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メンバー |
2015年8月19日(水):ブルーノート東京 |
2015年8月20日(木):ブルーノート東京 |
2054年8月22日(土):ブルーノート東京 |
2015年8月23日(日):ブルーノート東京 |
2015年8月25日(火):ビルホードライブ大阪 |
2015年8月26日(水):ビルホードライブ大阪 |
紙にするとニューヨークの電話帳並みの厚さになるという、矢野さんとのセッションの楽譜全てをiPadに格納し、ステージに持ち込むという、ハイテク通の一面を見せてくれました。
ドラムセットはもちろんのこと、サウンド効果を狙って持ち込んだBaking PanやMixing Bowl、さらに茶筒も全てYAMAHA製と言い張るという、YAMAHA愛を見せつけてくれました。
今年のカクテルは「また、君のことを 考えている」。矢野さんは、ピアノの他にNord Electro 4 HPも使用。
SE付きで始まった一曲目。このトリオにぴったりの選曲だ。ビシッと決まるリズムが心地良い。間奏でたっぷり遊びながらもキレキレの演奏。続いて「クマ」。個人的に大好きな曲で嬉しい。
「David」は、ベースラインを強調したアレンジ。続くMCで、矢野さんが「王様と私」を観に行って、渡辺謙氏に鼻・のど甜茶飴を勧めた話をしているところに、「僕の大好きな舞台だよ」と突っ込んでくるWill。日本語と英語が共存する不思議なMCだ。
「Bamboo Music」は、Rei Harakamiさんのトラックを生かしたアレンジ。Willはシンセ・ベースを使い、バックコーラスも。そして、Chrisのドラムも凄い。今年のChrisは、いつも以上に、一曲毎に工夫を凝らした素晴らしいサウンドだと思う。このトリオを観るときは、いつも舞台向かって左側、ドラムスからは遠い席を確保するのだが、今回ばかりは、間近で彼のドラム演奏を集中して観たいと思ってしまった。
「Time」は、アメリカのシンガーソングライター Jonatha Brookeが、認知症の母の介護を題材にして製作した舞台「My Mother Has 4 Noses (全て書き下ろしの曲による一人芝居仕立てのものらしい)」のための一曲。初めて聴く曲だったが、地味ながら、心に染みるメロディーとアレンジだ。
そして、今回のサプライズ。懐かしの「やめるわけにゃいかないわ」。今、ここで、このトリオで聴けるとは! WillとChrisの楽しいソロも挟んでの熱演。このトリオにぴったりの名曲を、よくぞ発掘してくださった。大感謝である。
Willのシンセ・ベースとコーラスが炸裂する「YES-YES-YES」でさらにヒートアップしたところで、最後に新曲。AZUMA HITOMIがトラック・メイクした「あたまがわるい」。これも盛り上がる曲だ。
さらに、アンコールで「飛ばしていくよ」。すっかり熱くなると同時に、ちょっと、テクノ系に偏ったかなと思ったら、最後の最後で、2011年のブルーノート公演で大々好評だった、「このトリオ最大のヒット曲=Gasoline and Matches」。再演を熱望していた曲だったので、大興奮。やはり、最後は、ドラム、ベース、ピアノで、ストレートなロックンロールだよなぁ。ラスト、火がついたマッチを投げる(良い子は真似しちゃダメ)Willのパフォーマンスも決まって、終了。
近年では、私的最強のセットリスト。三人の演奏も初日からキレキレ。大満足だ。
今回の席は、昨日より、やや中央寄り。PAがこなれてきたせいもあると思うが、サウンドのバランスがとても良く感じる。ただし、矢野さんの方を観ようとすると、目の前の大柄な男性が視線を遮る位置になってしまった。そこで、もっぱら、Willの方に視線を集中。一曲目から、Willの右手が物凄いスピードで動いているのをじっくり見て、改めて驚嘆。
「クマ」は、後半、フリートーク的な歌詞を入れてくる。そこで、「クマ」というのが昔飼っていた犬の名前という事実の他に、「ネコ」という名前の犬も飼っていた事実が明かされる。
二日目ということで、どの曲も、昨日よりもスムースな感じだ。特に「David」の歌唱が際立って良かったと思う。Willのベースも、昨日以上に遊び要素がたっぷり。また、「Time」の曲紹介での、Jonatha Brookeや「My Mother Has 4 Noses」の説明が、すごく手際よくなっていた。因みに、「4 Noses=4つの鼻」というのは、Jonathaのお母様が、顔の奥に出来る癌にかかり、その摘出手術の結果、「付け鼻」を付けることになったことに由来する。明るいお母様は、4つの付け鼻を気分によって付け替えていたそうだ。そのお母様が年老いて、認知症になったのをJonathaが介護し、最期を看取ったという実体験に基づいた舞台ということだ。
その出来の良さのまま、終盤の怒濤の三曲に突入。「やめるわけにゃいかないわ」での、WillとChrisのソロの楽しさ、「YES-YES-YES」のスピード感、「あたまがわるい」のテンションの高さ、もう最高である。
