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暑い! 毎年、今年の夏は酷いと思うのを更新し続けているようですが、本当に蒸し暑い。在宅勤務とリアル出社の融通が利く職場なのが、多少は救いになっている今日この頃です。
最近のIN
Vincent van Goghの大規模回顧展を観に、上野の森美術館に行ってきた。
オランダのKröller-Müller Museumの所蔵作品で構成され、2回に分けて開催される「大ゴッホ展」。その第1期は、ルビゾン派やハーグ派の影響を受けた初期のオランダ時代に始まり、印象派を中心とする画家たちと交流したパリ時代、そして、南仏アルルで「夜のカフェテラス」を描くまでの、van Goghの前半生に焦点を当てたものになっている。なお、第2期は2027年~28年に予定されているとのこと(こちらの目玉は「アルルの跳ね橋」になるそうだ)。
三連休の最終日。午前中の早い時間に行ったのだが、超満員。
最初期の作品群は、私がvan Goghに抱いているイメージとは違う、取り立てて個性的とは思えない普通の油絵(のように、私の素人目には見える)。それが、1886年からのパリ時代になると一気に色彩が豊かになるのだが、この飛躍に至る過程は、もう少し丁寧に教えてほしかったような気がする。また、(この手の展覧会ではありがちだが)同時代の画家の作品も多く展示されている。もちろん、”影響を与えた”という意味があることは理解するのだが、ちょっと、”「大ゴッホ展」のタイトルに偽りあり”という感じがしないでも無い…。いずれにしても、私のような素人が盛り上がるのは、彼の後半生に焦点を当てた第2期かな。
となると、第1期の今回、 やはり、目玉は「夜のカフェテラス」。写真撮影は、この作品のみ可能。結果、この絵の前に列が出来、皆、流れ作業のようにスマホで写真を撮っていく。”絵画鑑賞”というより”撮影会”になっているのが、何だか滑稽で悲しくなる。これ、他の作品を撮影可にして、「夜のカフェテラス」だけ撮影不可でも良かったのではないか?(先日の国立映画アーカイブでは、ポスター1枚だけの撮影が不可で、複数のポスターを画面に収めることが撮影の条件だった。これは、展覧会の雰囲気を記録することができる良いアイディアだと思う。1枚ずつの画像が欲しければ、図録を買えば良いのだ)
ということで、展覧会としては、色々文句もあるのだが、展示されている作品は、やはり力強いものだった。個人的には、ジャガイモ尽くしのような一連の絵や、苗を植える男や草を刈る少年といった”しゃがみ込む人物”を描いた作品群の、労働者寄りの視点が興味深かった。
新人監督 Curry Barkerが、750Kドルの低予算で撮った作品ながら、米国で大ヒットしているホラー映画を観てきた。邦題は「オブセッション 災愛」。
職場の同僚女性に愛されることを願った主人公の内気な男性(かなり頼りない男)は、スピリチュアル・グッズの店の片隅で売られていたおまじない用品”ONE WISH WILLOW”を手に取る。願いを唱えて柳の枝を折ると、それが成就するという触れ込みだ。チープな見た目だが、果たして、その効果はてきめん。突如、主人公を愛してくれるようになった彼女。しかし、その効き目は突き抜けていた。彼女が主人公に向ける愛情は偏執狂的に暴走していき、周知の人にも不幸を振りまく。この柳の枝にかけた願いは、かけた本人が死なない限り、変更もキャンセルも出来ないのだ…。
最近観たホラー映画では、断トツに怖い。ジャンプ・スケアは、控えめ。人体損壊などのゴア描写はあるが、極端に酷くはない。怖いことが起きるときは劇伴が盛り上げて知らせてくれる親切設計。それでも、予想外の角度からの衝撃的な怖さの連打に、見終わった後はグッタリしてしまう。結局、(たとえ恋人であろうが)他人が一番怖いということが骨身に染みる。
あちこち、低予算の一発アイディア映画らしい粗さが目に付くのだがが、それらを全く欠点に感じさせない勢いが素晴らしい。そして、最初は可愛い恋人に見えたのが、どんどん暴走していくヒロインを演じたInde Navarretteの演技が、つくづく見事。その表情だけでなく、ちょっとした動きや静止したシルエットだけでも、異様な怖さを醸し出している。
Curry Barkerは、今後、「The Texas Chain Saw Massacre(悪魔のいけにえ)」のリブートや、Universal映画のための新しいホラー映画の監督に決まっているそうだ。今後が楽しみな監督だ。
ヴォーカル / ギターの大久保初夏、ベースのKenKen、ドラムスの川口千里の3人によるライヴを観に、BLUES ALLEY JAPANに行ってきた。
タイトル通り、どのような内容になるのか予想できないのだが、The Jazz Avengersでの活動でお馴染み、大久保初夏&川口千里と、2月のSamantha Fishの公演で、来日出来なくなったベーシストの代役として急遽出演し、見事なサポートぶりだったKenKen(父:ジョニー吉長、母:金子マリ、兄:金子ノブアキ。という凄い家族)、楽しいに決まっている。なお、ライヴ直前に、ゲスト・キーボーディストとしてMizkiの参加も発表された。
