IN/OUT (2022.1.23)

またもや、まん延防止等重点措置が発令。職場周りにも濃厚接触者となって隔離されている人も出てきて、落ち着かない今日この頃です。とは言え、美術館や映画館、ちょっとした外食(個食)に出かけたりしている訳ですが…


in最近のIN

「松江泰治 マキエタCC」@東京都写真美術館22.1.22

東京都写真美術館世界各地の都市や地形を撮影し続ける写真家 松江泰治の作品展を観に、東京都写真美術館に行ってきた。

展覧会のタイトルは、彼のの二つの作品シリーズ名をつなげたもの。「CC」は、彼が以前から手掛けているシリーズで、都市の略号"City Code"を意味する。文字通り、様々な都市を撮影した写真だが、画面に地平線や空を含めないこと、そして、被写体に影が生じないよう順光で撮影することをルールとしている。そして、画面の隅々までピントが合ったパン・フォーカスで撮影されている。この「CC」に付随する作品群として、今回の美術展のために製作されたシリーズが「マキエタ」。ポーランド語で模型を意味する"makieta"から取られたシリーズ名だ。手法は「CC」と同じだが、被写体が都市模型。精巧に作られた都市模型を世界中で探して撮影している。本物の都市を撮影した作品群と、模型の都市を同様の手法で撮影した作品群が混在するという趣向。

東京都写真美術館画面の隅々までフォーカスが合った極めて解像度の高い都市の写真は、目を凝らして見れば見るほど発見があって面白い。人の姿はほとんど写っていないが、むしろ、そのことで、そこで暮らす人達の生活を想像してしまう。ぱっと見では、空撮撮影した都市なのか、本物そっくりの模型なのか分からず、混乱してしまう面白さも良い。たまに、クオリティが低く分かりやすい模型が混じるのもご愛敬。

アイディアも、それを支える画像処理技術も素晴らしく、小規模な展示ではあるが、見応えのある展覧会だった。それにしても、このような作品群を観ると、旅に行きたくなるな。


"John Carpenter Retrospective - The Fog"22.1.23

”John Carpenter Retrospective”の3作品目、"The Fog(1980年)”の4Kレストア版を観てきた。

Carpenterのキャリアの初期、大ヒットした”Halloween”の次に彼が撮った劇映画が”The Fog”だ。ブギーマンという不死身の殺人鬼を描き、スプラッター映画というジャンルの確立に多大な貢献をした、当時としては斬新かつ画期的だった前作から一転、今作は、濃霧に覆われた小さな港町に、100年前に殺され財宝を奪われた船の乗員達が怨霊となって、復讐を果たしに現れるという、クラシックな雰囲気のホラー映画だ。

ストーリーはシンプル。上映時間も89分とコンパクト。怨霊の特撮も、見るからに低予算。しかし、怨霊が現れる前に、街に様々な異変が起きるなど、ハッタリはたっぷり。実際の所、超常現象的なもの(街中の公衆電話が一斉に鳴り始めたり、ガソリンスタンドでガソリンが漏れ始めたり)に、合理的な意味は無く、雰囲気を盛り上げて怖がらせればOKという割り切りが、いっそ清々しい。

出演者も、”Halloween”のJamie Lee Curtisに、”Escape from New York”のAdrienne Barbeau、さらに”Psychoの”Janet Leighと、Carpenter映画らしい俳優陣が顔を揃える。正直、Jamie Lee Curtisは、出演場面は多い割にほとんど活躍していないのだが、彼女が画面に映るだけでホラー映画っぽくなるので、無問題。

そして、今作でも印象的なのは、最低限の音数で不安感を煽るCarpenter御大による音楽だ。この回顧上映企画、三本とも観ることが出来たが、やはり、Carpenter映画は癖になることを再認識。なぜこの時期に? という疑問もあるが、楽しい企画だった。



まるっきり、家に閉じこもらなくても良いだろうと思う一方で、人の集まるところで大声で喋っているグループに遭遇すると、勘弁してよという気になりますね…