IN/OUT (2019.12.22)

仕事上などで、特に一年の区切りが有る訳じゃないのですが、飲み会=忘年会の回数が増えることで、年末を実感する時期になりました。


in最近のIN

"Star Wars: Episode IX - The Rise of Skywalker"19.12.20

Star Wars Sagaの最終作を観てきた(強欲Disneyは、新たなシリーズを立ち上げることを企画しているようだが…

Star Warsは、三部作×3の全9作+スピンオフで構成される大河ドラマだが、直近の三部作は、既に、Lucas卿の手を離れている(Lucas卿自身は、当初は全9作のシリーズを構想していたが、結局、6作までで完結と判断したそうだ)。さらに言えば、結局は「昔々、あるところに…」で始まる、親子喧嘩の話しだ。あまり、大袈裟に捉えすぎるのもどうか、という気もするが、やはり、1977年の第一作(Episode IV A New Hope)にリアルタイムで興奮した世代としては、大いに期待して映画館に急ぐことになる。

ストーリーは、意外なほどスピーディーに展開していく。この三部作の主要メンバーによるロードムービー的なパートは、単純に楽しい。しかし、とりあえず盛り上げるためだけと思われる無理矢理な場面が多く、かなり大雑把で、粗が目立つ。これまで積み上げてきたキャラクターや設定を、軽く扱っている感じもある。

と、不満は多々有るが、ラストシーンには、なるほどな感心する。この大河ドラマを、一周回って見事に着地させた事自体は、良くやったと思う。大団円らしく、あの人やこの人が登場するが、中でも、Mark Hamillの存在感は流石だ。さらに、過去の出演者達の声(Alec Guinnes、Ewan McGregor、Hayden Christensen、Samuel L. Jackson、そして、Frank Ozも!)も流れて、お祭り感が楽しい。エンディング・クレジットに発見が一杯である。

個人的に、最もグッと来たのは、"Episode IV A New Hope"のラストで酷い扱いを受けた Chewbaccaが、ついに報われるシーンがあったことだ。(ここまで、何年かかったんだ、という気もするが)まさに感涙! もう、 このシーンを観ることが出来ただけで、Star Wars Sagaの完結に立ち会ったという気がするのである。


"Saltish Night vol.23" @ 中野サンプラザ19.12.22

塩谷哲がプロデュースするライヴを観に、中野サンプラザに行ってきた。出演者は、塩谷哲の他に、佐藤竹善、TOKU、宮沢和史、そして、矢野顕子。

塩谷哲は、元オルケスタ・デ・ラ・ルスのピアニスト。ソロ活動の他、Sing Like Talkingの佐藤竹善とのユニット「SALT & SUGAR」や、三味線奏者 上妻宏光とのユニット「AGA-SHIO」などでも活躍している。彼が主催するこのイベント、vol.23と銘打たれているので、長期にわたって開催されているのだと思うが、私は初参戦。今回のゲスト、矢野顕子目当てである。

舞台の上には、クリスマス・ツリー。そして、ピアノが2台、向かい合わせに置かれている。まず、登場した塩谷哲。向かって左側のピアノに座り、ソロで1曲(彼自身の作品、"Beauty and Brilliance")。ここから、塩谷哲は出ずっぱりで、彼のピアノをバックに、ゲストが入れ替わり登場するという趣向。まずは、佐藤竹善。二人で、SALT & SUGARである。MCの掛け合いの息もピッタリだ。佐藤竹善の作品"the continental"と、Queenの"In only seven days"。やはり、佐藤竹善の歌唱力は素晴らしい。塩谷哲のピアノと相まって、まさに、都会派ポップスの趣だ。

そこに、フリューゲルホルンとヴォーカルのTOKUが参加。三人で、佐藤竹善の作品をやった後、佐藤竹善は退場。TOKUと二人で、TOKUの作品、そして、Édith Piafの”La Vie En Rose”を演奏。TOKUは初めて観るミュージシャンだと思うが、独特の味わいを持った人だ。

