IN/OUT (2021.2.14)

この一年間、コロナでざわざわしていると、季節感を意識することも減ってしまった気がします。


in最近のIN

「ガメラ2 レギオン襲来 4K HDR」21.2.11

「ガメラ生誕55周年記念プロジェクト」の一環として、平成ガメラ3部作の第2作「ガメラ2 レギオン襲来」の4K HDR版がドルビーシネマで期間限定上映されたのを観てきた。平成ガメラは、第1作の「大怪獣空中決戦」しか観たことが無く、「2」は初見である。

比較的シンプルなストーリー。割にリアルな自衛隊の装備と戦術。巨大な草体と共生関係にあるケイ素生物という敵怪獣:レギオンの設定。全体として、かなりリアリティ重視の作品で、好印象だ。1996年の作品だけに、画面のあちこちに古臭さが目立つのは仕方ない。

怪獣映画では「シン・ゴジラ」が大好きなのだが、それは、プロフェッショナル達が怪獣対策に挑む姿だけを集中して描いているからだ。怪獣映画にありがちな「家族愛」や「お子様設定」のサイドストーリーは、私にとっては夾雑物だ。その観点では、この作品は微妙ではある。自衛隊に交じって民間人(札幌市青少年科学館の学芸員=水野美紀と、NTT北海道の社員=吹越満)が活躍するのは、まあ、百歩譲るとしても、ガメラと心を通わせることができる少女(藤谷文子)が無意味に登場したり、純真なお子様達が無邪気にガメラを応援する(それに応えてガメラは復活する)シーンは、不要だと思う。あと、水野美紀の生足サービスは、今のご時世なら炎上しそうなシーンではある。

それらを差し引いても、中々に熱い特撮怪獣映画だと感じた。コロナ禍で大作・話題作の封切りが軒並み延期になったせいで観ることになった映画ではあるが、満足度は高かった。


桑原あい「響楽-KYOGAKU-2021 vol.2」@東京オペラシティリサイタルホール21.2.13

桑原あいのソロ公演を観に、東京オペラシティに行ってきた。

彼女のライヴ演奏は何度か観ているが、EAST MEETS WEST SUPER BANDの一員としてだったり、ブルーノート東京でのトリオ演奏だったり、イベントへの参加だったりして、ソロのしっかりした公演は今回が初めてだ。4月7日には、彼女自身、初めてとなるソロ・ピアノ・アルバムの発売も予定されており(これまで発表されたアルバムは、「桑原あいトリオ・プロジェクト」など複数人名義)、その前哨戦と言えるのかもしれない。

久々に訪れた東京オペラシティ。立派な建造物群だが、本日の会場、リサイタルホールは地下の目立たない場所にある地味なホールだ。フル・キャパシティで265席なので、本日は100名程度の観客。それを、PA 無しの生音勝負をしっかり届けるために、前に詰めた座席レイアウトを予定していたそうだ。しかし、現状を踏まえ、前後左右を空けた形に変更。前から、A列が2列、B列が2列という風になり、チケットの座席番号を見てかなり前方だと思っていたのに、会場に来てみると、そうでもなかったとガッカリする罠である。まあ、この時期、ギュウギュウの観客席は、ウィルス対策上も精神衛生上もよろしくないので、正しい判断だろう。

「Over the Rainbow」から演奏開始。会場は地味だが、くっきりした音のSteinway。トリオ演奏の時以上に集中した様子の桑原あい嬢。特に印象的だったのが、Bon Joviの「 Livin' On A Prayer」。演奏開始から、どこかで聞き覚えのあるベースラインだと思ってむずむずしていたのだが、即興も交えたジャズ・ピアノ・アレンジの熱量の高い演奏に、しばらく曲名を思い出せず。しかし、気がついてしまえば、楽しいったらありゃしない。終盤には、きちんと、お馴染みのサビのメロディーを聴かせてくれて、実に良い演奏だ。これは、4月に出る新アルバムにも収録されるそうだ。

本編ラストは、彼女のオリジナル、Quincy Jonesとの出会いから着想したという「The Back」。ライヴでの定番曲だと思うが、しみじみとよいメロディーだ。そして、アンコールは、やはり新アルバムに収録されるというカバー曲、The Monkeesの「Daydream Believer」。こちらは、オリジナルのメロディーをしかっり残しつつも、ダイナミックレンジの広いピアノアレンジで聴かせる。これで、全編終了。

今後も、機会を捉えてライヴ参戦したいと思えるミュージシャンだ。新アルバム披露のライヴが4月に開催されるそうだが、スケジュール的に行けそうに無いのが残念。



東京オペラシティそれでも、季節は巡り続けている訳で、気がつけば、陽射しはすっかり春ですね。毎回言うけど、これでスギ花粉が飛んでいなければ、気分も上向くのに。