変わってくる。そして、終盤、これぞ映画のマジック!!と、感嘆する映像が出てきて、一気に感情を持って行かれてしまった。この一瞬で、前半の辛さは雲散霧消。映像一発で、ここまで感情を揺さぶられたのは久しぶりだ。私だけで無く、場内、泣いている人、多数。
そして、個人の葛藤を芸術に昇華させるShakespeareと、それを受け止めるグローブ座の観客たち。さらに、それを映画館のスクリーンで観る我々。この構造にも、グッとくる。
ということで、終わってみれば、あぁ、映画って良いなぁと実感する傑作だった。
「日本シンセサイザー音楽の曙」の発売を記念したイベントを観に、お茶の水 RITTOR BASEに行ってきた。これは、日本のシンセサイザー音楽黎明期、1970年代のアルバムから、未CD化の貴重作 4枚を、松武秀樹監修のもと復刻する企画。
お茶の水 RITTOR BASEは、「キーボード・マガジン」など音楽関連の雑誌でお馴染みの出版社、リットーミュージックが開設した多目的スペースで、プロ用のガチの音響機材が揃っている。ここで、アルバムの曲をハイレゾで試聴しつつ、松武秀樹による解説、さらには、1972年から彼が実際に使っているMOOG IIIcで、音作りの実演も披露してもらうという趣向。イベントのMCは、「サウンド&レコーディング・マガジン」元編集長で、RITTOR BASEディレクターの國崎晋。
編集長と連載記事執筆者という繋がりだった旧知の仲のお2人の息の合った掛け合いで、イベントは進む。松武秀樹が最初にシーケンサーを使って参加したアルバムは、教授でもYMOでもなく、矢野顕子の「ト・キ・メ・キ」だったという、個人的には大いに盛り上がる話から始まる。
そして、本題。「日本シンセサイザー音楽の曙」として再発される4枚のアルバムから、最初に紹介したのは、マコト・ハイランド・バンド、1979年の「INJECTION」。矢野誠のプロジェクトだ。アルバムタイトルの「INJECTION」が流れたが、これがカッコ良い。「ドラムスは生演奏なんだけど、誰が叩いているか分かりますか?」の問いかけに、観客の多くが「高橋幸宏!」と即答。やはり、シンセ・サウンドにハマったユキヒロのドラムは、一聴すれば分かる。今回の再発にあたり、矢野誠と松武秀樹の対談が行われそうだが、そこでの矢野誠の発言、「(こういうドラムスは)林じゃ駄目だ!」。そうなんだよなぁと、私も深く首肯。
続いて、ザ・エレクトロ・サンタクロース、1976年の「シンセサイザーによる子供のための楽しいクリスマス」。これは、シンセサイザー・ユニット、バッハ・リヴォリューションが変名で発表した子供向けクリスマス企画アルバム。シンセで再現した猫の声や犬の声も使って、クリスマス・ソングを奏でるという作品。曲はユーモラスだが、当時の機材でこの音を作ったのは、つくづく凄い。
そして、ご本人、松武秀樹、1979年の「デジタル・ムーン」と1978年の「謎の無限音階」を1枚にまとめたアルバム。SONYのWalkmanの発売に合わせて作られたテープの企画だったそうだ。007の映画音楽をシンセ・アレンジした作品と、松武秀樹の代名詞、無限音階(エッシャーのだまし絵の階段のように、どこまでも音階が上がっていく / あるいは、下がっていくように聞こえるサウンド)。この制作の様子を見学した細野晴臣が、彼をYMOに誘ったという。