ステージ向かって左にキーボード、右にベース、奥にドラムス。センターがヴォーカル/ギターの布陣。私の席は、左寄り。
演奏は、大久保初夏のオリジナル曲の他、ザ・タイマーズやムッシュかまやつのカヴァー(この辺りは、KenKenの選曲。KenKenとムッシュは、バンドを組んでいたことがある)、Deep Purpleのカヴァー(川口千里が最初に憧れたドラマーが Ian Paiceだったとのこと)などなど、ブルーズを基本に、ヴァリエイションに富んでいる。
大久保初夏のヴォーカルを聴くのは初めてだったが、Janis Joplinへの憧れも感じられる歌唱で、聴かせる。ギター演奏もガッツリとブルーズ・ロック(The Jazz Avengersでのプレイは、彼女的には大分抑えていたのだろうな)。KenKenと川口千里のコンビは、流石の一言。2人だけでインプロ的に演奏する曲もあったり、終盤には川口千里のたっぷり長尺のソロもあったりで、大満足。やはり、リズム隊が強力なバンドは、引き締まる。そして、Mizkiも、ハモンド・オルガン風のフレーズを効果的に挟んでくる。結果、これが初の組み合わせとは思えない、楽しく、安定感もあるバンドになっている。
本編ラストは、Deep Purpleの「Hush」、アンコールは、Princeの「Purple Rain」。終演後、Mizkiがピアノ・ソロを奏でる中、3人が先に退場。で、全編終了。 ”UNPREDICTABLE”というタイトルに臆せずチケットをゲットして、大正解のライヴだった。
オーストリア出身のBernhard Wenger監督が、日本の「友だち代行サービス」に着想を得て製作したというブラック・コメディを観てきた。今回は、監督の舞台挨拶付きの上映である。
主人公は、ウィーンで、どんなシチュエーションもこなせる理想的な人物を提供する代理店”My Companion”のトップ・パフォーマー。高尚な音楽理論を語ることができる理想的な恋人になり、高圧的な夫の口論に対抗できるようになろうとする老婦人の話し相手を務め、富豪の自慢の息子を演じる。しかし、徐々に、現実と仕事で演じるフェイクの境界が曖昧になり、フェイクの方が現実を侵食してくる… というお話。
どこまでも受け身な態度が身についた主人公は、こうしたサービスにピッタリで、彼自身もプロフェッショナル意識を持っているのだが、その性格故に、自分自身の存在が希薄化してしまうという皮肉が効いている。ただ、そこからの主人公の迷走ぶりは、どんどんエキセントリック度合いを増していく。かなり可哀想な状況に追い詰められる主人公の姿は、現代社会に生きる我々のカリカチュアのようで、身につまされる。
この映画と同じく、日本の「友だち代行サービス」に着想を得て製作された「Rental Family」が、サービスを受ける側にも提供する側にも幸せな化学反応が起きるホッコリ映画だったのに対し、こちらはかなりシニカル。前者が日本人監督だったのに対し、本作がオーストリア人監督ということが影響しているのだろうか?
上映後、Bernhard Wenger監督が登壇し、観客とのQ&Aセッションが開催された。とても誠実そうな監督の佇まいと受け答えの様子に、好感が持てる。ただ、色々と深読みしたくなるシーンの真意を問う質問に、実に明快に言語化された回答を返す姿には、さすが、西欧文化の人!と思ってしまった。極めてロジカルに構築された脚本だったことはよく理解出来たが、それはそれで、ちょっと寂しい気もしてしまった。
Jean-Luc Godardの初長編映画の60周年4Kレストア版を観に行ってきた。
言わずと知れた、映画史に残る名作だが、先週観た「Nouvelle Vague」で描かれていた撮影風景の結果、この作品が完成したという視点で見返すと、中々に感慨深い。今見ても、瑞々しい感性と勢いに溢れた映像、音楽、演技。そして、尖った演出。当時、”ヌーヴェルヴァーグ”が世界中の映画好きの人に与えた衝撃は凄まじかったのだろうということが実感できる。
ただ、私自身の若い頃は、このタイプの映画には苦手意識があった。若者の既成システムに対する異議申し立てのようなものに、同族嫌悪のようなものを覚えていたのかもしれない。今では、素直に腑に落ちるようになったのは、私も多少は角が取れたということだろうか…
なお、上映館のシネスイッチ銀座は、2026年10月25日で閉館するという。71年間営業していたということで設備は古臭いし、地味な文芸作品中心で、必ずしも訪れる機会は多くなかった。しかし、スタッフの皆さんが、本当に"映画"と"銀座の街"を愛していることが伝わってくる素敵な映画館だ。残り3ヶ月弱、あと何回かは訪れたいものだ。
それでも、午後一番に自宅から遠い場所でリアル出席が必要な打ち合わせが設定される事もある訳で…。早起きとラッシュを避けて午前中は在宅とするか、昼間の一番暑い時間帯に移動するのを避けて早めに動くか、結構、悩まされてしまいます。 |