IN/OUT (2026.8.2)

来週、勤務先は夏期休暇。今年は、ちょっと欲張って余裕を入れてしまい、我ながら衰えが目立ち始めた体力が保つのか、いささか心配な今日この頃です。


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「Mothers' Instinct」26.7.28

TOHOシネマズシャンテJessica ChastainとAnne Hathawayが主演する心理サスペンス映画を観てきた。邦題は「隣人たち」

1960年代の米国郊外の住宅地。2人は、隣同士に暮らし、同じ年頃の息子を持つ親友。しかし、Anne Hathawayの息子が事故死。彼女は、その喪失を埋めるかのように、Jessica Chastainの息子に優しくするようになる。その様子は、我が子を奪おうとしているようにJessica Chastainには感じられて…。

事故の現場にはJessica Chastainも居合わせたことから、Anne Hathawayの行動は復讐のようにも見える。一方で、Jessica Chastainが過剰な被害妄想を抱いているようにも見える。親友だった2人の関係は、一触即発の緊張感をはらむようになり、重苦しい雰囲気のまま物語は進むのだが、終盤に急転直下、恐るべき行動に出たのは…。果たして、彼女の真の狙いとは…

原作はベルギーのミステリ作家、Barbara Abel。邦訳は出ておらず、どのような作風なのかは分からないが、少なくとも本作は、まさに"嫌ミス。ただし、原作及びベルギーでの映画化作品と、今回のハリウッド・リメイクではラストの展開が違うらしい。ネタバレ・サイトを見てみたが、このリメイクの方が、”嫌さ”増し増し。そして、タイトルの”Mothers' Instinct”という言葉が深い意味を持っていたことを思い知る。

夫は家計を支え、家事や育児への参加は限定的。一方、妻には、「良い母親」であることと「家庭内でも身だしなみを整え、美しさを維持すること」の両立が(今以上に)求められていた1960年代という時代設定が絶妙。だからと言って、彼女が取った行動は常軌を逸しているのだが…

ミステリとしては、警察の介入がほとんど無いなど、脇の甘さもある。が、この映画は、主演 2人の、”信頼できない語り手”としての怪演のぶつかり合いを見守るだけで、十分に元は取れる。特に、精神的に不安定な役を演じる時のAnne Hathawayの存在感は、凄すぎる。


「ロン・ミュエク」@ 森美術館26.7.31

森美術館オーストラリア生まれで英国在住の現代美術家 Ron Mueckの回顧展を観に、森美術館に行ってきた。

細部までこだわったハイパーリアリズム彫刻作品が特徴の作家だが、一点あたり、完成までに相当の年月がかかるそうで、現在まで約30年間の活動で製作されたのは49点。その内11点が、今回、森美術館に集結している。

森美術館全ての展示品が、本当に興味深いのだが、特に「In Bed」のインパクトは強烈。形状はベッドに寝ている女性のリアルな姿だが、サイズがバグっている(いつもは、他の人のこの程度の写り込みなら消しゴムマジックで消すのだが、今回は比較のために残した)。そのインパクトたるや!

森美術館老人と鶏が、何故か対峙している「chicken / man」の諧謔味も、ジワジワくる。

森美術館窓がある展示室に1つだけ置かれている「Angel」。作品自体にはあまり強い印象は受けなかったのだが、夜に訪れたので、ガラスに映ったエンジェルがちょっと良い感じ(Wim Wendersの「ベルリン・天使の詩」風味?森美術館

森美術館最後の展示室の入り口。巨大な頭蓋骨が置いてある。
森美術館
中に入ると、100個の頭蓋骨が積み上げられた「Mass」。
森美術館
”メメント・モリ”と言うには、サイズも量も、度を超している…

他の作品も、一見、普通の女子なのに、足の長さや頭の大きさなど身体の各パーツの比率が微妙に変になったものや、赤ちゃんを抱いた生活感溢れる女性(ただし、目は、赤ちゃんではなく虚空を見つめている…)など、何らかの引っ掛かりがある物ばかり。平衡感覚を狂わされるような、微妙な不安感をかき立てられるような、そこはかとなく不穏な印象が刷り込まれる。そんな展覧会だ。

