IN/OUT (2019.7.14)

先日、故障してしまったオーブンレンジを新調。ビルトイン式だったので、ついでにガステーブルも交換。ガステーブルは、一番、ベーシックな物を選んだつもりでしたが、14年前の物とは機能や安全面の配慮が大幅に進化していることに驚きました。温度を一定に保つ機能や、お湯が沸騰したら、しばらく保温した後、自動消火する機能など。単純な機器だと思っていたけど、メーカーのたゆまぬ努力には頭が下がります。


in最近のIN

PUNCH BROTHERS @ ブルーノート東京19.7.10

米国のプログレッシブ・ブルーグラス・バンド、Punch Brothersの公演を観に、ブルーノート東京に行ってきた。

ステージの様子が、いつものブルーノート東京とは一味違う。中央にマイクが一本、立っているだけ。超シンプルな舞台である。登場したメンバーは、Chris Thile (mandolin, vo)、Gabe Witcher (fiddle)、Noam Pikelny (banjo)、Chris Eldridge (g)、Paul Kowert (b)の5人。編成としては、オーソドックスなブルーグラス・バンドだ。彼らが、マイクの周囲に立って、演奏が始まる。フィドルの弓が隣の人に当たりそうなぐらいの密集ぶりだ。つまり、一本のマイクで、全ての楽器とヴォーカルの音を拾うのである。

ブルーグラスというと、軽快なリズムに乗ったご陽気で素朴なアメリカのルーツ・ミュージックという印象だが、そこは「プログレッシブ」。内省的な雰囲気の曲やオルタナティヴ・ロックのような曲、はたまた現代音楽風の演奏もあったりして、ブルーグラスの概念が打ち崩されるサウンドだ。5人の演奏テクニックも素晴らしく、ブルーグラスらしい速弾きの応酬も楽しめるし、一本のマイクに対し、立ち位置を変えることでサウンドをコントロールする技量も、何気に凄い。

アンコールでは、これぞブルーグラス!という感じのオーソドックスな、明るく楽しいナンバー。あまり、予備知識なしに観に行ったのだが、非常に刺激的なライヴだった。


「渡辺香津美 meets 村治佳織 vol.3」 @ 東京文化会館 小ホール19.7.12

ジャズ・ギタリストの渡辺香津美と、クラシック・ギタリストの村治佳織の共演を観に、東京文化会館に行ってきた。一昨年の「渡辺香津美 meets 村治佳織」、昨年の「渡辺香津美 meets 村治佳織 vol.2」に続いて、三年連続の開催。私も三年連続の観戦である。

会場も、三年間同じ、東京文化会館小ホール。独特の形状と、豊かな響きで、私もすっかりお気に入りのコンサートホールになった。登場したお二人も、シリーズ三回目ということで、お馴染み感が増した師弟コンビという風情。バッハからジャズまで幅広いタイプの曲を、しっかりと旋律を奏でる村治佳織に、渡辺香津美が縦横無尽のアドリブを加えるというスタイルを基本に演奏するのだが、それだけでなく、この共演を通じて即興演奏の腕をめきめき上げている村治佳織も、渡辺香津美譲りのフレーズを、負けずに畳み込んでくる。

第一部の最後は渡辺香津美がソロで2曲、The Beatlesの"Come Together"と、ご自身の「ジャミング・イベリコ」。ソロ演奏という事で、自身の持ち味を全開にした演奏がカッコ良い。特に、12弦ギターを使った「ジャミング・イベリコ」の演奏の迫力は凄かった。

休憩を挟んだ第二部の冒頭は、村治佳織のソロ。「ハウルの動く城」、"As Time Goes BY"、そして、クラシックギターのド定番「アルハンブラの思い出」。これまた、驚異的なトレモロ奏法に圧倒される。

それぞれのソロで、お二人のテクニックと個性を再認識したところで、再び、共演が始まる。"When You Wish upon a Star"、"Stella by Starlight"、"Waltz for Debby"等々。本当に素敵なコンビネーションだし、演奏しているお二人が実に楽しそうだ。アンコールの"Moon River"と「川の流れのように」まで、たっぷりと堪能した。来年も、是非、実現して欲しいシリーズだ。


"The Old Man & the Gun"19.7.14

Robert Redfordの引退作を観てきた。原題はシンプル過ぎるという気もするが、邦題「さらば愛しきアウトロー」は、口に出すには気恥ずかし過ぎると思う…

御年 82歳のRobert Redfordが演じるのは、実在の犯罪者 Forrest Tucker。13歳から窃盗や強盗を繰り返し、16回服役するも、その都度、脱獄するという、根っからの悪党だ。しかし、拳銃を発砲したことは一度も無く、誰も傷つけない。そのため、強盗に遭った人も「彼は紳士に見えた」「彼は幸せそうだった」と語り、悪く言わないのだ。恐らく、実際のForrest Tuckerには、もっとダークな面があったと思うが、この映画では、Rober Redfordが、飄々と、魅力的に演じている。強盗をするのは、"make living"のためではなく、"living"のためだと語るところが印象的だ。

彼を追う刑事役の Casey Affleck、彼と心を通わせる Sissy Spacekの演技も印象的。あくまでも、軽妙なリズムをキープするDavid Lowery監督の演出も効果的だと思う。引退作だからと言って、肩に力の入った映画にせず、このような作品を選んだところが、プロデューサーも務めるRobert Redfordの見識だ。

老人の犯罪者と言えば、Clint Eastwoodの"The Mule(運び屋"が記憶に新しいが、どちらも、老境に達したが故の軽みと達観ぶりが共通した魅力だ。演じた二人は、監督やプロデューサーとしても高い実力を持っているのも共通項だが、個性派アクション俳優のEastwoodと、王道二枚目スターのRedford、それぞれの持ち味の違いが、この二作に良く現れていると思う。



これでレンジが復活と喜んだのも束の間、今度は、ディスポーザーが故障…。やれやれ。