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メンバー | |
2011年8月16日(火) | 19:00 - / 21:30 - |
2011年8月17日(水) | 19:00 - / 21:30 - |
2011年8月19日(金) | 19:00 - / 21:30 - |
2011年8月20日(土) | 18:00 - / 20:45 - |
ステージ上での自由奔放な振る舞いは、長年、テレビのバラエティー番組(LATE SHOW with David Letterman)でレギュラーを務めていることで鍛えられたのでしょうか。このトリオのムードメーカーですね。
ステージ上ではしゃぐ二人を的確なリズムでしっかりと支える、寡黙でジェントルなドラマーであり、ペインターでもあります。
日本の夏の風物詩。ブルーノート東京でのトリオ公演。初日の2nd Show。
Chrisのドラムがビシッと決まっていて気持ち良い「愛があれば?」でスタート。「湖のふもと」は、Willの「ララララララララーララー」のコーラスが良い感じだ。
七拍子にアレンジされた「いいこ いいこ」は、終盤の三人のプレイの応酬がすごいことになっていた。演奏後、矢野さんは「この 7/4拍子が昔から好き」、さらに「皆様も日常生活に七拍子を取り入れて」と言いながらリズムを刻むと、それに合わせるChris&Will。本当に楽しんでいるなぁ。
楽しんでいると言えば、「変わるし」の前奏では、矢野さんのスキャットが猫の鳴き真似風になったところで、犬、さらに象の鳴き声をぶつけてくるWill。エンターテイナーである。さらに、この曲では、Willの自由奔放なソロ(矢野さんは後ろで謎のダンス)、さらにChrisのテクニックが冴えるソロと続いて、歌に戻る瞬間のキメッが印象的だった。
今回は(も?)カバー曲が多かった。去年のさとがえるでも演奏した、Lucinda "やさぐれ" Williamsの「Joy」は、やはりカッコ良い。そして、Willがメイン・ヴォーカルを務めた、Grover Washington, Jr.の「Just the Two of Us」。ワンコーラス目、矢野さんがエレキピアノで伴奏を付けているときは、いかにもAORという感じだったのが、アコースティック・ピアノに切り替えたとたん、まさにAKIKO YANO TRIOの音になるのが、これまたカッコ良し。The Spinnersの「The Rubberband Man」では、観客にもコーラスの参加を促し(狛江のソロ公演では、「温泉に行こう」で手拍子を促していた。今年の矢野さんは観客参加が一つのテーマなのかも)、楽しさ倍増。アンコールラストの、Buddy Millerの「Gasoline and Matches」では、ラストでWillがマッチを擦るパフォーマンス(一発目は失敗したが、それもまた愛嬌)。いやはや、楽しいステージだった。
まだ、初日なので、曲によっては、出だしがちょっと探り探りという印象の時もあったが、最終的にはノリノリの演奏に持って行くところがさすがだし、明日以降、さらに盛り上がっていくのだろう。
因みに、今年のオリジナル・カクテルは、「わたしを離さないで。」。
二日目の2nd Show。
昨日と同じ一曲目。Chrisのドラムの決まり具合が、さらに気持ち良くなっているなと思っていたら、なんと、次は懐かしの「家路」。この曲が収められているのは、「いろはにこんぺいとう」。1977年発売のこのアルバムには、既にWill Leeの名前がクレジットされている(タイトル曲)。本当に昔からの名コンビなんだなぁ。
「Joy」以降は、昨日も演奏した曲だが、アレンジが全く違う。油断できない人達だ。「変わるし」では、Willのソロパートがさらに自由なことになっていて、その分、カチッとしたChrisのソロ、そして、歌に戻る瞬間の決めが、ますます印象的になっている。そして、Willのソロの間、またもや謎のダンスの矢野さん(ちょっと、クックロビン音頭に見えました…)。
「The Rubberband Man」での会場とのコーラスでは、まずは低音、つづいて三度上がったコーラスを繰り返した後で、「フォークの人達みたいに、ここから向こうは高音、そっちは低音、みたいなことまではやりたくないので、皆さん、自主的に選んで歌って」と、矢野さんらしい一言も。
今回は、「Gasoline and Matches」のラストでのWillがマッチを擦るパフォーマンスが一発成功。全体を通して、昨日よりも確実に進化した演奏だったと大満足。
因みに、今年のオリジナル・カクテルを頼むときは、店員に「わたしを離さないでください」と言うと誤解されかねないので、「わたしを離さないで "を" ください」と言うように(もしくは、Never Let Me Go をくださいでも可)。
一日、休演日を挟んだ三日目の2nd Show。金曜の夜ということで、場内は満席。
一曲目、初めて聞く曲だが、なんだろう。聞いたことのあるリズム・パターン、歌詞、そして、あのフレーズ。おぉ、The Kinksの「You Really Got Me」! 大胆なアレンジで、最初は全く分からなかった。さとがえるトリオでLed Zeppelinの「Whole Lotta Love」を初めて聴いたときの衝撃を思い出す。ただし、今回のカバーは、後半、オリジナル通りのロックンロール大会になるところがミソ。素晴らしい演奏だった。
次からは、聴いたことのあるナンバーが続くが、アレンジがさらに変わってきている。特に「Joy」は、カバーし始めた頃は、比較的Lucinda Williamsのオリジナルに近い雰囲気だったのが、どんどん解体・再構築され、渋い仕上がりになっている。
全体として、今日の演奏・アレンジは、観客に対して、さぁ、付いてこい!と挑みかかるようなアグレッシブさが感じられた。一方で、ミネラルウォーターの小さなボトル(このサイズは米国では珍しい)を巡ってWillと矢野さんの間で雑談に花が咲いたり、Will Leeがプレイしているバンド"The Fab Faux"のTシャツを巡って観客と矢野さんが張り合ったりと、リラックスした笑いも有り。回を重ねても、さらに新しい驚きと楽しさが発見できる、今日も良いライヴだった。
最終日の1stと2nd Show。当然、場内は満席。私は、1stは、一番後ろのスツール席で全体を俯瞰、2ndは、比較的前のピアノ近くと、良い席を確保できた。
演奏曲は、1st、2ndとも、昨日と同じ。これが、このバンドの結論ということか。「湖のふもとでねこと暮らしている」がドロップしてしまったのが、個人的には残念だ。
最終日ということで、演奏は見事に熟している。特に、「Joy」の冒頭でのWillと矢野さんの即興的な掛け合いの丁々発止ぶり(矢野さんの宇宙人ボイス&「私はバルタン星人か」発言も飛び出したり。一方で、その間、しっかりリズムをキープし続けるChrisもまた、カッコ良し)が、なんともアバンギャルドな感じ。2ndでは、個々のソロが、これまでより5割増しぐらいのパワーに溢れていたようだ。「変わるし」でのWillのソロなんか、完全に曲を乗っ取っていたし。
最終日にして、気がついたこと & 分かったことは、「家路」が書かれたのは1972年(収録アルバムの発売は1977年)だったということ。「You Really Got Me」の歌詞、矢野さんは"girl"のところを"boy"に変えて歌っていたこと。そして、矢野さんの「古くからのファンと新しいファンの違いの一つが、手拍子(古いファンは、あまり手拍子をしない)」という発言に、良く分かってるなぁと思ってしまった。
ということで、徹頭徹尾、楽しさに溢れた公演、終了。毎回、変化し進化するアレンジやソロを堪能することができ、満足である。