IN/OUT (2017.9.24)

本来なら、今日は横浜赤レンガ倉庫で、Blue Note JAZZ FESTIVALに参戦しているはずだったのですが、残念ながら、イベント自体ががキャンセルになってしまいました。理由は、Donald Fagen氏の急病により、メイン・アクトのDonald Fagen & The Nightflyersが来日できなくなったこと。氏の急病には、つい先日(9月3日)、盟友 Walter Beckerが亡くなったことも影響しているのかも、と思うと、致し方ない。快復をお祈りするばかりです。


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「いぬねこなかまフェス 2017 ~動物愛護週間に集まろう~」17.9.18

動物の救護を目的に設立された動物愛護団体 ランコントレ・ミグノンが、動物愛護週間に主催するイベントに行ってきた。昨年も観覧したイベントだが、この一年間で、私自身の動物愛護活動に対する理解や共感が深まった訳ではない。例によって、お目当ては、出演者の一人、矢野顕子である。

会場は、昭和女子大学人見記念講堂。開演前のアナウンスが、微妙に関西弁の男性だと思っていたら、出演者の一人、町田康氏だった。

まずは、動物行動学の水越美奈氏の講演「不妊手術ってしたほうがいいの?」、続いてミグノン主催者の友森玲子氏と作家の渡辺眞子氏による対談。殺処分の実態など、なかなかヘヴィーな内容である。今年のフェスは、重い話題も正面から取り上げるという方針らしい。

20分の休憩後、富樫春生氏のピアノ、スティーヴ・エトウ氏のパーカッション、友森昭一氏のギターが伴奏を務める中、Steven Tyler 椿鬼奴さんがAerosmithと、自作の曲を熱唱。これ、昨年と、全く同じ選曲である。続いて、ジャズ・シンガーのAkikoさんと坂本美雨さん。美雨さんの歌声が、最近、さらに透明感を増してきているように思う。そして、小泉今日子さん登場。愛猫との想い出を語ってから「あなたに会えてよかった」。やはり、良い曲だ。そして、さすがのKYON2の有り難み。なお、今日の会場は、必ずしも、普段、音楽イベントに参加している客層とは被らないためか、時折起こる手拍子が、どうも調子外れなのはご愛敬である。

ここで、町田康氏、渡辺眞子氏、友森玲子氏、弁護士の浅野明子氏のトーク。テーマは「多頭飼育崩壊」。これまた重い話しなのだが、バランス感覚を発揮してトークの方向性をまとめようと奮戦する町田康氏の努力が、友森氏とかに、いまいち伝わっていないような様子に苦笑してしまう。

トーク終了後は、清水ミチコさんが、新ネタも交えたステージ。そして、矢野さんが「SUPER FOLK SONG」と、その続編「SUPER FOLK SONG RETURNED」を弾き語り。最後に、鈴木杏さんが絵本「どうして」の朗読で客席の涙を誘った後、出演者が勢揃いし、町田康氏がリードを取って「名前の歌」で、全て終了。

動物愛護活動に積極的に参加する気が無いのに、何故か、出演者が皆、私のツボにはまる人選。ということで、今年も、しっかりと(本題よりも)「芸能の部」を堪能させていただいた。


"Swiss Army Man"17.9.23

ハリー・ポッターでお馴染み、Daniel Radcliffe主演の映画を観てきた。

もう一人の主人公、Paul Dano演じる青年が、事故で漂着した無人島で、絶望の末、自殺しようとするところから物語は始まる。彼が、いよいよ首を吊ろうとしたその時、海岸に一人の男が流れ着いているのを目にする。それが、Daniel Radcliffe。しかし、彼は既に死亡していた…

ということで、Daniel Radcliffeは、まさかの死体役である。しかも、この死体。腐敗ガスが体内に溜まっていたのか、おならのようにガスを発する。そこで、Paul Danoは、死体にまたがり、無人島からの脱出を試みるのだ。死体は、ガスを推進力にしたジェットボートの如く海を渡る…

なんとも、奇想の物語である。しかも、この後も、Daniel Radcliffe演じる死体は、ジェット推進以外にも、様々な、予想外の使い途を示すのだ。まさに、スイス・アーミーナイフのような、万能ぶり… 。一体、製作者(監督は、Daniel KwanとDaniel Scheinertの二人の Daniel。Danielsと称している)の頭の中はどうなっているのかと、思ってしまう。

このまま、一風変わったサバイバル劇が展開するかと思いきや、物語は観客の予想もしない方向に、さらに暴走していく。Paul Dano演じる青年が抱えるトラウマとコンプレックスが、物語の主題に浮かび上がってくるのだ。

深読みをしようと思えば、色々と考えられそうな映画なのだが、あまり意味づけするのも無粋な気がする。奇想を受け容れ、死体役を熱演したDaniel Radcliffeに感心すれば、良いだけだとは思う。ただ、かなり観る人を選ぶ映画だろう。



とは言いつつ、JAZZ FESTIVALの出演者の中で、私の一番のお目当ては、The Nightflyersではなく、上原ひろみ x Edmar Castanedaだったので、やはり、ガッカリ感は拭えない今日この頃です。ひろみ嬢のピアノとジャズ・ハープとの共演というのは、是非、観たかった…