IN/OUT (2024.2.25)

スマートフォンのGoogle Mapのタイムライン機能がなんとなく気に入っていて、過去のデータを見返したりすることがあるのですが、日によって、かなり精度に差があります。専用のGPSロガーじゃないから仕方ないとはいえ、つい気になって、履歴を編集することが多々有る、今日この頃です。


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「国際音楽祭NIPPON2024 訪内晶子 室内楽プロジェクト AKIKO Plays CLASSIC with Friends ~ウィーン1800~」@紀尾井ホール 24.2.19

紀尾井ホール諏訪内晶子が芸術監督を務める室内楽プロジェクトの公演を観に、紀尾井ホールに行ってきた。昨年、上原ひろみの公演で訪れ、その音響と雰囲気の良さに驚き、機会があれば再訪したいと思っていたのだ。クラシックは全くの門外漢だが、さすがに諏訪内晶子の名前は知っている。というか、その程度の予備知識での参戦だが、果たして…

シリーズ公演の1回目。今回は1800年頃の「旧ウィーン楽派(ウィーン古典派)」の作品を採り上げる。開演の20分前に、音楽学者 沼野雄司による プレトーク。当時、パガニーニがウィーンで巻き起こした大フィーバー(関連グッズなどが大量に売られていたらしい)などを紹介。室内楽は、必ずしもかしこまった音楽では無く、大衆から支持されていたということだ。分かりやすい語り口だが、やはりクラシックの予備知識が無いと、全てを理解するのは難しいな…。また、このホール、残響が長く、音楽には素晴らしいのだが、スピーチには不向きな音響である。

この日の演奏者は、諏訪内晶子(ヴァイオリン)、Benjamin Schmid(ヴァイオリン)、鈴木康浩(ヴィオラ)、Jens-Peter Maintz(チェロ)、池松宏(コントラバス)、Paul Meyer(クラリネット)、秋元孝介(ピアノ

まずは、ベートーヴェン「2つのオブリガート眼鏡付きの二重奏曲 変ホ長調 WoO 32」を、ヴィオラとチェロで。
ベートーヴェンが知り合いの奏者のために書いた曲で、2人とも眼鏡を掛けていたそうだ。当然、今回のプレイヤーも眼鏡を装着しての演奏。

モーツァルト「クラリネット五重奏曲 イ長調 K.581」。
弦楽四重奏+クラリネットの編成。心地良い曲だが、それが故に、ついつい睡魔が…。ここで、15分間の休憩。

休憩中にピアノ(Steinway)がセットされ、パガニーニ「ロッシーニの歌劇『エジプトのモーゼ』より『汝の星をちりばめた王座に』による序奏と変奏曲 『モーゼ変奏曲』 Op.24, MS 23」。
ロッシーニの歌劇を基にしたニコロ・パガニーニの作品。これを、ピアノと諏訪内晶子のヴァイオリンで演奏。さすが、説得力のあるヴァイオリンの響き。1828年、ウィーン公演でパガニーニが披露し、大人気を博した作品という事だが、確かに、素人にも分かりやすく、演奏に没頭できる作品だ。

続いて、パガニーニの作品をフリッツ・クライスラーが編曲した「ラ・カンパネラ」。
これもまた、聴き応え有り。

ここで、セットチェンジの時間を利用し、沼野雄司と諏訪内晶子のトーク。クラシックの専門用語が普通に飛び交う会話だが、とりあえず興味深くはある(ヴァイオリンの「ウルフ・トーン」という言葉を覚えることが出来た)。諏訪内晶子の頭の良さが良く分かる。

そして、最後の演奏曲は、シューベルト「ピアノ五重奏曲『ます』イ長調 D.667」。
ピアノと弦楽四重奏だが、その構成は、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスで、諏訪内晶子は演奏せず。客席で聴いておられた。これも、有名曲だけに、知っているフレーズが出てくると嬉しい(我ながら、低レベルの鑑賞だな)。

カーテンコールを繰り返して全編終了。有名作曲家の作品ばかりで、門外漢にも十分に楽しめるプログラムだった。そして、初めて生で聴いた諏訪内晶子のヴァイオリンは、(テクニックの詳細は私には分からないが)存在感と説得力が凄かった。


「国際音楽祭NIPPON2024 訪内晶子 室内楽プロジェクト Akiko Plays MODERN with Friends ~ウィーン1900~」@紀尾井ホール 24.2.21

紀尾井ホール月曜日に続いて、水曜日も紀尾井ホールに行ってきた。今回は1900年頃の「新ウィーン楽派」の作品を採り上げるという趣向。

開演の20分前に、音楽学者 沼野雄司による プレトーク。このプロジェクトのために新たに曲を書き下ろした東京藝術大学教授 安良岡章夫も登壇。かつて、桐朋女子高等学校音楽科(男女共学)(()内も含めて、これが正式名称)で、諏訪内晶子を指導したことがある先生で、非常に話が上手い。素人にも分かりやすい解説で、この後の本番に期待が高まる。

この日の演奏者は、諏訪内晶子(ヴァイオリン)、Benjamin Schmid(ヴァイオリン)、鈴木康浩(ヴィオラ)、中村翔太郎(ヴィオラ)、Jens-Peter Maintz(チェロ)、佐藤晴真(チェロ)、Paul Meyer(クラリネット)、José Gallardo(ピアノ)、秋元孝介(ピアノ

諏訪内晶子とPaul Meyer、秋元孝介の3人による、ベルク「ヴァイオリン、クラリネットとピアノのためのアダージョ」から演奏開始。
玄妙な音色が心地よし。

続いて、佐藤晴真と秋元孝介によるウェーベルン「チェロとピアノのための3つの小品 Op.11」。
小品の名の通り、それぞれ1分間程度の極めて短い曲が3曲。実験的な雰囲気だが、チェロの音域の広さを再認識する。

