AKIKO YANO TRIO featuring WILL LEE & CHRIS PARKER
2014年、Blue Note Tokyo / ビルホードライブ大阪公演


誤りのご指摘、追加情報等あれば、送って頂けると助かります。

メンバー
2014年8月6日(水):ブルーノート東京
2014年8月7日(木):ブルーノート東京
2014年8月9日(土):ブルーノート東京
2014年8月10日(日):ブルーノート東京
2014年8月12日(火):ビルホードライブ大阪
2014年8月13日(水):ビルホードライブ大阪

button メンバー

Will Lee(bass

ベース、ヴォーカル&コーラス、ブルース・ハープに加え、今年はキーボードでシンセ・ベースも披露。猫よりも犬派であること、小芝居が上手いことも判明。米国の人気レイト・ショー、Late Show with David Lettermanで披露した"MacArthur Park"は、ファン必見。

Chris Parker(drums

今年も、ドラマーと絵描きの二刀流。グッズ売り場のスケッチブックにあった、矢野さんとリラックマ(??)を描いた絵の味わいが印象深い。演奏後、疲れも見せず、ロビーで気さくに写真撮影に応じてくれる人柄も◎。

矢野顕子(piano, keyboard

Willも巻き込んだ物販紹介コーナーが、さらに充実。ただ、今年のカクテル紹介で「スイカの汁」と発言し、会場から「果汁!」とのツッコミを受けていたのはご愛敬。

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button 2014年8月6日(水)

buttonセットリスト

1st Show
  1. ごはんとおかず
  2. YES-YES-YES
  3. Never Give Up on You
  4. ISETAN-TAN-TAN
  5. Just the Two of Us(Grover Washington, Jr. / 作者は、Bill Withers / Ralph MacDonald / William Salter
  6. All The Bones Are White
  7. ラーメンたべたい
  8. 飛ばしていくよ
アンコール
  1. Long Distance Love(Little Feat
  2. 在広東少年
2nd Showは、5曲目「Just the Two of Us」を省略した本編7曲、アンコール2曲。

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気がつけば、夏のブルーノート公演は12年目。このトリオでのブルーノート公演も6年目。すっかり、花火・盆踊りと並ぶ、夏の風物詩に定着。今年のカクテルは「ずっと好きだったんだ」。

1st Show。冒頭から、矢野さんはピアノとキーボード(Nord Electro 3)を同時に弾きながらの歌唱。Willのベースが効いた端正なアレンジと、矢野さんの喉の調子の良さが印象的なスタートだ。

続く二曲目で、早くもこの公演の山場到来。Willは、キーボードでシンセ・ベースを弾き、さらにアルバムでは大橋トリオ氏が担当していたコーラスもこなす。そして、何よりもカッコ良いのがChrisのドラム。完全に打ち込みを凌駕するド迫力。矢野さんとWillがハモる"Yes-Yes-Yes"のフレーズも気持ちよく、素晴らしい演奏だ。曲が終わってからの「小田和正さんからは何の連絡もありません」の一言で和む会場。

さらに新アルバムからの曲は続く。「飛ばしていくよツアー 2014」でのバンド・アレンジにも驚いたが、このトリオにかかると、さらにスケールアップ。ほんと、弾きこなせない曲など無いと思わせる演奏だ。「ISETAN-TAN-TAN」でのWillの「フンフン」コーラスも楽しい。

物販等の告知MCでは、「鼻のど甜茶飴」紹介で、森山良子、矢野顕子、大地真央、由紀さおりに続いて、Willも「これが無いと生きていけない」人の仲間入り、という小芝居が…

「Just the Two of Us」は、2011年のブルーノート公演でも披露したAOR曲。大人の雰囲気。「All The Bones Are White」での、Willのベース・ソロによる間奏と最後のブルース・ハープが泣かせる。

そして、舞台に登場したスタンド・マイク。前に出た矢野さんは、リズム隊の音に合わせてスキャットを披露。自由奔放なスキャットの中に日本語が混じってきたと思ったら、「ブルーノートでもラーメンを食べたいけど作ってくれるかしら…」。そして、ピアノの前に戻って、ジャズ・アレンジの「ラーメンたべたい」。このアレンジ、強烈! そして、Willのベース・ソロ。例によってピンクパンサーのテーマを交えたりした楽しい演奏に続いて、Chrisのソロ。テクニックを聞かせながらも、余白も重視したような独特なドラム・ソロだ。二人のソロが終わって、再び三人の音が重なる瞬間の気持ち良さが最高。

本編ラストは「飛ばしていくよ」。矢野さんの声も良く出ているし、ここでも、打ち込みサウンドなどねじ伏せるようなChrisのドラムがキレキレ。

アンコール一曲目は、Little Featの名曲。そしてラスト、Willがあのイントロをベースで響かせたかと思うと、そのベースを投げ捨ててキーボードでシンセベースを奏で始めて「在広東少年」。当然、盛り上がったのだが、なにぶん、これが最初のステージ。矢野さんの歌とバックの演奏と合わなくなるハプニング。「さあ、どうやって終わりましょう」と矢野さん自身、口走りながらも、最後は見事に着地。これで、1st Show終了。

