IN/OUT (2025.12.21)

神奈川県立音楽堂冬の矢野顕子強化月間も、いよいよ終盤戦。


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「Rei presents "JAM! JAM! JAM!" 2025 『Guitar x Guitar』with 佐橋佳幸」 @ ブルーノート東京25.12.20

ブルーノート東京シンガー・ソングライター/ギタリストのReiのライヴを観に、ブルーノート東京に行ってきた。

とても優れたギタリストであるだけでなく、矢野顕子のファンで、しかも、影響を受けたアルバムの一つにYESの”Fragile”を挙げている彼女。私としては大いに気になる存在だが、これまで、
2021年の渡辺香津美のライヴへのゲスト出演
今年3月の山中千尋のライヴへのゲスト出演
を観ているだけで、彼女自身のプロジェクトを観るのは、これが初めてだ。

なお、今回のブルーノート東京は2 days公演で、1日目が『Guitar x Guitar』with 佐橋佳幸、2日目が『Voice x Voice』with 木村カエラ、となっている。私がチケットを取得した時点ではゲストは発表されていなかったのだが、結果的に佐橋佳幸の回を引き当て、ガッツポーズ!

本日のメンバーは、
・Rei(g,vo
・Rina Kohmoto(key
・秋田ゴールドマン(b
・YUNA(ds
そして
・Special Guest:佐橋佳幸(g

まずは、バックの3人が登場し、ヒップホップ調のリズムで演奏開始。そこに、ラップを重ねてRei嬢登場。さすが、幼少期を海外(フランスと米国)で過ごしただけに、日本人離れした英語詞のラップがカッチョ良い。そして、ステージに上がり、ギターをかき鳴らす。

挨拶代わりのオープニングをキメてからは、曲毎にギターを持ち替えながら、「In the Mood」の現代風アレンジや、ご自身のオリジナル。シャウトする歌声も、速弾きギターも、聴き応え有り。ゴリゴリのロックのようで、背景にジャズやブルーズの要素がたっぷり(あと、椎名林檎風味もあるかも)。奥深い、実力派ミュージシャンだ。

そして、中盤。佐橋佳幸登場。Rei嬢は、本当に彼のことをリスペクトしているようだ。まずは、佐橋佳幸が参加した代表曲として「ラブ・ストーリーは突然に」。そうか、私は、佐橋佳幸と言えば、The YANOAKIKOのメンバーで、山弦の一員で、山下達郎のバックバンド、というイメージだが、世の中的には、この曲の冒頭の「ジャカジャンッ」のギターの人なのだな。Rei嬢のヴォーカルも中々のものだが、アウトロでの2人のギターの重なりが熱い。やはり、2人とも上手い!

さらに、竹内まりやの「マージービートで唄わせて」と、Rei嬢のオリジナル曲の3曲を佐橋佳幸と共演。ゲストとして出しゃばりすぎない、それでも上手さがダダ漏れしている佐橋佳幸と、尊敬するベテランに臆することなくガッツリ共演するRei嬢。合間には、ギターおたく同士らしい会話も弾む。良いものを見せていただいた。

佐橋佳幸退場後、さらに2曲ほど、観客席を熱くして、本編終了。

アンコールは、佐橋佳幸と2人だけで、アコギのセッション。1960年 Charles Brownの「Please Come Home for Christmas」(1978年にEaglesもカヴァー)と、John Lennonの「In My Life」(The Beatlesの作品だが、お2人はJohnの曲として紹介)。これで全編終了。

Rei嬢の楽曲をほとんど予習しないまま臨んだことを少々後悔してしまったが、とても良いパフォーマンスだった。もっと、積極的に追っかけなければ。そして、佐橋佳幸、圧倒的に上手いことを改めて実感。


TOURNEZ LA PAGE(トゥルネラパージュ)で、TRIO+6BASSHORNシステムを聴く25.12.21

トゥルネラパージュ上原ひろみのライヴを観に、浜松へ行ってきたのだが、ライヴ前に、喫茶店「トゥルネラパージュ」を訪れた。いつもは浜松市楽器博物館を観に行くのだが、たまには違うところに行ってみようかと検索していて、見つけたのだ。

この喫茶店、ドイツのメーカー"Avantgarde Acoustic"製の、ローミッドレンジ、ミッドレンジ、ツイーターの3ホーンで構成したスピーカー"TRIO"にホーン型アクティブサブウーハー"BASSHORN"× 3ペア(6本)を組み合わせた ”TRIO+6BASSHORN”システム(お値段、おそらく2千万円超)を鳴らすという、とんでもない変態喫茶店(誉めてます)だという。

トゥルネラパージュ場所は、アクトシティ浜松のすぐ近く。店内、入ってすぐのところは普通のテーブル席。その奥に、床が一段下がり、天井が高くなったスペースがある。ここがリスニング・エリア。突き当たりの壁際に、巨大なスピーカー・ユニットが威容を誇り、スピーカーに向いて並んだ座席がある。ここは、お喋り禁止。

