IN/OUT (2014.8.10)

夏休み前半で、軽く腰を痛め、外出予定が大幅に縮小。年は取りたくないものです。


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「たよりない現実、この世界の在りか」@資生堂ギャラリー14.8.8

資生堂ギャラリー 銀座8丁目の資生堂ギャラリーで開催中の、現代芸術活動チーム「目」の個展を観てきた。まだ、興奮が冷めやらない、大衝撃を受けた傑作展示だった。

このギャラリー。銀座の資生堂パーラーの地下に在り、入場は無料。決して広くは無いスペースだが、侮れない企画を繰り出してくるアート・スポットだ。今回、展示されているのは、南川憲二、荒神明香、増井宏文による現代芸術活動チーム「目」によるインスタレーション。

まず、入り口が、普段の資生堂ギャラリーの入り口と違っている。開いているはずのドアが半開きになっていて、そこには「点検口」の表示が。クエスチョンマークを頭に浮かべながら足を踏み入れると、工事中のような階段が地下へつながっている。

そして、地下のギャラリーに到達すると、目の前には、「ホテルの廊下」が拡がっている?! もう、この徹底した作り込みだけで圧倒されてしまう。細部まで拘って再現されたホテル。廊下を進んでいくと、思わずニヤッとするような意匠の数々!

まあ、正直、ここまでなら、工夫と労力をかけた現代美術、という感じで終わるのだが、本当の衝撃は、最後にある一室。ここは、中に入れるようになっているのだが、そこに仕込まれた工夫に気がついたときには、それまで強固だと信じていた足下が一気に崩れて、身体ごと別次元に吹き飛ばされたような衝撃に襲われるのだ。そこから立ち直って、自分がいる空間を確認していくと、さらに細部まで徹底的に作り込まれた罠に驚愕。何を書いてもネタバレになってしまいそうだが、とりあえず、あの机の上の置き時計の仕掛けに気がついたときには、周囲に他のお客さんがいることも忘れて大声を上げてしまったほどた。

これで無料ですよ、奥さん! と叫びたくなるような、凄い「体感型インスタレーション」だった。これだけ作り込んで、会期は一ヶ月ちょっと。8月22日で終わり。銀座に行ける人には、是非是非立ち寄ってもらいたいと熱望する。私も、きっと、まだ見逃している仕掛けがあると思うので、再訪してみよう。



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"Dabangg"14.8.7

歌って!踊って!インド映画祭」第二弾。Salman Khan主演のボリウッド映画を観てきた。邦題は「ダバング 大胆不敵」

Salman Khanは、SRK("Om Shanti Om")、Aamir Khan("3 Idiots")と並び、ボリウッド映画界の三大カーンの一人。昨年観た彼の主演作"Ek Tha Tiger"よりも製作年度は遡って2010年の作品である。

くどくて甘いマスクと、超マッチョな肉体を誇るSalman Khanが扮するのは、強盗団から平然と金を奪う悪徳警官。もちろん、単なる悪人では無く、強きをくじき弱きを助けるロビン・フッド的な人物設定なのだが、これがインド仕様のカッコ良さ。私の感覚からすると、いささか悪徳すぎて、感情移入しづらいのが難点。

ヒロイン、Sonakshi Sinha嬢の美しさ、力強いダンス・シーンなど、見所は多いのだが、いかんせん、主人公に魅力が感じられない分、ストーリーの粗も目立ち、インド映画には甘い私にも、入り込みづらい作品だった。残念。

ただし、アクション・シーンの凝りようは凄まじい。もう、冗談なのか本気なのかギリギリの、やり過ぎ感満載のカット割り、構図、スローモーションにワイヤーアクション。特に、ラスト近く、怒りに燃えた主人公の上体の筋肉が盛り上がり、着ているシャツを引き裂くという劇画調のシーンを、いけしゃあしゃあと実写化してしまう演出は、一見の価値はあるかな(空回りしている感もあるが…)。


"Transformers: Age of Extinction"14.8.8

「トランスフォーマー」の実写映画化、最新作を観てきた。邦題は「トランスフォーマー ロストエイジ」。

これまで、このシリーズには、子供だましの設定なのに、思いっきり大金を投じた特撮という振り切り方に、好意的な感触を持っていたのだが、今回は駄目だ。

過去の三作で一区切りを付け、今作は、Mark Wahlbergを主演に据えてリセットをかけたようなストーリーなのだが、冒頭から続く、臭い家族芝居が、もう、インド映画「Dabangg」と同じレベルの演出なのだ。馬鹿っ!と叫びたくなるようなカット割りとMark Wahlbergの過剰演技。内容こそ違えど、そのセンスは、本当に「Dabangg」クラス。続けて観たから良く分かるぞ。

馬鹿演出に輪をかけてしらけさせるのが、中国市場を意識した=中国観客に媚びを売りまくった展開だ。もう、駄目駄目。

別に、恐竜型のダイナボットが登場するようなお子様展開でも、それがボンクラ男子中学生マインドを燃やしてくれるような映像なら私は大歓迎なのだが、お金をドブに捨てているような特撮にがっかりすることこの上なし。そりゃあ、渡辺謙も、「Godzilla」に出演したことは宣伝しても、この映画でDrift(甲冑姿っぽい Autobot)の声を担当したことは、あまり前面に出したく無いよなぁと、同情するのである(もちろん、夏のハリウッド大作、日本人が二作にクレジットされるって、凄いことだが…



ブルーノート東京 それでも、休みとタイミングが合ったので、かねて予定の夏の矢野顕子ブルーノート公演全ステージ制覇は達成。白熱のライヴ鑑賞後は、(振動が効くのか)腰もすっきり。ありがたや。