先週も驚いたのに、さらにそれを上回る、三ヶ月分ぐらいの季節を行ったり来たりするような気温の変動が続いています。いよいよ、何を着ればよいのか、分からなくなる今日この頃です。
最近のIN
小倉博和と佐橋佳幸によるギター・デュオ「山弦」と大貫妙子によるライヴを観に、ビルボードライブ横浜に行ってきた。
まずは、山弦の二人で「春(Spring)」。私の席は、小倉博和の至近。繊細かつ大胆な指使いがハッキリ見える(佐橋佳幸の方は、譜面台の影になって、あまり見えないのが残念)。
2曲目で、大貫妙子を呼び込むのだが、彼女のポジションは、舞台中央の奥。舞台に向かって左前方に小倉博和、右前方に佐橋佳幸、ヴォーカリストが奥に引っ込むという、中々見ないフォーメーションだ(ザ・質実剛健の大貫妙子らしい感じではある)。
「さっき(1st Stage)より、マイクが高くない? 私が縮んだ??」と呟く大貫妙子……。で、「横顔」。全く気負ったところの無い、ベテラン3人によるアンサンブル。何とも心地よし。
「森へ行こう(「劇場版 どうぶつの森」のエンディング曲)」、「あなたを思うと(山弦の「祇園の恋」に大貫妙子が歌詞を付けた曲)」を3人で演奏したところで、大貫妙子は退場。
ここから、山弦の2人がたっぷりお喋り。横浜 三渓園の話など(小倉博和が「パン祭り」をイジるのが面白い)。そして、「rise & shine」と「Joy Ride」。途中、小倉博和のアンプから音が出なくなるトラブルがあったが、そこは、手練れの2人。当意即妙に乗り切りつつ、馬鹿テク炸裂!
大貫妙子が戻り、私が大好きな「新しいシャツ」。彼女の歌声の透明感が際立ち、懐かしくも良い曲だ。そして、「春の手紙」。世界中のシティ・ポップ・ブームで火が点いている「都会」。本編ラストは「a life」。
アンコール。山弦の2人で「祇園の恋(GION)」。大貫妙子も戻って「ピーターラビットとわたし」で全編終了。
大貫妙子の美しいメロディー・ラインと繊細な歌声が、超絶技巧のアコースティック・ギター・デュオと絡まり、実に良い雰囲気のライヴだった。
ポン・ジュノ監督がハリウッドで撮ったSF映画を観てきた。
Robert Pattinson演じる冴えない主人公が、悪徳金貸しから逃れるため、氷に閉ざされた惑星の植民プロジェクトに参加する。しかし、彼が、ろくに契約書も読まずに申し込んだのは、”Expendable”。何度死んでも、生き返らされ、酷使されるという、まさに消耗品として扱われる仕事だった…。それを支えるのが、3Dプリンターのような機械で全く同じ肉体を再現し、外部記録装置に保存しておいた記憶をインストールするというテクノロジー(劇中では「プリント」と呼ばれる)だ。彼は、様々な人体実験の被験者となり、何度も死に、その度に「リ・プリント」されることを繰り返す。
そうこうしながら、プロジェクト一行は、ついに目的の惑星に辿り着くのだが、そこには奇怪な姿の現住生物がいる。「風の谷のナウシカ」の「王蟲」のような形状だが、身体は柔らかく、よりグロテスクな見た目だ(この造形も、いかにもポン・ジュノ監督っぽい)。植民プロジェクトのリーダー(Mark RuffaloとToni Colletteが怪演!)は、その生物を殲滅しようとするが…
格差社会の下層に位置する主人公の目を通して、支配者層の醜悪な実体を抉り出すという構図は、私がこれまでに観た監督の過去作「グエムル 漢江の怪物」や「パラサイト」と共通していると感じるが、様々な問題意識をゴッタ煮のように詰め込んだ今回は、よりメッセージが強烈だ。映画の製作時にどこまで意識していたのかは分からないが、トランプ的な風潮への痛烈なカウンター・パンチのようでもある。それと同時に、人を喰ったような笑いが散りばめられている捻くれ具合も好印象。見応えのある傑作だ。
山中千尋のデビュー20周年を記念したライヴを観に、ブルーノート東京に行ってきた。日本を代表するジャズ・ピアニストの一人だが、私は、彼女のメジャー・デビュー直後の2006年に一度観たきり。熱心なリスナーとは言えないのだが、今回はゲストに日替わりでギタリストを呼び、2日間の公演をするという趣向。1日目が、私が以前からライヴを観たいと思っていたReiということで、久しぶりに観てみることにした。
