IN/OUT (2022.7.10) |
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一世代前の人達とは違い、自分は一生、戦争や大きな社会動乱には無縁だろうなと漠然と思ってきました。しかし、それは、あまりにも無邪気で楽観的だったな、と思わざるを得ない今日この頃です。今がまさに、世の中の大きな曲がり角なのかもしれないという気がします。 最近のIN「シン・ウルトラマン」テレビシリーズ「ウルトラマン」(1966年)メフィラス登場回付き特別上映 (22.7.9)「シン・ウルトラマン」を、また映画館で観てきた。現在、本編上映終了後に、オリジナル・テレビ・シリーズの第33話「禁じられた言葉」も上映されているのだ(7月21日まで。22日から8月4日は最終話「さらばウルトラマン」が上映される予定)。 今回の映画化では、ウルトラマンに変身する役の斎藤工以上に、「禍特対」メンバーの長澤まさみとメフィラス役の山本耕史の存在感が際立っているのだが、その重要な元ネタ回である「禁じられた言葉」を一緒に上映するというのは、とても上手い戦略だと思う。私のような者がホイホイと映画館に足を運ぶのだ。 続けて観ると、映像技術の進化にも驚くし、いかにオリジナルをリスペクトした映画化になっているのかも良く分かる。何よりも、映画館の大スクリーンで観るフジ隊員は、懐かしくも有り難かった。 「米田知子 残響―打ち寄せる波」@ShugoArts (22.7.9)写真家 米田知子の作品展を観に、六本木にあるギャラリーに行ってきた。 以前、原美術館で観た「見えるものと見えないもののあいだ」シリーズ(ガンジーやフロイトら、歴史上の偉人達が実際にかけていた眼鏡と、そのレンズ越しに配置された彼らに縁のある文書を撮影した作品群)が印象的で、彼女の名前を覚えていたのだが、今回は、フランス、ベルギー、ボスニア、サハリン、朝鮮半島などの、戦争の記憶を残す場所で撮られた写真が並ぶ小規模な展示会だ。 正直、解説(展示室には解説文は掲示されておらず、スマートフォンなどでPDFを閲覧する形式)を読まなければ、単なる風景写真だ。しかし、解説文を読んで改めて写真を見ると、全く印象が変わってくる。この、自分自身の中に起こる感情のブレこそが、この写真展の醍醐味だと感じるし、彼女が一貫したテーマとしている「見えるもの(visible)」と「見えないもの(invisible)」の関係性を実感する。 "Thor: Love and Thunder" (22.7.9)MCUの新作を観てきた。 アメコミ・ヒーローには、生身の人間だけど何故か無茶苦茶強いBlack Widowタイプ、科学力で武装したIron Manタイプ、特殊能力を身につけたSpider-Manタイプ、さらには、Dr. Strangeのような魔法使いなど、色々なパターンがあるが、本作の主人公 Thorは、北欧神話の雷神である。さすがに神様は強すぎだという気がするが、その分、性格は他のスーパーヒーロー以上に人間くさい設定になっている。マッチョさとお茶目さを良い塩梅で兼ね備えたChris Hemsworthは、まさにハマり役。 ストーリーは、安定のMarvel印。派手なバトルと笑いのバランスが上手く取れているが、新鮮さは無い。むしろ、Matt Damon、Luke Hemsworth、Sam Neill、Melissa McCarthyという超豪華メンバーによる劇中劇(それぞれ、Loki、Thor、Odin、Hela役)など、楽屋落ち的な部分が楽しい。知性派のイメージのNatalie Portmanが、ハンマーを振り回しながら嬉々としてスーパー・ヒーローを演じているのも見所。 もう一つ、微妙に懐かし目の音楽の使い方もMCUのお楽しみだ。今作は、Guns N' Roses祭り! さらに、EnyaやABBAの曲も使われていて、この面でも満足度高し。 大きな事件が起きると湧いてくる陰謀論好きの人達。自分が認める情報だけが正しい、自分は目覚めているのだ、と思い込む人達が、それを簡単に拡散出来てしまうのは、ポピュリズムと並んで、今の社会が抱える大きなリスクだと、なんだか心配にもなります。 |