IN/OUT (2017.2.26)

村上春樹の新作発売が、NHKニュースでも大きく取り上げられる今日この頃。私も、さっそく手に取りたいところではありますが、紙の本を読むことがすっかり苦手になった今、大長編に手を出すのに、いささか躊躇しています。

村上氏の作品の内、Kindleで読めるようになっているのは、一部だけで、いわゆる「大長編」系はKindle化されていません(日本ではKindle化されていない「ねじまき鳥クロニクル」や「1Q84」も、Jay Rubinが翻訳したVintage International版はKindle化されているのに!)。電子ブックへの偏見を捨て、全作のKindle化を強く求めたいところです。


in最近のIN

Stick Men with Mel Collins @ビルボードライブ東京17.2.21

Stick Menの公演を観に、ビルボードライヴ東京に行ってきた。メンバーは、"DISCIPLINE"以降のKing Crimsonを支えたスティック奏者 Tony Levin、ダブルトリオ時代のKing Crimsonの主要ドラマー Pat Mastelotto、さらに、Robert Fripp's Guitar Craftの門下生 Markus Reuterの三人。さらに、1970年代前半、"In the Wake of Poseidon"の頃のKing CrimsonメンバーだったMel Collinsがゲスト出演。

彼らの公演は、2015年にもこの会場で観ている。その時は、David Crossがゲストで、かなりKing Crimson寄りの選曲で盛り上がったのだが、今回はどうなるのか、期待が高まる。

冒頭、Markus ReuterとMel Collinsの二人による「Soundscape」。Markusの出すRopert Frippっぽい音と、Melのフルート&サックスのインプロヴィゼイションが、見事にマッチ。そして、残りのメンバー登場(Pat MastelottoとMarkus Reuterって、がっしりした体型にもじゃもじゃ頭で、見た目がそっくりなのだ)。

期待していたKing Crimsonのナンバーからは、1984年の「Three of a Perfect Pair」収録の「Industry」、2001年の「Level Five」と、超渋めというか、あまりMel Collinsを意識していない選曲(追記:Mel在籍時の、"Sailor's Tail"を演奏していたと、ツッコミをいただだきました。すいません、そうでした)。今回は、Stick Men自身の曲に焦点を当ててきた感じで、2016年の最新作「Prog Noir」収録の「Plutonium」「Mantra」「Prog Noir」、2010年の「Soup」、2012年の「Open」などを披露。どの曲も、決して、キャッチーな聞きやすいタイプではないが、ハードでゴリゴリとカッコ良い。圧巻は、四人のインプロヴィゼイション。ほぼ全員、King Crimson出身とは言え、初期のMel Collinsと、"DISCIPLINE"期からのTony Levin、ダブルトリオ時代のPat Mastelottoと、時代もサウンドも違うのに、この相性の良さは何だ。

そして、今回も感じたのが、Tony Levinの、プレイヤーとしての格好良さだ。細身の長身にスキンヘッドという外観で、スティックという、あまり一般的ではない楽器(ギターのフレットの所だけを拡大したような、細長い板状の弦楽器)を抱え、脚を大きく拡げてプレイするする姿は、まさにロック・ミュージシャン。もう、70歳を過ぎているとは思えない。



クリスティの全著作をKindleで再読し終え、次は、ディクスン・カー / カーター・ディクスンに取り組み始めたところ、彼の作品は、代表作と呼ばれている物でもKindle化されていないものが沢山有ることにも、落胆しています。まあ、既に「古典」だから仕方ないとは思いますが、そうすると、いまだに全著作がKindleで読めるクリスティの凄さにも感心せざるを得ないですな。