IN/OUT (2022.6.19)

Internet Explorerのサポート終了のニュースに、IT業界の栄枯盛衰を思わずにはいられません。個人的には、その独自仕様が嫌いでほとんど使っていなかったのですが。一方、最近は、現時点でシェア一位のChrome決め打ちのサービスが増えてきて、Chrome食わず嫌いの私としては、鬱陶しいと思う場面に多々遭遇するようになってきました。何だかなぁ…


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「ボテロ展 ふくよかな魔法」@Bunkamura ザ・ミュージアム22.6.18

Bunkamuraコロンビア出身の美術家、Fernando Boteroの個展を観に、Bunkamura ザ・ミュージアムに行ってきた。

Fernando Boteroと言えば、量感たっぷりに肥った人物画などで有名だ。この展覧会は、90歳を迎えても現役で作品を作り続ける彼自身が監修し、初期から最近作まで全70点が展示されている。

デフォルメされた、一目でBoteroの作品と分かるふくよかなフォルムと、鮮やかな色遣いの作品がずらっと並び、質・量ともに見応えがある展覧会だ。人物だけでなく、静物画に描かれた果物や楽器も、見事なまでに「ふくよか」なのだ。その作風からか、展示室には多幸感が溢れているようだ。しかし、一見、能天気に見える肥った人物だが、その視線は鑑賞者には向いていない。敢えて無表情を装った顔は謎めいていて、どこか不安感も誘う。

残念だったのは、彼の彫刻作品が展示されていなかったこと。もちろん、持ち込むのが難しいのは分かるのだが、シンガポールで観たBotero展では屋外に多数の彫刻作品が展示されていて、とても印象的だったのだ。

もう一つ、不満点。この展覧会は「BE:FIRST」なる7人組ダンス&ボーカルグループが、オフィシャルサポーターということになっている(主催者に日本テレビが名を連ねているせいだろうか)。彼らと、声優の伊東健人がオーディオガイドのナレーションを担当しているのだが、これがイマイチというか、酷いというか…。650円の追加料金を払って聴きたいのは、専門的知見からの解説なのだ。しかし、聞こえてくるのは、「ボテロさん」とさん付けで呼んでいる時点でレベルが低いと感じてしまう解説と、BE:FIRSTの男の子達の素人トーク。これは、如何なものか?


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”Elizabeth: A Portrait in Part(s)”22.6.18

Elizabeth女王を描いたドキュメンタリー映画を観てきた。邦題は「エリザベス 女王陛下の微笑み」。

使われている映像は、興味深いものが多い。若い頃の凜々しい乗馬姿(こういう言い方は失礼かも知れないが、本当に美人で可愛い)。競馬場で馬券を当てて喜ぶ姿、高齢になってもユーモアを忘れない利発さ。

しかし、膨大な映像が、ナレーション無しで、時系列も無視して並べられ、その合間に、女王とは無関係のものも大量に挿入される。これが、正直、気が利いているとは思えない。監督の独りよがりにしか感じられないのだ。これは、ドキュメンタリー映画ではなく、多くの資料映像にアクセスできる有名監督が個人的趣味で作ったコラージュ作品だと思う。

Roger Michell監督は、これが遺作となったので、あまり辛辣な事を言うのは気が引けるが、在位70年を迎え、Platinum Jubileeが盛大に行われた2022年に公開されるElizabeth女王を描いた映画がこの作品、というのは、如何なものか?



5月の英国出張以降、英国映画ピーターラビット展と英国づいていたのに、女王を描いた映画がイマイチだったというのは、画竜点睛を欠く感もある、今日この頃です。