もう一つ、感心したのが、音声ガイドの出来の良さだ。作品が放つ異質感の正体を巧みに言語化してくれているし、ガイド無しでは見逃してしまうような鑑賞ポイントもしっかり教えてくれる。”AI を搭載した次世代の美術館体験プラットフォーム「artlas」の音声ガイド”ということで、美術館から提供された解説文をClaudeがパーソナライズしてくれているらしい。これは、今後も期待したい技術だ。


「Le assaggiatrici」26.8.1

シネスイッチ銀座1943年、第二次世界大戦末期。ヒトラーに提供される食事の毒味役を命じられた女性たちを描いた、イタリア・ベルギー・スイスの合作映画を観てきた。英語タイトルは「The Tasters」。邦題は「ヒトラーの毒味役」

1943年、第二次世界大戦末期。主人公の女性は、戦地に行っている夫の帰りを待つため、ベルリンから田舎町の義父母の家に引っ越してくる。現ポーランドの東プロイセン州にあるその町の近くの森の中に、ヒトラーが設けた総統大本営(”Wolfsschanze”=「狼の巣」)がある。ある日、主人公は、他の若い女性たちと共に兵士に連行され、ヒトラーの毒味役を命じられる。(ヒトラー用なのだから、当然、豪華な)料理を、親衛隊に銃を突きつけられながら食べる日々が始まる…。というお話。

一応、史実に基づいているということになっているが、2012年に初告白した証言者は、当時95歳の女性 1人(ナチスの協力者と見なされることを恐れ、それまで口を閉ざしていた。他の毒味役の女性たちは、ソ連兵に銃殺され、戦後を生き延びることは出来なかったとのこと)。私としては、詳細な部分の信憑性は怪しい気がするが、ヒトラーが暗殺を恐れ、毒味役を使っていたこと自体は、十分に考えられる。戦争が孕む、馬鹿馬鹿しさと紙一重の悲劇性を表す逸話と言えるだろう。

ということで、この話を映画化するという着眼点は、とても良いと思う。異様な状況下に置かれた女性たちの間に、特殊な連帯感が生じるというシスターフッド的展開も悪くない。ヒトラー本人は画面に出さずに、この戦争の異常さを描ききった胆力も評価できる。

ただ、結局は、メロドラマに流れてしまうのが、私には残念に感じられた(このメロドラマ要素こそが、人間の業を描いているという見方があるのは理解するが…)。


「Spider-Man: Brand New Day」26.8.2

丸の内ピカデリーSpider-Manの新作を観てきた。

前作「Spider-Man: No Way Home」が、シリーズの集大成的に大いに盛り上がった作品だった。その続きを製作するのは、かなりハードルが高かったと思われるが、さすが、Marvel & SONY。きちんと要求に応える映画に仕上がっている。

前作のラストで、全ての人々の記憶からPeter Parkerに関することを消し去るという選択をした主人公。Spider-Manとしての活動を続けながらも、孤独に精神を蝕まれている。一方で、身体には新たな変化が起こり始める。そこに現れる強力な敵。果たして、彼は危機的状況を脱することが出来るのか? そして、彼のことを記憶していないガールフレンド MJとの関係は? というストーリーは、まぁ、想像の範囲内。劇中、Black Widow(Florence Pugh)に、”あなたが扱うのは小さなポテト。大きなポテトはAvengersが扱うから” と言われていたが、確かに、地球的規模の危機というタイプのストーリーではない。”Your Friendly Neighborhood”に丁度な手頃感が好ましい。

見どころは、豪華な脇役陣。Avengersから、Black Widowの他にHulk(Mark Ruffalo)も参戦。Marvelのダークヒーロー Frank Castle = The Punisher(Jon Bernthal)や、X-MenのJean Grey(Sadie Sink)も重要な役割を持つ。知らない人でも問題なく楽しめ、もちろん、知っている人にはより面白くなるというキャラクターの使い方が巧いなぁと感心するのと同時に、権利関係の調整は大変だっただろうなと思ったり。

やや冗長な箇所もあったが、シリーズの特徴である青春映画らしい雰囲気も十分に感じられる良作だ。



日頃は、調べ物はシンプルにググる事が多いのだけど、休暇中の予定を立案するにあたり、AIを使ってみることに。ただ、ハルシネーションを警戒して、Claude君、Chat GPT君、Gemini君、Copilot君の4つに同じ質問を投げかけていると、便利なんだか不便なんだか分からなくなってきました…。皆、どうやって、普段使いするAIを選んでいるのだろう?