1stが、今回の一連の公演の第一回と言うことで、矢野さんが「All The Bones Are White」の楽譜を楽屋に忘れてくるなどの細かいトラブルもあり、かなり長引いた結果、2nd Showの開始は20分押し。結果、「Just the Two of Us」が省略されたのが残念。それでも、各曲、それぞれ1stとは違うアレンジで曲に入ってみたりと、工夫を凝らしてくるところがさすがだ。特にChrisのドラム・ソロは、かなり違ったアプローチになっていたと思うが、これは、1stでは会場の手拍子が大きかった分、余白を活かすアレンジにしていたのが、2ndでは手拍子が目立たなかったので、ドラムの音数を多くしたのかもしれない。この辺の臨機応変さ、凄いなぁ。

時間的制約が出来たせいか、むしろ全体に演奏が引き締まった感じがあり、1stに比べて、20%増しの迫力。「ラーメンたべたい」冒頭のスキャットは、「食べたい度合い」は50%増しという感じ。「在広東少年」の歌と演奏のタイミングも、今回はばっちり。結果的には、すごく楽しめるステージだったと思う。

今回のブルーノート、サプライズの選曲というのは無い(新アルバム中心だし、Little Featだと想定の範囲内かな)と感じたが、その分、各曲の演奏がこれからどう熟成していくのか、とても楽しみだ!

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button 2014年8月7日(木)

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1st Show & 2nd Show
  1. ごはんとおかず
  2. Never Give Up on You
  3. YES-YES-YES
  4. ISETAN-TAN-TAN
  5. All The Bones Are White
  6. ラーメンたべたい
  7. 飛ばしていくよ
アンコール
  1. Long Distance Love(Little Feat
  2. 在広東少年

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二日目。昨日の1stが、かなり時間が押したせいか、「Just the Two of Us」はセットリストから省略。1stでは、MCもかなり少なめを意識したようだ。一方、演奏の方は、さすがにブラッシュ・アップされていると感じた。「Never Give Up on You」のベース・サウンドの歪みっぷりと矢野さんのシャウトの迫力。「YES-YES-YES」の静から動へのダイナミックな展開と、矢野さんが中腰でキーボードを弾き倒す間奏の凄み、「ISETAN-TAN-TAN」の、後半のドラムスのキレっぷり。どれも、凄い。「ラーメンたべたい」冒頭のスキャットの部分では、矢野さんの舌が回らないアクシデントにも、即座に反応するChrisのドラムが、さすがだった。

少なめのMCということで、メンバー紹介は「ラーメンたべたい」のソロ演奏の後に名前をコールすることで済ませ、物販紹介はアンコールに入ってから、というイレギュラーな構成になっていたが、何故か、「ISETAN-TAN-TAN」の曲終わりでは、この曲とPVについて、かなり詳細な説明が入っていた。これは、2ndでのMCで判明したのだが、伊勢丹の関係者がお越しになっていたから、らしい。

コンパクトにまとめようとしても、演奏の白熱は止めようもなく、2ndの開始は10分押し。1曲目から声の出も良く、「Never Give Up on You」での強弱のコントロールの付け方も絶妙。素晴らしい演奏が続く。「YES-YES-YES」を歌うとき、二つ目の「YES」で矢野さんが軽くウィンクをしているように見えたのは、気のせいかな?

1stのように、無理に切り詰めた感じはなく、MCはいつもの調子に。「All the Bones Are White」を「お盆にふさわしい」と表現されたのには、ぶっ飛びましたが…

「ラーメンたべたい」のスキャット部では、ついにブルーノートのシェフにラーメンを作ってもらったとの言葉が!本当かしらん。その後のWillのベース・ソロは、全ステージ、最前列を確保している常連のお客様の正面で、大サービスの巻。Chrisの方は、客席の手拍子を取り込んだテクニカルなソロ。どちらも堪能。ここからの、アンコールを含めての三曲は、どれも本当に、飛ばしているね!という迫力。

2日目の2ndにして、今回の公演の完成形を観たような気がした。とはいえ、一日休みを挟むと、次のステージは、さらに熱いものになるのだろうなぁ。

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button 2014年8月9日(土)

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8月7日と同じ。

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1st Show。出だしは、良い意味で肩の力が抜けているような、非常にスムーズな印象。もちろん、熱さも併せ持っている訳で、一昨日からさらに進化し続けていることを実感。また、見る角度のせいかもしれないが、矢野さんの腕の筋肉の引き締まり具合が、初日と比べると段違いのような気がした。

構成は、二日目と同じ。同期ものとかもあるので、今回のセットは、これでフィックスかな。時間配分も、うまくまとまっていた。ただし、「鼻のど甜茶飴」紹介での、Willの小芝居(喉がイガイガしているWillが、矢野さんに飴をもらって舐めると、あら不思議、綺麗なテノールの声が!)は、回を重ねる毎に洗練()されている。また、「ラーメンたべたい」冒頭のスキャット部では、甜茶飴つながりか、「ざわわ~」のフレーズが飛び出し「森山さん、今日は来ていないわよね」という一幕も。因みに、7日にシェフに作ってもらったラーメンは、洋風のチキンスープ仕立てだったことが判明。