まずは、トリオでの演奏、Eliane Eliasの「Inpulsive!」でスタート。硬質で力強い山中千尋のピアノ、落ち着いた山本裕之のベース、高速かつ音圧高めのDaniel Baederのドラムスの組み合わせ、とても良い感じだ。
そこから、Bud Powellの「Hallucinations」、Richard Rodgerによるスタンダード「You Are Too Beautiful」、César Camargo Marianoの「Curumim」と、トリオ演奏が続く。
ゲスト登場の前に、ロック寄りの曲を、ということで「Sing, Sing, Sing (With a Swing)」を演奏した後、Rei登場。まずは、John Scofieldの「Kool」。これは、見事なファンク・ナンバー。Reiのギターは、リードでも、バックに回っても、山中千尋とのアドリブ合戦でも、常に的確なプレイだ。演奏技量の高さはもちろん、頭の良さも伝わってくる。
続いては、Reiのヴォーカルをフィーチャーし、「Days of Wine and Roses(酒とバラの日々)」から、Reiのオリジナル「Tumblin'」のメドレー。迫力ある歌唱で、ヴォーカリストとしても、Rei、凄いな。
最後は、Herbie Hancockの「Cantaloupe Island」をカッコ良くキメて、本編終了。山中千尋だけでなく、トリオが一体となってReiを盛り上げていたような印象だ。
アンコールは、トリオで、彼女のライヴでのド定番「八木節」。これで、全編終了。Reiのクレヴァーなプレイと、山中千尋の堂々たるジャズ・ピアノ。聴き応えのあるライヴだった。
山中千尋のデビュー20周年を記念したライヴ。日替わりゲストの2日目は、村治佳織。クラシック・ギタリストの彼女がジャズ・ギタリストの渡辺香津美と共演するのは観たことがあるが、ジャズ・ピアニストとの共演がどのようなものになるのか、興味津々での参戦だ。
バックは、前日と同じく、ベースの山本裕之と、ドラムスのDaniel Baeder。今回のセットも、まずは、Eliane Eliasの「Inpulsive!」でスタート。しかし、初日の1st Showと、2日目(最終日)の2nd Showでは、トリオの熱量が桁違いのように感じる。今日は、冒頭から激しい!
続いて、Antônio Carlos Jobimnの「The Girl from Ipanema」。タイトなリズムに支えられた、ボサ・ノヴァとは離れた解釈での熱い演奏。もう1曲、Jobimnの「Desafinado」。こちらも、椅子から跳ね上がりながらのダイナミックな演奏。今日のトリオ、特に山中千尋の気合いが、凄い。
そして、村治佳織登場。ありがたいことに、私の席は彼女の至近! César Camargo Marianoの「Curumim」で演奏開始。彼女のギターを弾く指捌きを間近で見る至福!!
続いて、久石譲の「人生のメリーゴーランド(映画:ハウルの動く城)」。村治佳織のライヴで何度も聴いている曲だが、やはり、彼女の実に美しいギター・サウンドが胸に迫る。さらに、このトリオとの共演では、後半、一気にサンバ調に展開するのが楽しい。また、この曲で彼女が使用していたアコースティック・ギターが、渡辺香津美から預かっているものだと聞いて、さらに胸熱。
共演の最後は、Luiz Bonfáの「Samba De Orpheus」。どこまでも軽やかなギターの音色に溶け合うピアノ・トリオ。素晴らしい。
村治佳織が退場し、本編最後は、彼女自身の作品「So Long」。
アンコールで登場したトリオ。山中千尋がベース、山本裕之がピアノと、楽器を入れ替えて、「枯葉」(楽器を入れ替えるパターン、2006年に観たライヴでもやっていて、どうやら彼女のライヴではお馴染みの光景らしい)。もちろん、本職のプレイヤーのような演奏とは行かないが、中々どうして、意外に健闘し、ガッツリ全曲、弾き通す。そして、本来のポジションに戻って、大迫力の「八木節」の熱演で全編終了。
Reiと村治佳織という、全く個性の違うギタリストを招いての2 days。それぞれに合わせた見事な演奏を披露する山中千尋。20年間、サヴァイヴしてきた、流石の力量だと改めて感嘆。どちらの共演もとても楽しく、良い企画に参戦することが出来た。
とは言え、彼岸も過ぎて、陽射しはすっかり春。桜も一気に開花が進みました。 |