TOKUに入れ替わって、宮沢和史登場。Antônio Carlos Jobimの曲、そして、宮沢和史の「遠い町で」。矢野顕子ファンとしては、2000年の「Beautiful Songs」を思い出すなと思っていたら、ここで塩谷哲が、向かって右のピアノに移動。ということで、矢野顕子が登場し、向かって左のピアノへ。三人での演奏曲は矢野 & 宮沢コンビの作品「二人のハーモニー」。改めて、良い曲だなぁと思う。

この辺りから、塩谷哲の矢野さん愛が溢れ出す。本当に、昔からファンだったようだ。若い頃から矢野顕子と共演してきた宮沢和史に対する嫉妬心を見せる姿に、矢野さんは「男は馬鹿だね」の一言。

宮沢和史が退場し、二人で「David」。二台のピアノをバックにした演奏が新鮮だ。そして、1曲だけ、塩谷哲も退場し、矢野顕子のソロ「ラーメンたべたい」。歌い出しで、会場から笑い声が洩れる事に(普段、矢野顕子の音楽に接していない人が多いのだから仕方ないが)、ちょっとアウェイ感を覚えてしまう。そのような客層を前に、歌詞がしっかり届くような歌唱でのラーメン。

続いて、塩谷哲が音楽を担当するNHK Eテレの番組「コレナンデ商会」から、「あしたへのしりとり」と「旅するビンのうた」。今年のブルーノート東京の楽屋で、塩谷哲がコレナンデ商会のCDを渡したところ、矢野顕子がすっかり気に入ったということで選曲。子供向けの歌だが、塩谷哲が丁寧に作っている作品で、矢野顕子の弾き語りとの相性が抜群だ。憧れの矢野さんと一緒に自分の作品を演奏することができて、塩谷哲、本当に嬉しそうだ。

ここで、佐藤竹善(青森県出身)が舞台に戻り、青森繋がりということで「この素晴らしき世界(津軽弁バージョン)」(佐藤竹善もゲスト参加している伊藤君子のアルバム「津軽弁ジャズ〜ジャズだべ!ジャズださ!」収録曲)。”What a Wonderful World”である。それほどリハーサルの時間が取れたとは思えないのに、三人の見事なアンサンブルに驚く。

矢野顕子が退場。SALT & SUGARの二人になっても、矢野顕子に関する話題が尽きない。塩谷哲曰く、「特にハーモニーについては矢野さんの影響が強い。自分のハーモニーの86%は矢野さんから来ている」。そして演奏されたSALT & SUGARの作品「ココロスタート」が、確かに、とても矢野顕子チックな曲だ。

宮沢和史を加えた「風になりたい」を挟んで、終盤は、ほぼ、SALT & SUGARのステージ。ラストは季節柄「もみの木」(こういう行事を祝わない矢野さんは、ソロ演奏の前に「この会場で、恐らく、唯一、クリスマスに興味が無い」と、バッサリ言い切っていたが…)。

アンコールは、全員が登場。Saltish Nightのアンコールでは恒例らしい、塩谷哲の作品「星の夜」を皆で歌う。矢野顕子は、今度は向かって右のピアノ。実力派ミュージシャンが集結したライヴのアンコールらしい素晴らしい歌声だ。そして、最後は塩谷哲が一人残り、ピアノソロ。これで全編終了。

思っていた以上に矢野顕子の存在感が大きく、演奏曲に大満足するだけでなく、塩谷哲の矢野顕子愛にこちらも嬉しくなり、矢野ファンとして、大いに楽しめたイベントだった。



別れ際に「良いお年を、」という言葉を交わす機会が増える時期ですが、特に、たまにしか会わない人とだと、「来年も会えると良いですね」という思いが込められていて、良い挨拶だなとしみじみ思う、今日この頃です。