IN/OUT (2023.2.19) |
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スギ花粉の飛散量が一気に増えたと実感する今日この頃です。 最近のIN"Compartment No.6" (23.2.18)2021年・第74回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門でグランプリを受賞した映画を観てきた(カンヌの最高賞は「パルムドール」なので、グランプリは2位ということになる)。監督はフィンランド出身のJuho Kuosmanen。フィンランド・ロシア・エストニア・ドイツ合作映画である。フィンランド語の原題は「Hytti nro 6」。 主人公の女性は、フィンランド人。モスクワで恋人と暮らしている。恋人は、文化的にも経済的にもハイクラスの友人に囲まれた社交的な生活を送っており、主人公はその雰囲気に惹かれているようだ。二人は、北極圏にある町ムルマンスク近郊にあるペテログリフ(岩の表面に刻まれた彫刻)を観に行く計画を立てるが、恋人の都合が悪くなり、主人公一人でムルマンスク行きの寝台列車に乗る。同室になったのは、粗野で無神経な炭鉱労働者。その態度にうんざりする彼女だが…というお話。流れるBGMや登場するガジェット(ウォークマンやビデオカメラ)から見ると、舞台は1990年代だろう。携帯電話を登場させないためだと思う。 正直、地味な映画である。豪華、清潔、あるいは効率という言葉とは無縁のロシアの寝台列車。訪れるのは、寒々しいロシアの僻地(何故、わざわざ冬に、あんな北部に旅するのか?)。主人公は、目を惹くような美人ではないし、同室の労働者の面倒くささも大変なものだ。しかし、極めてリアルな感触を持ったロードムービーだ。 そもそも、旅の醍醐味は、実は目的地には無いことが多いと思う(団体ツアーではなく、個人で行く旅行の話)。有名観光地はマスメディアで散々知っていることを追体験するだけだし、今作でのペトログリフなどマニアックな物は必ずしも実物が強烈な印象を残すとは限らない。むしろ、道中に起こるトラブル(個人旅行は、トラブルが連続するのが必然だ)と、袖振り合うも多生の縁的な体験こそが、旅を忘れがたいものにしてくれるのだと思う。 また、その行程がハードであればあるほど=非日常感が高まるほど、日々の暮らしで自ら纏っている虚飾が剥ぎ取られていくのも、旅ならではだと思う。結果として、自分とは全く違う環境で暮らす人達と知り合ったり、普段では絶対行わないような行動に走ったり、新しい自分を発見したり。これもまた、旅の醍醐味だと思う。 こうした要素が、リアルな手触りをで提示されている。結果、決して、羨ましくなるような旅を描いている訳では無いのに、見終わった後には旅に出たくなる。とても味わい深い作品だ。 ”Ant-Man and the Wasp: Quantumania” (23.2.18)MCUの新作を観てきた。今回は、Paul Ruddが演じるAnt-ManとEvangeline Lillyが演じるThe Waspをメインにしたお話。 設定は、無茶苦茶である。このところ、MCUがストーリーのバックボーンに据えているマルチ・バースを持ち出せば、荒唐無稽な設定でも何とかなると製作陣は思っているのだろうが(まぁ、実際にそうなのだが)、さすがに、ツッコミどころが多すぎると思う。 見所は、Michelle Pfeiffer、Michael Douglas、Bill Murrayらベテラン名優陣が、嬉々としてアメコミ映画らしい演技を披露していることか。皆さん、実は、こういうのが嫌いじゃないんだな。 全体としては、イマイチ感が強いのだが、しっかりシリーズの今後につなげるためのネタを仕込んできているのが、毎度思うことだが、MCU、恐るべしだ。 ”BLUE GIANT” (23.2.19)ジャズを題材にした漫画のアニメ化作品を観てきた。 原作漫画を読んだことはなく、元々は興味無かったのだが、音楽担当が上原ひろみと聞いて、ムム! 主要人物三人のジャズ・プレイヤーの演奏を、上原ひろみ(ピアノ)、馬場智章(サックス)、石若駿(ドラムス)という一流どころが担当と聞いて、ムムム!! サウンドトラックに参加しているのが、西江辰郎、ビルマン聡平、中恵菜、向井航、という上原ひろみザ・ピアノクインテットのメンバーと聞いて、ムムムム!!! トドメに、ストリングス・セクションの指揮をとるのが挾間美帆と聞いて、もう見に行かざるを得ないのだ。 世界一のジャズ・プレイヤーを目指し、高校を卒業してすぐに仙台から上京した主人公が、トリオを結成し、日本で最もステイタスが高いジャズ・クラブへの出演を目指すという物語は、原作未読者にも分かりやすい熱血青春ストーリー(恐らく、原作を知っていれば知っているだけ楽しめるサイド・ストーリーが沢山有りそうだが)。演出のテンポも良い。 しかし、やはり特筆すべきは、たっぷりと描かれる演奏シーンだ。馬場智章・上原ひろみ・石若駿。実に素晴らしい。劇中の登場人物達の進化に合わせた音になっているところが秀逸。特に、ドラムスは未経験者が練習を重ねていくという役どころ。その上達ぶりと覚醒する瞬間の爆発力を見事に叩き出す石若駿の表現力が見事。ミュージシャンの演奏をモーションキャプチャーしており、動きもリアルだ。 あと、(劇中では、微妙に店名を変えているが)ブルーノート東京とコットンクラブの店内の様子が完璧に再現されているのもお楽しみ。 ライヴシーンの没入感が半端なく、映画終了時には、上原ひろみの新プロジェクトのライヴを一本通して見終わったような充実感を覚える。今回、Dolby Atmosの上映館で鑑賞したのは正解だったと思うが、さらに音響の良い映画館で追体験したいところだ。 「清水ミチコリサイタル~カニカマの夕べ~」@LINE CUBE SHIBUYA (23.2.19)清水ミチコのライヴを観に、LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)に行ってきた。1月2日の武道館ライヴだけでは物足りないのだ。 新しくなった渋谷公会堂に入るのは初めてだ。いかにも今どきのコンサートホールになっている。 ベースとなる構成は武道館と同じだが、ネタのあちこちがバージョン・アップされていて見応え十分。これがあるから、何度でも、足を運びたくなるのだ。地方公演だと、その場所ならではのご当地ネタがあるのがお楽しみだが、東京だとそれが無いのはちょっと残念。 公演を重ねてきたからか、実弟イチロウ氏との共演パート、忌野清志郎が訳詞を書いたHedy Westのフォークの名曲と、矢野顕子の新名曲の出来が、さらに良くなっていたのも好印象。姉弟の仲の良さも素敵だが、二人とも「才人」という表現がピッタリだと思う。 もちろん、私の大好物の「作曲法」ネタも大充実で大満足。追っかけ甲斐のあるツアーだ。 最近、ヨーグルト・メイカーを購入したので、日々のヨーグルト摂取量は昨年よりも格段に増えており、多少は期待したのですが、ヨーグルトの花粉症への効果は「気のせい」の範囲内ですかね。 |