IN/OUT (2024.6.2)

地方自治体の首長選挙に行ってきました。候補者が印刷されている用紙に、丸印のスタンプを押す方式。これは開票・集計作業が、かなり効率化できそうな気がします。文字を書くことに困難がある人でも投票できるのもメリットでしょう。良いアイディアだと思うのですが、調べてみると、国政選挙では認められておらず、地方自治体の選挙でも、あまり普及は進んでいないようです。


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「どうぶつ百景 江戸東京博物館コレクションより」 @ 東京ステーションギャラリー24.6.1

東京ステーションギャラリー江戸に暮らす人と動物との関係を物語る美術品や工芸品など約240点を紹介する展覧会を観に、東京ステーションギャラリーに行ってきた。展示品の多くは、江戸東京博物館の収蔵品から選りすぐった物。2022年にパリの日本文化会館で好評を博した展覧会の凱旋帰国展になる。

展示品の幅は広い。江戸の風物を描いた巨大な屏風絵の中から犬などの動物を探す趣向や、動物が描かれた浮世絵、動物がデザインされた着物や簪、招き猫型の菓子用木型、土人形や張り子の犬、さらには20世紀に入ってからのセルロイド製のおもちゃなどなど。

ただ、可愛い!という感じのデザインは少ない。意外に、明治以降の作品も多い。もっと、犬・猫など愛玩動物に対象を絞ってくれた方が、楽しめたかもしれない。今どきの展覧会では少数派だと思うが、館内の写真撮影が一切禁止というのも、ちょっと寂しい。

東京ステーションギャラリーそれよりも、東京駅を利用する際、何度も前は通っていたが、今回、初めて中に入った東京ステーションギャラリー自体が印象的だった。展示室の壁面は、オリジナルの赤レンガがそのまま活されていて、独特の雰囲気。

エレベーターで3階まで上がり、展示室は3階と2階にあるのだが、2階の回廊からは、東京駅丸の内北口ドームの上部を見ることができる。柱の「AD MMXII」の刻印も間近で視認(復元工事が行われた2012年の意)。

東京ステーションギャラリーまた、順路を辿るために下りる階段が、中々の趣。駅舎の中に、このような文化施設があるのは、大したものだと思う。ミュージアム・ショップの品揃えがイマイチだったのは、減点ポイントかな。


"Furiosa: A Mad Max Saga"24.6.1

"Mad Max: Fury Road"の前日譚にあたる映画を観てきた。監督はもちろん、George Miller。”Fury Road”でCharlize Theronが演じたFuriosaが主役。今作で演じるのは、Anya Taylor-Joy。最近の俳優の中では、とても気に入っている人なのだが、このようなヴァイオレンス映画で主演を張るとは意外。果たして…

結果、大傑作だった。Furiosaが、何故、Immortan Joeの元で働いていたのか? 彼女の片腕が失われているのは何故か?「鉄馬の女たち」とは何者だったのか? 等々、”Fury Road”での疑問がすっきり解消。そして、見事に”Fury Road”に繋がるラスト。前日譚として完璧だ("Rogue One"に並ぶ、ベスト前日譚だと思う)。

ストーリーも、「行って、帰る」だけと言える”Fury Road”よりもドラマ性が高い。ほぼ全編アクション・シーンなのに、中だるみは一切無く、ハイ・テンションを維持する演出が見事だし、奇想天外とも言えそうなアイディアに溢れたアクションは、相変わらず。George Miller監督、良い意味で狂っている。

鑑賞前は不安に感じていたAnya Taylor-Joyの線の細さは全く気にならなかった。むしろ、彼女の特徴的な大きな目に込められた力強さが、Furiosaの常人離れしたタフさへの説得力を高めている。今後も、彼女の出演作は積極的に追いかけねば!

彼女の素晴らしさだけでなく、どの出演者も魅力的。特に、力持ちだが脳味噌は…という役を演じたら、Chris Hemsworthは輝くなぁ(結果的に、Immortan Joeの凄みが引き立つのだ)。

ということで、鑑賞後も興奮が長時間持続する映画体験。あと数回は劇場で楽しみたい。


「トノバン 音楽家 加藤和彦とその時代」24.6.1

「トノバン」のニックネームでも知られた加藤和彦を描いたドキュメンタリー映画を観てきた。サディスティック・ミカ・バンドや、ヨーロッパ三部作と呼ばれるソロ・アルバム(矢野顕子もレコーディングに参加している)で、私にとっても思い入れのあるミュージシャンだ。

監督の相原裕美が、前作「音響ハウス Melody-Go-Round」完成試写会の時に、高橋幸宏から「トノバンって、もう少し評価されても良いのじゃないかな?」と言われたのが、この映画製作のきっかけになったという話も熱い。

映画は、幅広い関係者へのインタビューを中心に、加藤和彦の活動を時系列に追っていく。当時の音楽シーンを多少なりとも知っている人間には、懐かしい話もあれば、なるほどと思う発見も多い。特に、Chris Thomasが、1974年、サディスティック・ミカ・バンドの「黒船」をプロデュースするため日本を訪れた際、いきなり、スタジオ内のモニター・スピーカーの左右が合っていないと指摘し、最初の2日間はスピーカーのマッチングだけに費やしたとか、2インチのマルチ・トラック・テープを切り貼りして編集したという、完璧主義エピソードが興味深かった(まぁ、Chris本人が楽しそうにインタビューに応えているのを見ると、「ミカとのすったもんだはどうなんだよ!」と詰め寄りたくなるが…)。

ただ、ヨーロッパ三部作まで彼の軌跡を追った直後(三部作最後の「ベル・エキセントリック」が1981年発売)、彼の自死(2009年)に話が飛ぶのは、如何なものかと感じてしまった。別に、「公式伝記映画」では無いのだから、全音楽活動を網羅しなくても構わないが、なんだか中途半端。また、彼の料理趣味について、三國シェフのインタビューを入れるなど、結構、時間をかけるのは、唐突な感じがした。音楽性と人間性、どちらの掘り下げも詰め切れていない印象になってしまう。

あと、ラストに流れる、高野寛、高田漣、坂本美雨、石川紅奈、きたやまおさむ、坂崎幸之助、宮川剛、佐藤優介、高橋幸宏(ドラムスのサンプリング)、加藤和彦(from 1971 live)による「あの素晴しい愛をもう一度」の新録は、当然ながら涙を誘う名曲・名演だし、きたやまおさむの参加も嬉しいし、他のメンバーも好きなミュージシャンばかりではあるのだが、このメンバーで演奏することの必然性が良く分からない。

と、不満も多いのだが、映画の中で流れるサディスティック・ミカ・バンドの音楽が、ベタな「タイムマシンにお願い」よりも、「塀までひとっとび(BBC2で放送された”SUKI SUKI SUKI”)」の方が長かったのは、私としては嬉しい。

TOHOシネマズシャンテの土曜の午後の上映は、ほぼ満席(平均年齢は高めだったが)。この機会に、加藤和彦の再評価が高まると良いなと思う。



まぁ、旧い人間からすると、候補者の名前を書かないと、投票した、という気分にならないという感じもありましたが、それでも、普及させるべき方式ではないかなぁ。