IN/OUT (2014.3.30) |
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桜がだいぶん咲いてきました。ただ、この土曜日はまだ咲ききっていなかったし、日曜は雨。次の週末には散ってしまいそうで、お花見的には間の悪いタイミングになりましたな。 最近のIN「ザ・ビューティフル - 英国の唯美主義 1860-1900」 (14.3.29)三菱一号館美術館で開催中の展覧会に行ってきた。 19世紀半ばの英国、若手芸術家の中にわき起こった「芸術のための芸術(Art for Art’s Sake)」を創りだそうとした「唯美主義運動」を総合的に見せる展覧会。1894年に竣工した三菱一号館は、まさに唯美主義最盛期の英国で流行した「クィーン・アン様式」の建物ということで、この美術展には格好の舞台なのだ。 正直なところ、唯美主義に興味があった訳では無く、有楽町での時間潰しに立ち寄った展覧会だったのだが、中々見応えのあるものだった。とにかく、唯美主義というのが、文字通り「メッセージ性が無くても、とにかく美しければ良いじゃ無いか」という主義(だと、私は捉えたんだけど、合ってるのかな?)なので、観ていて、理屈抜きに美しい絵画が多い。 また、この運動は、産業革命以降、世の中に溢れかえった醜悪な大量生産工業製品への異議申し立て、という側面もあり、絵画だけで無く、彼らが手がけた家具・調度品・壁紙なども展示されているのが興味深い。工業製品の中に芸術性を持ち込んだということで、今の、金持ちだけじゃ無くて中流庶民にも手が届くお洒落インテリアの源流を作ったということなのかな。 "Lee Ritenour & Japanese Friends" (14.3.30)フュージョン・ギタリスト、Lee Ritenourを中心としたライヴを観に、鎌倉芸術館に行ってきた。他の出演者は、Abraham Laboriel、Patrice Rushen。そして、日本から、神保彰、渡辺香津美、寺井尚子。フュージョン系の音楽の熱心なリスナーという訳では無いのだが、Lee Ritenour、渡辺香津美、寺井尚子、それぞれのライヴは何度か観たことがあり、その演奏テクニックにはいつも感心させられてきた。その人達が勢揃いするとなると、観たくなってしまう。 会場は鎌倉芸術館。これまでは、冬の矢野顕子リサイタルで小ホールにしか入ったことがなかったが、今回は大ホール。こちらも、中々音響の優れたホールだ。 Lee Ritenourと、ベースのAbraham Laboriel、キーボードのPatrice Rushen、ドラムスの神保彰がレギュラー・バンド。後の二人はゲストという位置づけのようだ。まずは、四人で演奏が始まる。当たり前だが、みんな上手い。特に、ちゃんとライヴで聴くのは初めてだった神保彰のドラムには感心。さすが、元カシオペア。 ただ、皆さん、上手すぎて、少々眠くなってきてしまったのも事実。しかし、そこでゲストの渡辺香津美登場。流れるようなLeeのギターとは対照的な、鋭角的に切り込んでくるサウンドに、私も覚醒。そして、彼をフィーチャーして演奏されたのが「Unicorn」。1980年、Lo-DのCMソングで、一躍、彼を有名にした、あの曲だ。私も、これで彼の名前を覚えたのだ。あれから34年後に、この豪華メンバーで聴けるなんて、感動である。そして、大いに盛り上がる。 一旦、渡辺香津美は退場。代わりに寺井尚子が登場。お得意のChick Coreaの"Spain"を朗々と響かせる。この人、演奏も好きだが、ステージでの立ち居振る舞いがカッコ良いのだ。ご自身が弾いていないときでも、ヴァイオリンを顎に挟んだままで両手でリズムを取る姿なんか、女性擦弦楽器奏者好きの私には、たまらないのである。 終盤は、全員揃ってのセッション大会。申し訳ないが、御大Lee Ritenourよりも、私の耳は渡辺香津美のギター・サウンドに、目は寺井尚子のパフォーマンスに釘付けという感じになってしまったが、いやはや、楽しかった。このライヴの前後には、電子音満載の矢野顕子の新譜ばかりを聴いていたので、新鮮味もあった。 さらに、日曜の16時開演で18時には終演という時間帯も、良かったな。 いずれにせよ、桜の花と同時に、杉花粉もピークとなっており、屋外での花見なんてお断りなんですけどね。 |