IN/OUT (2023.12.3)

一気に寒さが増すと同時に、12月に突入です。


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「イヴ・サンローラン展 時を超えるスタイル」@国立新美術館23.12.2

国立新美術館1936年生まれ。1958年にDiorのデザイナーとしてデビューし、1962年からは自身のブランドを立ち上げ、「モードの帝王」とよばれたYves Saint-Laurentの大規模回顧展を観に、国立新美術館に行ってきた。

最近、ファッション・デザイナーの回顧展が美術館で開かれることが増えたと思う。 Gabrielle ChanelMary QuantChristian Diorなど。いずれも、展示方法=見せ方にしっかり拘っているところが、流石という感じで、ファッションに疎い私にも楽しめるものが多い。果たして、今回は?

国立新美術館私にも印象的だったのは、芸術にインスパイアされた作品の数々だ。展覧会のキー・ヴィジュアルになっている「モンドリアン・ルック」の他にも、ゴッホの作品をモチーフにした作品など、そのデザインだけでなく、職人による刺繍の技にも感嘆。

国立新美術館Yves Saint-Laurentは、オートクチュールは女性ものしか作らなかったそうで、展示されているのは女性服のみだ。それらが、奇をてらわない正統派の見せ方で展示されている。津田健次郎による音声ガイドも、極めて、真っ当な解説で、門外漢にも分かりやすい。さらに、この手の展覧会では珍しく、写真が撮れるのは、11室に分かれている展示室の中で一つだけ。この辺りにも、ブランドの個性が現れているのかもしれない。


”The Exorcist: Believer”23.12.2

1973年の大傑作ホラー映画"The Exorcist"の続編を観てきた。これまでも、シリーズ作と言われる物は何作か製作されているが、製作会社と原作者のWilliam Peter Blattyとの確執などもあって、必ずしも一貫した軸があるシリーズにはなっていない。因みに、私は、1作目と、1977年の”Exorcist II: The Heretic”が好き。なので、2023年になってからの続編に、今更感は拭えない。

今更感に加え、ショック・シーンやスプラッター・シーンは、正直、勘弁願いたいという気持ちも強かったのだが、予告編で”Tubular Bells”が聞こえてきて、観るしか無い、となった次第。なお、この曲、”The Exorcist”のテーマとして超有名になってしまったが、映画に使われているのはMike Oldfieldのオリジナルでは無く、彼が全く関わっていない別録音版(版権の問題らしい)で、彼自身は快くは思っていないらしい。オリジナルの”Tubular Bells”は、アルバムのA面全てが”Tubular Bells, Part 1”、B面全てが”Tubular Bells, Part 2”という大作で、オカルト風味は皆無の、感動的な名曲なのだ。

さて、今作の舞台は2023年(ハイチの大地震から13年後という事が描写されていることから推察)。森へ出かけた二人の少女に異変が生じる。彼女らは邪悪なものに取り憑かれたのだ。ここから、悪魔祓いの儀式という展開になるのだが、これが巧みに現代風にアップデートされている。もちろん、William Friedkin監督による異常とも言えるテンションに満ちた第1作にはまったく及ばないのは仕方ないが、正面から対抗するのは避けて、上手くまとめたなぁと思う。まぁ、こぢんまりした感じは拭えないが…。

さらに驚いたのが、1973年のオリジナルから50年後を描いた作品なのに、見事に、正統の続編となっていることだ。Chris MacNeil役のEllen Burstyn(90歳!)、そして、Regan役のLinda Blairも登場。オリジナル好きには堪らない展開だ。

要所で要所で、”Tubular Bells”の旋律が流れるところにも、熱くなる。やはり、名曲だ。願わくば、もっと、オリジナルに近いアレンジで流してもらいたいところだが…。いずれにしても、期待していなかった割には、中々どうして、とても楽しめた。いきなりの大音量で驚かす姑息な演出は嫌いだが、そこさえ我慢して軽い気持ちで観る分には、お勧めのホラー快作だ。



別に、12月だから、何かキリを付けないと行けないことが有る訳じゃなくても、バタバタするのが、まさに師走。