IN/OUT (2022.3.13)

3月もそろそろ後半戦。今回は、色々と変化の大きな年度またぎになりそうです。


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"The Batman"22.3.12

Batmanの新しい映画を観てきた。

宿敵 Marvelに対し、どうにも展開がもたついているDC Comics。"Justice League"などを擁するDC Extended Universeがいまいちパッとしない一方で、それとは別の世界を舞台にした"Joker"が大ヒットしたことに味を占めたのか、今作も”Joker”と同じ路線。シリアスな展開(辛気くさいとも言える)で、とことん、暗い映画である。主題歌がNirvanaの”Something In The Way”というところからして、暗さ全開だ。

本作で描かれるのは、活動を始めて2年目の若き日のBatman。まだ、目の前で両親を殺されたトラウマに縛られ、悪に対する復讐心に凝り固まっている状態。そこから、スーパーヒーローとしてのより大きな責任感に目覚める過程を描くという趣向。演じるのは、”TENET”のNeil役、Robert Pattinson。とことん根暗な青年として描かれていて、これまでの作品で描かれてきた大富豪のプレイボーイというキャラクターとはかなり違う。

一方、ヴィランはRiddler。彼もまた、原作キャラとはかなり異なる性格付けの異常者として描かれる。彼が引き起こす陰惨な連続殺人の謎を、Batmanが究明するというミステリー仕立てなのが、本作の特徴だ。シリアス路線だけでは、Christopher Nolan監督の"The Dark Knight"三部作に太刀打ちするのは難しいと思うので、原作コミックの原点に戻った「名探偵Batman」という趣向は悪くないと思う(ミステリーとして評価すると、低い点数しか付けられないが…

Riddler以外にも、Cat WomanやPenguinといったお馴染みのキャラクターが登場するが、エキセントリックなフリークではなく、それぞれ説得力のある人物造形になっているのも本作の工夫だろう。また、モーション・キャプチャー俳優の印象が強いAndy Serkisが、素顔で執事のAlfredを演じているのも一興。

正直、観る前は、陰気な、過剰に深刻ぶった映画だろうと思っていたのだが、(陰気なのは間違い無いが)最初から最後まで、高いテンションを保った、中々に見応えのある映画だった。



年度末に覚える感情が、新たな年度への希望というより、過ぎ去った時は戻らないなぁというしみじみ感になるのは、年を取った証拠ですかね。