IN/OUT (2024.1.7) |
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災害・事故が相次ぐ、なんとも落ち着かない2024年の年明けになってしまいました。個人的には、今回の帰省に、いつもの飛行機では無く(割安チケットが取れなかった)、新幹線を使ったことが幸いでしたが… 最近のIN”Talk to Me” (24.1.2)オーストラリア製のホラー映画を観てきた。 主人公の女子高生が、仲間内で流行っている降霊会に参加する。それは、陶器製の手の置物(その中には、切断された霊媒師の手を封じ込めたと言わている)を握り、”talk to me”と言えば目の前に霊が現れ、”I let you in.”と言えば、その霊が自分に憑依するというもの。それをスマホで撮影し、SNSにアップするのが、今どきの降霊会だ。90秒以内に手を放さなければ、霊に身体を乗っ取られてしまうという時間制限があるのも、SNS向き。しかし、最初のチャレンジで、主人公は90秒の制限時間を超えてしまう。その場は何事もなく終わったのだが…。 予想を覆す展開、それも鬱展開が続く。PG12指定の割には、激しめの人体損壊シーンもある。2年前の母親の死から立ち直れずにいる主人公の面倒くさい性格と、ことごとく悪い方向に事態をこじらせる選択にイライラさせられる。結果、親友の弟(素直で良い子)が、とんでもない酷い目にあってしまう。そして、救いの無いラスト。年明け1発目に観る映画としては甚だしく不適切、という気がする。 が、途中で目が離せない求心力が途切れない演出は見事。監督のPhilippou兄弟はYouTuberで、これが長編映画初監督。若手らしい勢いがある。彼らのポリシーとして、「恐怖を描いているのに、ハッピーエンドになってしまったら怖くない」というのがあるらしい。まぁ、主人公が感情移入しづらいタイプなので、このエンディングも許せるかな。 ということで、見終わった後、嫌ぁな気分になるのと同時に、上手く作ったなぁと感心もしてしまう。いずれにしても、新感覚の作品として、ホラー映画好きは押さえるべきだろう("A Happy New 嫌ぁ" という駄洒落を思いついてしまった…) 「清水ミチコアワー ~ひとり祝賀会~ in 日本武道館 10th anniversary」@日本武道館 (24.1.3)年始吉例、清水ミチコの日本武道館ライヴを観に行ってきた。ついに、今年で10回目。私は、7度目の参戦の太客である。 昨年が、前から2列目の超強運席だったが、今年は、そこまでの良席ではない。それでも、アリーナ席なのが嬉しい。入場時に、ペラペラのチープなトートバッグが渡され、座席の上には、チラシの他に、サイリウムが置いてある(コンサート会場で配られるチラシ類は、結構邪魔になるので、このトートバッグはありがたい)。 10回目の武道館公演を祝す、ゆかりの人達(この人選が、絶妙!)からのメッセージ・ビデオなどの後、開演。例年以上にキツい客いじりに、しっかり対応する客席。この互いの信頼感が、10回続けてきた重みだと思う。昨年、自然発生的に起こった「水を飲む清水ミチコ」で起こる拍手は、より強化されて継承されている。 「新しい学校のリーダーズ」や「打首獄門同好会」など、新しいところもしっかり採り入れ、アップデートされたネタの数々。今年も、絶好調だ。もちろん、実弟 イチロウ氏との共演もしっかり。観客席全体で青いサイリウムの光が揺れるのも、これまでに無い美しさ(ただ、清水ミチコとしては、後半の盛り上がるところで点灯してもらいたかったようだが、観客は皆、冒頭からポキッとな。結果、後半で光量は息切れに…)。 今年の一番の収穫は、「作曲法」の新ネタ二つ。アルフィーとYOASOBI。どちらも、絶妙な歌詞と見事な音作り。極めて高い次元で音楽とお笑いを融合させた、清水ミチコにしか出来ない芸当だ。 本編最後には、EGO-WRAPPIN'の中納良恵が登場、NHK 朝ドラ「ブギウギ」の主題歌「ハッピー☆ブギ」を共演。なんとも贅沢なご本人登場で大盛り上がり。 アンコールは、矢野顕子の歌の披露。毎回恒例だが、清水ミチコの「好き」が溢れすぎていて、正直、聴く人の好き嫌いが分かれるネタだと思っていた。しかし、今回は、MISIAに提供した「希望のうた」を、もし矢野顕子本人が歌ったら、という観点での選曲で、実に素晴らしいパフォーマンスだった。清水ミチコによる矢野顕子の物真似は、声では無く、ピアノのタッチがそっくりというところが、つくづく素晴らしい。この曲自体、ライヴを締めくくるのにふさわしい佳曲。 ということで、年始の定番イベントに今年も行くことが出来、幸先の良い2024年のライヴ参戦スタートである。 「モネ 連作の情景」@上野の森美術館 (24.1.4)Claude Monetの作品を集めた展覧会を観てきた。60点以上の展示、全てがMonetの作品という、潔さ。 展示の初めの方には、「印象派」以前の初期の作品が飾られている。写実的な作品や、人物画など、私がイメージするMonetとはちょっと違う、意外な感じの作品が多い。 若くして、フランスの公式美術展覧会「サロン」に入選し、上々の画家デビューを飾るも、徐々に保守的なサロンでは評価されず、落選が続くようになった結果、仲間達と独自の展覧会を開くようになり、印象派が形成されていったそうだ。そして、印象派の画家として作風を確立していった後の作品は、いわゆるMonetらしい筆致になっていく。 この展覧会の特徴が、同じモチーフの「連作」を並べて展示していること。同じ風景を、時間や光、気象の変化を反映して複数の作品にしていくのが「連作」。この展覧会では、そうした連作を並べて展示するため、12ヶ国、40館以上の美術館から貸し出しを受け、作品を集めたそうだ。「積みわら」、「テムズ川のチャリング・クロス橋」、「ロンドン、ウォータールー橋」、そして「睡蓮」。それぞれ、同じ題材を違う光の中で描いた作品が並んで展示されている。門外漢にも分かりやすい、とても良い展示の工夫だと思う。 これで、ちょっと離れた位置から、2~3枚の連作を同時に俯瞰することが出来れば申し分ないのだが、いかんせん、人気画家の展覧会だけに会場は大混雑。複数枚を同時に視界に入れるのは、ほぼ無理なのが残念。コロナ期の3密回避にうるさかった頃が懐かしい。チケットは入場時間指定になっているのだから、もっと、入場者数をコントロールしても良いのに、とは思うのだが、主催が、産経新聞社、フジテレビジョン、ソニー・ミュージックエンタテインメント、上野の森美術館。そして、特別協賛が、にしたんクリニック。しっかり収益を上げようとしているのだろうと邪推してしまう。 因みに、音声ガイド(芳根京子と下野紘)で、展覧会イメージソング「移ろい」というのが流れていた。曲調も歌い手の声質も大貫妙子っぽいなと思っていたのだが、調べてみると、作・編曲はゴンドウトモヒコ(納得!)。歌っているのは、Hana Hope。2019年の「Yellow Magic Chidren 40年後のYMOの遺伝子」で「Cue」を歌い、印象的だった女の子だ(当時13歳。名前は "HANA"だけだった)。着実に、成長しているようで、何より。 地震の報道。最初は、揺れの割には被害は小さかったなと思っていたのが、刻々と、酷い状況が明らかになってくるという時間差があるのが、なんともやりきれません。 |