私は、当然、リスニング・エリアに席を取ったが、バランスが良さそうな好ポジションは既に埋まっていて、左側のホーン・スピーカーの間近に着席。この、ベストとは言えない席でも、その音の良さに驚愕。ピアノ・トリオや、そこにサックスが加わった王道のジャズが鳴っているが、どの楽器の音も、とにかく生々しい。例えば、ドラム・セットのハイハット、スネア、タム、それぞれが、きちんと分離し、空間に定位している。巨大なホーンの見た目から、派手に色づけされた音かもと思っていたのだが、実際に聴いてみると、スピーカーの存在感は消失し、楽器そのものが目の前にあるようだ。これは、期待以上のオーディオ体験。あっという間に、1時間以上、時間が溶けていく。

オーダーを間違えられるというトラブルはあったが)接客も良い感じだし、豆にこだわったコーヒーも美味しい。音楽に集中するも良し、座り心地の良い椅子で読書に耽るのも良し。それらに飽きたら、スピーカー上のスクリーンに投影されているBuster Keatonの無声映画を観るのも良し。近所にあったら、通ってしまいそうな店だ。

次回、浜松遠征があれば再訪したいし、あのスピーカーで、クラシックやロックも聴いてみたいと夢想するのである。


「上原ひろみ Hiromi's Sonicwonder JAPAN TOUR 2025 “OUT THERE”」 @ アクトシティ浜松 大ホール25.12.21

アクトシティ浜松仙台東京に続いて、上原ひろみのプロジェクト "Hiromi's Sonicwonder”の公演を観に、アクトシティ浜松に行ってきた。彼女の故郷での凱旋公演は、他会場とは一味違う盛り上がりで、極力、参戦したい(しかも、JAPAN TOURの千秋楽でもある!)。ということで、このところ、毎年恒例となっている浜松詣。

アクトシティ浜松メンバーは、もちろん
・上原ひろみ(piano & keyboards
・Hadrien Feraud(bass
・Gene Coye(drums
・Adam O’Farrill(trumpet

2,336席の大ホール。私の席は、舞台向かって左。このツアー、3回目にして、ついに、ひろみ嬢側!しかも、かなり前方の席。ひろみ嬢の斜め後方から、キーボードを引く指使いがしっかり見え、客席の方を向いたときの表情もバッチリ視認できる好ポジション。

本編のセットリストは、これまでと同じ。まずは、このプロジェクトの1st Albumのタイトル曲「Sonicwonderland」。例によって、出だしから飛ばす飛ばす。

最初のMCで、浜松公演の恒例、遠州弁で「浜松に、返ってきたにぃ!」そして、2nd Albumのタイトル曲「OUT THERE」。4曲構成の組曲を一気に演奏。見事に構築された組曲が、今日は一段と熱い。「ジングルベル」や「Green Tea Farm」のフレーズを仕込んだりのお楽しみもありつつ、キーボード、ピアノ、エレピの3台の鍵盤を弾き倒すひろみ嬢。3人もノリノリでプレイしている。特に、組曲 3曲目の「オリオン」から「ザ・クエスト」の流れが実にエモい!

20分の休憩後、さらに熱量が上がった第2部。「Up」、「Utopia」、「XYZ」、そして、「Yes! Ramen!!」と、私の好きな曲ばかりの詰め合わせ。特に「XYZ」は、圧巻のプログレッシブ・ロックだ。

アンコール。ツアー・グッズのトートバッグを持って登場したひろみ嬢、グッズのキーホルダーに秘められたメッセージを明かす(キーホルダーに、彼女が愛する浜松のラーメン屋「みやひろ」がデザインされているのだが、丸くレイアウトされた「みやひろ」の文字列を読んでいると、「ひろみ」が浮き上がる!)。そして、会場ごとに変わるソロ、本日は「Pendulum」。これまでの白熱の演奏が嘘のような、繊細な響き。ただただ、美しい。

そして、バンド・メンバーが揃って、「バルーン・ポップ」。ここでも、本日何回目かのジングルベルのフレーズが顔を出し、一瞬の静止を恐れないGeneのクセ強ドラム・ソロも熱く、Adamは浜松まつりの信号ラッパをぶっ込み、大盛り上がりのうちに全編終了。最後、ステージを去り際のひろみ嬢の「浜松、サイコーッ!」のシャウトを聞けて、今年の遠征も大満足なのである



日経ホール冬の矢野顕子強化月間 最終戦、ブルーノート東京、浜松遠征が控えるこの週。前半に、喉に違和感が…。この嫌な感じは、風邪が悪化するパターンだと思い当たり、早めに医者へ。インフルエンザではないという検査結果がとにかくありがたかった今日この頃です(処方薬と栄養ドリンク剤のおかげか、悪化せず)。

因みに、浜松は、何故か、エヴァンゲリオンとのコラボで「シン・ハママツ計画」が進行中でした。浜松駅前 浜松駅前