ラストの4枚目、松武秀樹の師匠、冨田勲、1972年の「スイッチト・オン・ヒット&ロック」。なんと、冨田勲がThe BeatlesやElvis Presleyをカヴァーしたという作品。私が持っている冨田勲の印象とは違う、攻めたサウンドだが、そこここに、彼らしい音色も顔を出す。松武秀樹がその場で、MOOG IIIcを操作しながら、富田勲のシグネチャー・サウンドと言える"オヤジTONE"(風呂場で下手な浪曲を唸るおじさんの声っぽいサウンド。富田勲はシンセで人の声を出すことを探求し続けたそうだ)や、口笛っぽい音を再現する。このシンセ、YMOのワールドツアーにも同行した1971年製の物だが、内部にICは使われておらず、トランジスタのみ。逆に、そのせいで、今でもメンテナンスが可能だそうだ(ICだと製造中止になれば、それで詰み。一方、トランジスタは汎用品)。MOOG IIIcには、メモリー機能が無いので、サウンド探求の過程を手書きでメモした松武秀樹の手帳のコピーが来場者特典で配られたのも嬉しいし、富田先生へのリスペクトが溢れる解説ぶりにホッコリもする。
最後に、松武秀樹が持ってきた、冨田勲の秘蔵音源「銀河鉄道の夜」をたっぷり流して、イベント終了。
最初から最後まで、滅茶苦茶面白いイベントだった。先人達が、試行錯誤の末に生み出したサウンドの、今でも色褪せないクオリティーに驚き、お二人のマニアックなトークに興奮する。そこに出てくる人名や機材名などの固有名詞は、どれも嬉し懐かしのものばかり。
さらに、RITTOR BASEが誇るスピーカー:GENELEC S360Aと、サブ・ウーファー:GENELEC 7380Aが轟かす音が、つくづく素晴らしい。サイズは小振りなのに、爆音で流しても、一切、破綻することなく、定位も全くブレない。さすが、プロの現場で使われるモニター・スピーカーだ。このスペースでは、プログレ系のイベントも多く開催されているそうで、今後も要チェックだ。
Claude Monetの没後100年、オルセー美術館の全面協力のもと、同館が所蔵する90点の作品に、国内の美術館や個人所蔵作品を加えた合計約140点の作品で構成される大規模な展覧会を観に、アーティゾン美術館に行ってきた。Monetの作品だけで無く、同時代の作品や、Monetが被写体となった写真も多数。なお、オルセー美術館が所蔵するMonetの作品は全部で76点、その内、41点が来日していることになる。
正直、Monetの展覧会は、しょっちゅう行われている印象だ。特に、2024年には、上野の森美術館「モネ 連作の情景」、と、国立西洋美術館「モネ 睡蓮のとき」と、大規模な展覧会が続いたので、正直、今回はパスでも良いかなと思った。が、やはり、この規模の展覧会は観ておこうと出かけてきた。さすが、Monetの展覧会。場内は多くの人で賑わっていたが、上野の森美術館や国立西洋美術館に比べ、アーティゾン美術館は人数制限に気を遣っているようだ。ウェブからの日時指定予約が完売したら、当日券販売はキッパリと行わないので、鑑賞が困難になるほどの過密状態にはなっていない。
観たことのある作品も多かったが、やはり、キー・ヴィジュアルに使われている「戸外の人物習作 - 日傘を持つ右向きの女」の実物は存在感があるし、
初めて観た「トルーヴィル、ロシュ・ノワールのホテル」も印象的。
もちろん、「睡蓮」系列の作品も充実。
また、Monetが活動していたのは、写真が実用化された時期でもあるという指摘は、ちょっと、目から鱗という感じ。Monet自体が被写体になった写真や、セピア色のモノクロなのに、印象派の絵画のようにも見える風景写真などが展示されていた。一方、歌川広重の浮世絵やÉmile Galléのガラス器も展示されていたのだが、意図は分かるが、Monetの作品との相乗効果が今一歩、発揮出来ていなかったような気がした。
オーディオ・ガイドが無料というのも良心的で、質・量とも、間違いの無い展覧会だ。
連日、様々なものの値上げのニュースが続く中、TVを大型化したため、消費電力の増加が懸念される訳ですが、洗濯機が、21年前の物より省エネ性能が高まっていることに期待したい、今日この頃です。
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