そのままの勢いで、アンコール「飛ばしていくよ」で文字通り飛ばした後は、"old school"な「Gasoline and Matches」。昨日と、全く同じセットリストだったが、全10曲、捨て曲無し。構成も完璧だと痛感。
大盛り上がりの中、昨日より10分ほど押して終了、今日も楽しかった。
土曜日の1st。夕方5時開演。出だしから、ちょっと三人のノリに余裕があるように感じる。三人が一体になって攻めてくるというより、それぞれが、お互いのプレーを刺激し合うというか、演奏を通じて会話しているような感じ。もちろん、演奏のクオリティは高いのだが。時間帯が早いせいだろうか。
「CHILDREN IN THE SUMMER」の間奏で、Charlie Parkerの曲のフレーズが入ること、「David」演奏の際、Chrisは、ドラムスティックだけでなく、マラカス、ブラシ、マレットを駆使していることなどを確認。また、メンバー紹介の際、ドラムセットに付け加えている缶は何か?と訊かれて、前回は「おちゃづつ」と、茶筒に「お」を付けて発音していたChrisが、今日は「茶筒」と完璧な発音に。彼は日本語を真剣に勉強中ということだが、日々、進歩。
時間の制約なのか、アンコールは一曲だけ。構成上、ここでもう一つ「飛ばしていくよ」の先端サウンドで押してから、"old-school"の「Gasoline and Matches」で締めるのが良かっただけに、残念。
2ndは、一転。出だしから、明らかに三人のノリが違う。Willは、いつも以上に陽気だし、矢野さんのピアノと歌唱の弾けぶりも凄い。Chirsのメリハリを付けまくった緩急自在のドラムも冴え渡る。
特に、終盤、「やめるわけにゃいかないわ」以降の切れっぷりは、鬼気迫るという表現が当てはまるほど。そして、「Gasoline and Matches」の楽しさも、最高。ここにきて、ついにトリオの本領が完全に発揮されたという感じの演奏だった。大満足。
最終日を観た後に追記:最後まで観た結果、土曜日の2ndが、今年のブルーノート東京公演のベスト・アクトだった!
日曜日の今日も、1stは、下校時刻の17時開演。しかし、昨日より、一曲目から熱のこもった演奏だ。「クマ」の終盤では、これまで入れていた説明調の即興歌詞ではなく、奔放なスキャット。これが良かった。ラストの盛り上がりもこれまで以上。
とてもクオリティの高い演奏が続く。「Time」では、感情の乗せ方がすごく響いてきた。「My Mother Has 4 Noses」、いつか日本でも鑑賞できると良いなぁ。
メンバー紹介で、WillのiPadの事に触れた際、Willは、「これは何でも出来る。ベースも出来ちゃう」と言いながら、iPadの側面をタップする。と、本当にベース音が! 何のことは無い、左手の方でこっそりベースを操作したWillのイタズラに、矢野さんは本気で一瞬騙された後、爆笑。最終日、良い感じだ。
熱い演奏は続き、終盤も大盛り上がり。唯一、アンコールが昨日の1stと同様、一曲だったのは、構成上、物足りなさがあるが、昨日の2ndに匹敵するハイ・テンションのプレイを堪能。
さて。次の2ndで、今年のブルーノート東京は終わり。ブルーノートのフロア・スタッフの方も「私たちも、なんだか寂しいんです」と言っていた。私も寂しい。因みに、矢野さんも「おセンチになる」とおっしゃっていた。
1stで、あれだけ盛り上がって、2ndではどこまで行くのか、と思っていたが、意外に一曲目は端正な印象の出だしという感じだった。しかし、間奏辺りでWillが飛ばし始めて、トリオ全体、点火!
最後のセットになって、ようやく気がついたのだが、「Time」の演奏で、Chrisはスティックを使わず、素手で叩いていた。あの、寄り添うような音色は、そういうことだったのか。茶筒やボウルなどを持ち込み、効果的に使っていたこともそうだし、本当に、一曲ずつ、丁寧に考えてプレイしているのだと感心した。そして、「やめるわけにゃいかないわ」でのChrisのソロは、これまでも毎回、ちょっとずつ変化を付けてきたプレイの集大成・完成形という感じで、見事なもの。このステージのChrisは、本当にキレていた。
もちろん、矢野さんも負けておらず、特に「YES-YES-YES」の間奏、Nordキーボードとピアノを同時に激しく弾いた直後、ピアノに集中した瞬間のプレイが何ともカッコ良かった。
本編ラストの新曲でも盛り上がり、いよいよアンコール。今回は「飛ばしていくよ」からスタート。しかし、一番の途中辺りから、何か、おかしい。歌と伴奏がズレてしまっている。途中、スキャットを入れたりしながら、何とか体勢を立て直そうとする矢野さんだが、同期ものの難しさ。そして、あのハイ・スピードのアレンジ。最後まで伴奏に合わせることができず、最後はグダグダになってしまった。矢野さんにしては珍しい失敗を目撃するのは、ある意味貴重とは言え、うーん、残念。
気を取り直して演奏した「Gasoline and Matches」が良い出来だっただけに、なおさら残念。
いずれにせよ、今年のブルーノート東京公演は、個人的には、セットリストも演奏も、近年では最高・最強・最興奮のものだった。ありがとうございました!