1stも十分にクオリティの高い演奏だったが、2ndになると、さらにヒートアップ。特に、Willのスイッチが入ったような気がした。「YES-YES-YES」のコーラスが、本当に見事に決まっていたし、「ラーメンたべたい」の間奏でのベースソロも、いつも以上にノリノリ。一方、毎回、様々な工夫とアレンジを加えながらも、バンド・サウンドの根っこを正確無比に支え続けるChrisの職人技には、改めて感心させられた。どの曲も熱かったが、バンドとしてヒート・アップしていることを特に感じたのは、「ISETAN-TAN-TAN」の終盤の盛り上がり。ド派手な曲とはちょっと違うこのナンバーで、あの熱い盛り上がり、という所が印象深い

一日休養を置いた東京最終日前。メンバーの体調的には一番良い日だったかもしれない。そう思えるような、見事にまとまった演奏だったと思う。

なお、ちゃんとドリンク・メニューを見ていなかったため、今日になって気がついたのだが、今年の特別カクテル「ずっと好きだったんだ」の他に、昨年のカクテル「つき合っちゃおうかな?」が、グランド・メニューに掲載されている。これらをオーダーすると、レシートにこの商品名が印字されるため、中々味わい深いレシートになると、店員さんが言っていた。

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button 2014年8月10日(日)

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8月7日・8日・9日と同じ。

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台風が西日本を縦断したこの日。東京は、直撃は免れたものの、時折、強いにわか雨が降る安定しない天候。それでも、お客さんの出足には影響なし。開場前のロビーでは、物販コーナーあたりに佇むChris。彼は、演奏の前後、まめに、ロビーでのファン・サービス(と、販促?)を行っているが、あの迫力の演奏と両立させているところが、何とも、凄い。

さて、東京最終日。すっかり固まったセット・リストで、1st出だしから盤石の演奏だ。「YES-YES-YES」の間奏、左手のピアノと右手のキーボード(Nord Electro 3)が熱い掛け合いを演じているかのような矢野さんの演奏がすさまじいし、Chrisのドラムスは、昨日までより音圧が強まっている感じだ。

「ラーメンたべたい」冒頭の、スタンディングでのスキャットでは、昨日の賄い(マグロの漬けと刺身がご飯を覆い尽くした丼)と今日の賄い(カレー)について熱弁()を振るう矢野さん。一方、ベース・ソロでは会場を巻き込んでヴォーカルまで披露するWill。皆、飛ばしているなぁ!

アンコールでは、まずは物販紹介。もう、のど飴のくだりは、Willの小芝居のレベルを超え、矢野さんとWillの夫婦漫才のような安定感が…。その飴ちゃんの効果か、続く「Long Distance Love」のWillのヴォーカルは冴えまくり、自然に場内から拍手がわき起こる。もちろん、「在広東少年」のド迫力は、申し分なし。なお、アンコール後、矢野さんが退場した後、ステージ上に残ったWillとChrisが「彼女のキーボード、凄いよな!」みたいな身振りで語り合った後、ハグをするという小芝居もまた、完成度が高まってきたような…

そして、2nd。これが東京最終公演。演奏も歌唱も、リミッターを外したようなプレイが続く。「Never Give Up on You」の静から動への躍動、「YES-YES-YES」での白熱のキーボード演奏、「ISETAN-TAN-TAN」のポップスの枠を通り越したようなノリ、「All The Bones Are White」でのWillの泣きのベースとブルース・ハープ。全曲、凄すぎ。

「ラーメンたべたい」の冒頭のスキャット部も、あまり情報は詰め込まず、ただ「ラーメン!」を力強く強調したもので、これまでで一番、インパクトがあった。その後の、WillとChrisのソロも、聴き応え十分。Chrisのドラム・ソロから、再び三人の音が重なる瞬間の気持ち良さも、格別。

当然、終盤からアンコールにかけての、「飛ばしていくよ」「Long Distance Love」「在広東少年」の盛り上がりは、圧巻。さすが、東京最終公演。最高の熱演だった。

今回のアルバムが、打ち込み系のサウンド主体だったので、このトリオのライヴが、ここまで新アルバムの曲中心になるとは予想していなかった。「飛ばしていくよツアー」での、神谷洵平&千葉広樹の若手リズム隊を従えての演奏(勢いのある良い演奏ではあったけど)とは、一味も二味も違う、貫禄のプレイが非常に印象的だった。キーボードにも果敢に挑戦したWillと、打ち込みを凌駕する正確かつパワフルなドラムを聞かせてくれたChris。そして、激しい曲でこそ表現力が冴えまくる矢野さん。このブルーノート・トリオに演奏できない曲など存在しない、と確信させるようなライヴだった。

そして、個人的には、会社の休みとタイミングが合ったため、念願の、ブルーノート全ステージ参戦を果たすことができ、大変に嬉しい。本当に、どのステージにも、様々なチャレンジが織り込まれ、全部見て良かった!と実感している。

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