そして、諏訪内晶子、Jens-Peter Maintz、José Gallardoの3人でコルンゴルト「ピアノ三重奏曲 Op.1」。
とても綺麗な響きの箇所もあるのだが、20世紀らしい実験的な雰囲気もある。ここで20分間の休憩。

安良岡章夫「ステッラ・ビナーリア~2台のヴァイオリンのための」は、諏訪内晶子とBenjamin Schmid、2人の凄腕ヴァイオリニストの共演。
様々な奏法を用いた2人の音が絡み合う。テンションの高い、現代音楽的な雰囲気もある曲だ。この企画に合わせて作曲したという事で、上手くハマっていたと思う。演奏後には、カーテンコールに応え、安良岡章夫も登場。

最後は、シェーンベルク「浄められた夜 Op.4」。
ヴァイオリン×2、ヴィオラ×2、チェロ×2による弦楽六重奏という構成はあまり聴いたことが無かったが、さすがに重厚な響きである。

これで、2日間の公演、全て終了。私のような門外漢には、聴いたことがあるフレーズが頻出する「1800年」の方が分かりやすかった。「1900年」の方は、100年前の曲ではあるが、私には前衛的に感じられ、中々の歯ごたえだった。

いずれにせよ、紀尾井ホールの音響と室内楽の相性は、予想通り。実に心地よい音響異空間だった。もう少し、クラシックも聴いてみようかと思う。


"Next Goal Wins"24.2.23

Taika Waititi監督の新作を観てきた。

オランダ出身の元プロ・サッカー選手で、2001年からU-20米国代表の監督を務めていたThomas Rongen(演じるのはMichael Fassbender)が主人公。2011年にU-20代表監督を解任された彼は、FIFAランキングで最下位の米領サモアの代表監督に就任する。しかし、彼らは、公式戦で1勝もした事が無く、2001年のワールドカップ予選の対オーストラリア戦では31対0で敗れたという、とんでもない弱小チーム。果たして、彼はチームを立て直し、悲願の1勝、いや、1点を挙げることができるのか、という実話を基にした映画。

こういったスポーツ映画にありがちな熱血要素は希薄だ。代わりに、スポ根とは真逆の、南太平洋の島国らしい大らかな雰囲気に満ちているのが楽しい。Taika Waititi監督らしい、ちょっとしたジョークのセンスも私好みだ。

しかし、終盤のクライマックス近くになって、それまでに仕組まれていた叙述トリックのような設定が明らかになり、一気に感情を刺激してくる。実に巧みな作劇だ。対トンガ戦の描き方も工夫されていて、小品ながら、とても爽快な印象の映画だ。

この手の実話を基にした映画のあるある、エンディング・クレジットでご本人達の映像が流れるのだが、結構、皆、似ているのも楽しい。そう言えば、Michael Fassbenderは、"Steve Jobs"でも見事な熱演だったな。

あと、コメディアン出身だけに目立ちたがりのTaika Waititi監督("Jojo Rabbit”でのAdolf役も好演)が、今作でも癖の強い演技を披露しているのもお楽しみ。お勧め作である。


「三井家のおひなさま」@三井記念美術館24.2.24

三井記念美術館三井家の夫人や娘達が愛したというひな人形の展示を観に、日本橋の三井記念美術館に行ってきた。COREDO室町のTOHOシネマズはしばしば訪れるのだが、その近くにある三井本館は初めてだ。さすがは旧財閥、なかなかに重厚な雰囲気だ。

三井記念美術館江戸時代から昭和初期まで、様々なひな人形が並んでいるが、時代ごとに、人形の大きさや表情が違っている。特に、この丸顔の人形が可愛い。

三井記念美術館フルセットでの段飾りは、さすがの迫力。

三井記念美術館個人的には、人形よりも、ひな道具の方が興味深い。小さいのに滅茶苦茶凝っている。こういう、ミニチュアを愛でるという感覚というのは、時代を超えているなぁと思う。


「岩﨑家のお雛さま」@静嘉堂文庫美術館24.2.24

静嘉堂文庫美術館日本橋で三井家のひな人形を観た後、丸の内の静嘉堂文庫美術館に足を伸ばした。こちらでは、三菱第四代社長・岩﨑小彌太が孝子夫人のために京都の人形司・丸平大木人形店で誂えた「岩﨑家雛人形」を中心とした展示が行われている。

なお、三井が「おひなさま」とひらがな表記で、三菱が「お雛さま」と漢字表記なのは、謎である。

静嘉堂文庫美術館展示自体は、似たものが多いが、見せ方は三井家の方が上手いかもしれない。一方、岩崎家の方は、充実したオーディオガイドがあるのがありがたい。

静嘉堂文庫美術館また、夫人のための雛飾りだけでなく、岩崎小彌太の還暦を祝し丸平に特注した「木彫彩色御所人形」なども飾られているのは興味深い。ガチのお金持ちって凄い、という下世話な感想ばかりが浮かんでしまうが…

静嘉堂文庫美術館そして、こちらでも、人形よりも、ひな道具の方が興味深い。

この時期、日本橋の三井と丸の内の三菱(岩崎)が雛人形の展示をするのは、毎年恒例らしい(お互いに、他方の美術展の半券で割り引きする「相互割引」有り)。財閥というと、あまり良い印象は持っていなかったのだが、日本の近代化において、経済だけでなく、文化面でも大きな影響を与えたのは間違い無いと、二つの美術館を訪れて実感したのである。



最近、Google Mapのタイムライン上、夜中に自宅を出発したまま、徒歩で近所をウロウロしているという記録が残っていることがしばしばあります。さすがに、そこまで重度の夢遊病じゃ無いと思うのですが、何でだろう?