IN/OUT (2022.7.17)

異例の早さの梅雨明け発表の後、結局、梅雨末期のような天候になってしまいました。まあ、昔から「戻り梅雨」という言葉あるぐらいだから、珍しい事でもないのでしょうが。


in最近のIN

Stick Men @ ビルボードライブ東京22.7.11

ビルボードライブ東京Stick Menの公演を観に、ビルボードライブ東京に行ってきた。

Tony Levin(Stick)、Markus Reuter(Touch Guitar)、Pat Mastelotto(Drums)のトリオである。この内、Tony LevinとPat Mastelottoは、昨年のKing Crimson公演の来日メンバーだ。このバンドのライヴは、2015年と、2017年にも、ビルボードライブ東京で観ているが、2015年はDavid Cross、2017年はMel CollinsというKing Crimson人脈がゲスト出演していた。今回は、純粋に三人だけでの公演である。King Crimsonのナンバーも演奏してくれるのが彼らのライヴのお楽しみなのだが、今回は三人だけ。果たして、どうなるか?

新アルバム「Tentacles」を含む彼ら自身の曲が中心ではあるが、意外にもCrimsonナンバーも多し。まずは、3曲目に「Red」。私の偏愛する曲だが、Pat Mastelottoのマッチョでかつテクニカルなドラムスが叩き出すリズムに、ギターのフィンガーボードだけを巨大化させたようなStickと、パッと見はエレキ・ギターだが弾き方の癖が強いTouch Guitarという二種の変態楽器が乗ると、オリジナルではハードさの影に見え隠れしていた叙情性は薄れ、徹頭徹尾、ソリッドなサウンドになる。すごいアレンジとテクニックだ。

King Crimsonのナンバーは、他に、「Sheltering Sky」、「Level Five」、そして、アンコールで「Larks Tongues In Aspic Part Two」! メタル・クリムゾン以上に硬質な演奏に、興奮しっぱなしである。

それにしても、Tony Levin。76歳にして、このカッコ良さは素晴らしいな。


”Boiling Point”22.7.16

ロンドンの高級レストランを舞台にした英国映画を観てきた。

クリスマス前の金曜日、予約で満席の高級レストラン。しかし、オーナー・シェフは家庭問題に頭を悩ませ、食材の仕入れに支障を来すほど。さらに、開店前に当局の衛生管理官から厳しい指摘を受けるは、遅刻してくる従業員はいるはで、疲労困憊。いざ、開店すると、元ライバル・シェフで今はTVで活躍する男と有名グルメ評論家、人種差別者的傾向を持つ嫌みな金持ち、自意識過剰の自称インフルエンサーなど、面倒な客が続々来店。主人公もレストランのスタッフ達も、どんどんテンパっていく。

一つ一つのトラブルは、あり得そうなものばかりで、オーバーな脚色は無い。ただ、それが次々と積み重なっていき、緊張感はどんどん高まっていく。そして、この90分間の出来事を、全編、編集無しのワン・ショットで描くのが、この映画の凄いところ。結果、観客もリアル・タイムで、このトラブルの連続を体験することになる。圧倒的な没入感だ。

ワン・ショットではあるが、カメラは、厨房、バックヤード、客席、店の外と、縦横に移動する。動線の設計だけでもとんでもなくハードルが高そうなこのチャレンジに、俳優陣も、本物のレストランの従業員にしか見えない徹底した役作りで応える。

ということで、緊張感に満ちエキサイティングな、見応えの有る映画だった。ただ、ラストは、ちょっと好きじゃ無いかな。


"Coupez !"22.7.16

カメラを止めるな!」をリメイクしたフランス映画を観てきた。タイトルは「カット」を意味するフランス語。英語でのタイトルは「Final Cut」。そして、邦題は「キャメラを止めるな!」。

日本で大ヒットしたゾンビ映画をフランスでリメイクすることにしたという設定で物語が始まる以外は、オリジナルに沿ったストーリーだ。オリジナル作からは、竹原芳子(どんぐり)が、プロデューサー役で参加している。

全編に渡り、オリジナルへのリスペクトが感じられるリメイクで好感が持てる。ただ、登場人物一人一人の掘り下げが、もう一段、物足りない気がする。そのため、後半の怒濤の伏線回収の興奮がオリジナルより弱いかな。まあ、ネタを知ってから観ているせいもあるだろう。あと、前半の駄目駄目映画パートの駄目っぷりが、オリジナル以上に駄目な感じなのは、やり過ぎか。

そんな中、竹原芳子の存在感が際立っている。大阪のオバチャン・パワーは、国境も言語の違いも飛び越えるのだ。

そして、ラストシーンで胸熱の涙が溢れるのも、オリジナルと同じ。結局、チームでの物作りの熱さもまた、国境も言語の違いも無いのである。



そもそも、梅雨入り・梅雨明けを宣言してもらう必要ってあるのですかね。