IN/OUT (2022.1.30) |
|
職場のテレワーク推奨が強化され、これまで、割にリアル出社する事が多かった私も、率先垂範、テレワーク比率を高めた今日この頃です。 最近のIN"The French Dispatch of the Liberty, Kansas Evening Sun" (22.1.29)Wes Anderson監督の新作を観てきた。邦題は、サブタイトルまできっちり訳した「フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊」 タイトルは、フランスの架空の街にある米国新聞社の支局が発行する雑誌名。編集長が急死し、その追悼号にして最終号のために集められたストーリーが、短編集のように描かれるという趣向。 監督の作品は、"The Darjeeling Limited"、"The Grand Budapest Hotel"、"犬ヶ島"を観ているが、今回も、オフビートな物語に組み込まれた笑いとほろ苦さと、画面の隅々まで詰め込まれたキッチュな意匠がたっぷり。お得意のアニメーションも効果的に使われている。ただし、監督の趣味性がぎっしり詰まった映画は、ハマる人にはハマるが、合わない人には眠いだけという気もする。 商業性や芸術性ではなく、あくまでも監督の趣味を追求するような作品でも、そこにハマったのであろう俳優陣が集結している。Benicio Del Toro、Adrien Brody、Tilda Swinton、Léa Seydoux、Frances McDormand、Timothée Chalamet、Jeffrey Wright、Owen Wilson、そして、Bill Murrayなどなど。個性派の超豪華メンバーだ。これだけのメンバーが端役といえそうな役でも嬉々として演じているのが楽しい。特に、Léa Seydouxには驚いた。 お洒落雑貨店をひっくり返したような、好事家には堪らない作品だが、ちょっと振り過ぎていて、映画としてのテンポが鈍いように思えたのは、やや残念かな。 "CODA" (22.1.30)聴覚障害者の両親をもつ子供を描いた映画を観てきた。邦題は「コーダ あいのうた」。これを見ると、 タイトルは音楽用語の”CODA”(楽曲のエンディング部分)だと思いそうだが、ここでは、”Children of Deaf Adult/s”の意味である。もちろん、音楽が重要な役割を果たす映画なので、ダブル・ミーニングも狙っているのかもしれない。 Emilia Jones嬢が演じる主人公は、両親と兄の4人家族の中で一人だけ耳が聞こえる女子高生。高校に通いながらも、家業である漁業も手伝う頑張り屋さんだ。そんな彼女が、一目惚れした男子学生と同じ合唱クラブに入ったことで、顧問の音楽教師に歌の才能を見いだされ、バークリー音楽大学の受験を勧められる。しかし、聴覚に障害のある彼女の家族には、その才能が分からない…。というお話。 障害がある人を扱う映画は、色々と製作者も気を遣うと思うが、主人公の家族を、実際に聴覚に障害を抱える俳優が演じていることもあり、かなりフェアな描き方になっているのだと思う。主人公の父親が、娘の歌の才能に気づくシーンの巧みな演出は、あざといと思いながらも落涙必至。しかも、その場面で覚えるちょっとした残念感が、その後のシーンで見事に回収されるところが憎い。 当然、様々な音楽が使われているが、その選曲も良い感じだ。映画の中で特に重要な役割を果たすのが、Marvin Gaye & Tammi Terrell の ”You're All I Need To Get By”(この曲は、矢野顕子の愛聴曲として知ったのだ)、そして、魂の名曲、Joni Mitchellの ”Both Sides, Now”(邦題「青春の光と影」)。Emilia Jones嬢の歌唱も素晴らしい。また、高校の合唱部の発表会でDavid Bowieの "Starman"を歌うところも良かった。中々良いアレンジなのだ。 ということで、とても気持ちの良い青春映画だった。主人公が本当に良い子で、観る人が全員、彼女の事を好きになってしまうと思う。そして、この映画のミソは、ストーリーを通じて、主人公よりもむしろ、その家族が成長するという点だと思う。 ヴィデオ会議には慣れたものの、旧い人間なので、業務全体が自宅からのテレワークというのは、煮詰まりがちで、あまり好きにはなれません。しかし、最近入社した、最初からテレワークがデフォルトになっている人達は、まるっきり考え方が違うのだろうし、それを理解して接しないと、いよいよ旧い人間化が進むのでしょう。気をつけねば。 |