IN/OUT (2017.7.9) |
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昔に比べると、天気予報の精度は飛躍的に向上していると思うのですが、出来るのは予報だけ。気象をコントロールすることが出来る日は来るのかなと愚考する、今日この頃です。 最近のIN「渡辺香津美 meets 村治佳織」@ 東京文化会館 小ホール (17.7.7)ジャズ・ギタリストの渡辺香津美と、クラシック・ギタリストの村治佳織の共演を観に、東京文化会館に行ってきた。 二人の共演は、昨年の「渡辺香津美 ギター生活45周年祭」でも観たのだが、ジャンルも年代も違うお二人の間に漂う師弟コンビ感が楽しいのである(実際、村治佳織が若い頃から、親交があったそうだ)。本日の公演は、二人だけで、アコースティック・サウンドを奏でるというもの。 東京文化会館の小ホールに入ったのは初めてだったが、キャパ 649席。ほぼ正方形のホールの、角にあたる部分に舞台があるという変則的な形。舞台の後ろには、屏風を縦にしたような反響板がある。その独特の雰囲気の良さに驚いたのだが、コンサートの冒頭、会場の拍手の音を聞いて、さらに驚愕。実に豊かに響くホールなのだ。クラシック・ギターの世界では、かなりステイタスのあるホールらしいのだが、実際、コンサートの中で、村治佳織がPA無しの生音でクラシック・ギターのソロを奏でたときの響きは、本当に美しかった。 演奏曲目は、お二人のオリジナル曲は勿論、J. S. Bachのクラシック曲、Carlo Domeniconiによるクラシック・ギターの定番曲「コユンババ」、Bill Evansの"Waltz for Debby"、七夕に掛けた"When You Wish upon a Star"、"Stella by Starlight"、アンコールでの美空ひばりの「川の流れのように」まで、幅広い。 渡辺香津美の超絶技巧はこれまで何度もライヴで観ているが、私にとっては観る機会の少ない村治佳織の演奏は、ロックやジャズのギターとは全く違う、繊細かつ流麗な指使いが、とても美しい(クラシック・ギターだからと言うだけで無く、彼女が弾いているからという要素も大だが…)。特に、トレモロ奏法を奏でている姿が印象的だ。彼女が高校生の頃、天才クラシック・ギタリストとして脚光を浴びた頃から知っていると、どうしても少女のイメージが抜けないのだが、今や、押しも押されぬ第一人者の貫禄もある。 そして、個人的にこの公演のクライマックスは、終盤に披露された"WATER WAYS FLOW BACKWARD AGAIN"。矢野顕子の作品である。矢野が参加した、渡辺香津美率いるバンド、KYLYNのレパートリーでもあるので、改めて考えればここで演奏されても不思議では無いのだが、予想外の事で嬉しい。村治佳織の指先からあの特徴的なメロディーが流れ出し、二人の即興演奏が重なる。演奏のレベルも極めて高く、それを生で観られるとは。実に贅沢なライヴ体験だった。 "John Wick: Chapter 2" (17.7.8)Keanu Reeves主演のアクション映画を観てきた。 前作 "John Wick"は、Keanu Reevesがアクション映画の世界で復活を遂げた作品として評価が高かったが、Chad Stahelski監督が続投しての続編は、前作の雰囲気を活かしながら、さらにパワーアップしている。このシリーズでは、殺し屋役のKeanu Reevesが、とにかく殺しまくるのだが(前作では、公式には84人を殺した事になっている)、前作のヒットを受けて製作費が倍増したこともあってか、殺す人数も倍増。銃で、ナイフで、素手で、時には鉛筆を凶器に、流れるような所作で殺しに殺す。リアリティや細かいところの整合性は無視した作劇だが、前作で作り込まれた殺し屋社会のルールを活かしきり、あとはKeanuのアクションで突っ走る。その割り切った演出に好感が持てる。"Matix"以来となる、Laurence FishburneとKeanu Reevesの共演も楽しい。 ということで、この手のジャンルが好きな人には、絶対に憎めないような、快作だと思う。ただ、既に第三作の製作も決定しているようだが、ここまで風呂敷を拡げて、大丈夫か?という気もする。"Matrix"のように、シリーズ後半で失速することの無いよう、祈るばかりだ。 最近のOUT"Life" (17.7.8)宇宙を舞台にしたスリラー映画を観てきた。 密閉された宇宙船の中で、人類が初めて遭遇する異星の生物に襲われる恐怖を描く、と言えば、誰もが"Alien"を思い出すだろう。恐らく、製作陣も、それは意識しているようで、タイトルの字体も、"Alien"に似通っている。では、この作品のオリジナリティーがどこにあるかと言えば、元祖"Alien"が、サスペンス要素に重きを置き、科学的設定は結構いい加減だったのに対し、リアルな科学性に拘ったところだ。 舞台は、国際宇宙ステーション。そこに、火星で採取された生物サンプルが届く。この宇宙ステーションのセットが、相当、リアル。火星の砂の中で休眠していた微生物は、温度を上げることで活動を開始し、やがて人を襲うようになるのだが、その生物の造形もリアリティを感じる物になっていると思う。宇宙ステーションで活動する人の中には、検疫担当の人もいて、その生物に危険性があった場合、隔離処理を行うことになっているという設定も、納得感がある。 ということで、巧く作れば、科学と恐怖が融合した見応えのある作品になりそうなのだが、いかんせん、テンポが悪い。優秀な人が選抜されているはずの宇宙飛行士も、どうも間抜けな行動に走りがちで、イライラする。主演格の一人とも言える真田広之は、ハリウッド俳優の中に混じっても、全く違和感なく溶け込んでいて流石だと思うのだが…。残念。 最悪なのは、結末だ。製作陣は、皮肉の効いたオチだと考えているのかもしれないが、陳腐なアイディアだし、思いついたとしても、そのまま採用しては頭の悪さを披露するのと同じだと思う。題材が悪くないだけに、勿体無い。 この辺りは、大した雨も降らないまま、真夏の暑さに突入。もう少し、万遍なく、穏やかに降ってくれないものかと思います。 |