IN/OUT (2023.4.2) |
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スギ花粉が減ってきたかなと思ったタイミングでヒノキ花粉が増えるのは、本当に勘弁していただきたいと思う今日この頃です。ヒノキ花粉の方が症状が重い。 最近のINSIMON PHILLIPS "Protocol V" @ ブルーノート東京 (23.3.27)Simon Phillipsのライヴを観に、ブルーノート東京に行ってきた。昨年リリースしたアルバム”Protocol V”を引っさげ、レコーディング・メンバーでもある Otmaro Ruiz(key)、Ernest Tibbs(b)、Jacob Scesney(sax)、Alex Sill(g)がバックバンドとして帯同。2019年のライヴと同じメンバーである。 ステージ向かって左に、巨大なドラム・セット。ほとんど、ドラム山脈である。そして、私の席は、ほぼ、その正面。バスドラまでの距離 2m未満。これは嬉しい。 開演と同時に、例によって、圧倒的手数の爆音ドラムス。途中、メンバー紹介のMCが入った以外は、ほぼノンストップで、”Protocol IV”の曲から始まり、”Protocol V”の曲になだれ込む怒濤の展開。高速ソロのキーボード。ソプラノ、アルト、テナーの三本を使い分けながら、ギターとのユニゾンを響かせるサックス。ショルダー・ストラップで掛けたものと同時にスタンドに固定した楽器も弾くというSteve Howe師匠的プレイも見せるギター。メロディー隊が次々とカッコ良く熱いプレイを聴かせる中、一貫して、バックにはSimon Phillipsの馬鹿テク・ドラムスが轟っきぱなし。基本、それだけのインストが、アンコールも含め延々続くのだが、全く飽きない。というか、いつまでも爆音の中にいたいと思える。 彼のキャリアは、通算 20年間在籍したTOTO以外に、Jeff Beck、Michael Schenker Group、Judas Priest、The Who、Mick Jagger、Gary Moore、Jon Anderson、Mike Oldfield、そして、上原ひろみと、錚々たるミュージシャンとの共演に彩られている訳で、そのスーパー・プレイを、この至近距離で浴びられる、まさに多幸感に溢れた時間だった。 ”Living” (23.4.1)黒澤明監督の1952年の傑作「生きる」を、Oliver Hermanus監督(南アフリカ出身)がリメイクした英国映画を観てきた。ノーベル文学賞受賞者であるカズオ・イシグロ(私が、新作が出版されれれば無条件に購入する数少ない作家の一人だ)が脚本を手掛けたことでも話題になっている。 舞台は、オリジナルと同年代、1953年のイギリス。街の風景や登場人物達のファッションだけでなく、画面の色彩設計やクレジットの書体など、当時の雰囲気を見事に再現している。舞台が英国に移って、ジェントルマン度は高まっているが、ストーリーはほぼオリジナル通り。画面の隅々に、一貫して原典への敬意が溢れているのが、とても好感の持てるリメイクだ。 そんな中、特筆すべきは、やはり、主演のBill Nighyの存在感だろう。見るからに、不器用な英国紳士。末期癌による余命宣告を受け、途方に暮れる姿が圧倒的に説得力を持っている。一方、若者代表 Aimee Lou Wood嬢のハマり具合も見事。二人のシーンは、実に胸に迫るものがある。 あと、オリジナルの「ゴンドラの唄」に対し、本作ではスコットランドの伝統歌「The Rowan Tree」が使われているのも適切な翻案だと感心。脚色にも演出にも演者にも、素晴らしい職人技が満ちている。 ストーリー・テリングの巧みさは言うまでも無く、しみじみと心に染みる傑作だ。 【極音】”BLUE GIANT”@シネマシティ (23.4.1)"BLUE GIANT"の二度目の鑑賞。是非、この映画館で観たいと思っていた立川のシネマシティに行く時間をようやく確保できた。 私の自宅からは便利とは言えない場所にある映画館だが、「日本一音にこだわる映画館」を自称するのは伊達じゃ無い。特に、今回の極音上映が行われているシネマ・ツーaスタジオの音響は半端ないのだ。フェス級のライヴ会場と同程度の音響システムを映画館に押し込んだ、異常とも言えるスタッフのこだわりが、映画好き&音楽好きには堪らないのである。それ以外にも、館内のあちこちに溢れているスタッフの映画愛。私は、"Bohemian Rhapsody" ライブスタイル上映のような、実に「分かっている!」上映方式を体験してから、圧倒的な信頼感を寄せている映画館なのだ。 二回目の鑑賞なので、明朗快活、熱血青春ジャズ漫画のストーリーに一喜一憂する心配は無い。ひたすら、上原ひろみ・馬場智章・石若駿が奏でるライヴ・シーン(この映画、上映時間の1/4はライヴ・シーンだ)に没頭する。さすが、シネマシティの極音上映。見事なまでにライヴ・ハウスの音が再現されているのである。前回観たときは、Dolby Atmosでの上映だったので、それなりに高音質だったはずだが、そんなもの、超が付く映画&音響おたくが運営するシネマシティは、あっさり凌駕。圧倒的なライヴ体験である。すっかり没入した。とにかく、音楽好きの人、特に上原ひろみファンには、是非、この映画館でこの映画を体験してもらいたいと強く思うのである。 なお、この映画で描かれる東京屈指のジャズ・クラブ「So Blue」。改めて、ブルーノート東京を見事に再現しているなぁと感心した。 圧倒的音響効果を求めての立川遠征。目的は達成し、耳は大喜び。しかし、この時期の多摩地域。花粉量はとんでもないことになっていて、とにかく目が辛い。鼻が辛い。まあ、大きな楽しみを得るには、何らかの犠牲を払う必要があるということでしょうか… |