IN/OUT (2017.8.27) |
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映画は、シネコンで観ることがほとんどになりました。複数の劇場が一箇所にまとまっている訳ですが、そこで問題になるのが、自分が観る上映館に、いつ、入場できるかが分かりづらいことです。一応、10分前というのが一般的ですが、入場口に、なにも表示が無いのが疑問です。現在、入場可能な作品を掲示する仕組みを用意するなんて、大した手間じゃないと思うのですが(理想は、空港での出発便表示のようなスタイル)、何故、どこのシネコンも対応しないのだろう? 最近のIN"MIKE STERN / BILL EVANS BAND featuring DARRYL JONES & SIMON PHILLIPS"@ 丸の内コットンクラブ (17.8.22)ギタリスト Mike Sternと、サックス奏者 Bill Evansの公演を観に、コットンクラブに行ってきた。 この二人の共演は、2014年にブルーノート東京で観ているが、その時とは、リズム隊が代わっている。今回のベース Darryl Jonesは、The Rolling Stonesのサポート・ベーシスト。ドラムスのSimon Phillipsは、元TOTO、そして、今は上原ひろみ・トリオ・ザ・プロジェクトの一員。2014年の、Chiris Minh DokyとDennis Chambersも凄かったが、今回は、さらに、とんでもないリズム隊だ。 今回の会場は、系列店のブルーノート東京と比べると雰囲気や料理はイマイチだが、場所が丸の内で駅から近く、会社帰りに出向くには便利な場所だ。私は、Simon目当てで、最前列かぶりつきの席をゲット。ただし、演奏が始まると、私の目の前がBill Evansの定位置で、彼に視界を遮られるという贅沢な誤算もあったが、Mike SternとBill Evansは、演奏中、かなり自由に動き回るので、お目当てのSimonのプレイも、しっかり観ることができた。 とにかく、ロックとフュージョン、両ジャンルで名を成したメンバーばかり。演奏の上手さは半端ない。特に、4人全員が一斉に攻めまくるような展開に突入すると、超スリリングだ。溢れんばかりの音の洪水の中、Simon Phillipsのキレッキレのドラムスが気持ちよい。そして、私の大好きな、Mike Sternの透明感溢れるギターの音色。Bill Evansは、サックスだけで無く、Rhodes Pianoを弾きながらR&B風のヴォーカルも決める器用さ。 終始、笑顔で演奏していたMike Sternは、アンコールではヴォーカルも披露。あれだけのテクニックを見せつけながら、皆、楽しそうな演奏で、こちらも、心の底から楽しませていただいた。 "Trevor Horn" @ ビルボードライブ東京 (17.8.23)Trevor Hornの公演を観に、ビルボードライブ東京に行ってきた。因みに、この場所では、先週、奥田民生がゲスト出演したThe Renaissanceを観たが、その時は女性客が目立っていたのとは一転、客層が一気におじさん化している… Trevor Hornの最新の話題と言えば、今、NHKで放映中のアニメ"THE REFLECTION"(原作と予告編のナレーションは、Stan Lee!)の音楽を担当し、さらに、アニメの中にも英国の大物プロデューサー:Trevor Hornが出演していることだろう。かなり、癖の強いアニメで、高視聴率を取るのは難しそうな気もするが、私は楽しみに観ているのである。 さて、本番。全員、揃いの黒のTシャツ(Trevor HornのTシャツには"THE TREVOR HORN BAND"、Ash SoanのTシャツには"THE ASH SOAN BAND"というように、それぞれ胸元に名前が書かれている)でステージに登場したのは、総勢9名。Lol CremeとドラムスのAsh Soan、さらに、ギター、キーボード、二人のコーラス・ガールなどで、人数は5年前の公演と同じ。前回との違いは、ギター兼キーボード兼ヴォーカル担当の男性の歌唱力が高いことだ。 時代を築いた名プロデューサーに、10ccのメンバーも加わっているので、名曲てんこ盛りのセットリストだ。Frankie Goes To Hollywoodの"Two Tribes"で始まり、The Bugglesの"Video Killed the Radio Star"と"Living in the Plastic Age"、t.A.T.u.の"All the Things She Said"、10ccの"Rubber Bullets"と"I'm Not in Love"、Godley & Cremeの"Cry"、Grace Jonesの"Slave to the Rhythm"、YESの"Owner of a Lonely Heart"などなど。本編ラストは、Frankie Goes to Hollywoodの"Relax"、アンコールはTears for Fearsの"Everybody Wants to Rule the World"。どのサウンドも、バブルの匂いも香ばしく、敢えて昔のまま。YESの"Owner of a Lonely Heart"などは、YESのライヴで聴くよりも、遙かにレコードに近いサウンドだ。それも、安易な打ち込みに頼るのでは無く、9人編成のバンドで、しっかり音を出しているのが嬉しい。意外にも(失礼)Trevor Hornのベースも上手いのだ。さらに、The Bugglesの曲でも、Trevor Hornはヴォコーダーを使わず地声で歌いきる。プロデューサーのイメージが強かったTrevor Hornだが、このプロジェクトでは、見事にミュージシャンだ。 さらに、個人的に楽しかったのは、後半に"THE REFLECTION"から2曲。"Sky Show"と、"Future Boyfriends"(9nineが歌うアニメのエンディング・テーマ "SunSunSunrise"の英語版)を披露してくれたこと。この二曲、全盛期のTrevor Hornの作品に劣らない良作なのだ。会場の雰囲気からすると、このアニメを観ている人は多くは無さそうだったが… 5年前のライヴと比べると、今回の男性ヴォーカリストの歌唱力が勝っていて、どの曲もオリジナルに負けない迫力だったのが嬉しい。ただ、私が行った前の日の公演では、サマーソニックのために来日中のRick Astleyがサプライズ出演し、"Owner of a Lonely Heart"を歌ったらしい。それが観られなかったのは残念だが、全曲名曲揃いで、演奏技量も十分、TrevorとLolのMCでの掛け合いも微笑ましく、素晴らしいライヴだった。前日の、Mike Stern達の超絶テクニックのライヴもエキサイティングだったが、全て骨身に染みついている名曲ばかりの今日のライヴもまた、別の方向性だが、大興奮だった。 "A Street Cat Named Bob" (17.8.26)英国の実話を元にした映画を観てきた。邦題は「ボブという名の猫 幸せのハイタッチ」。 主人公は、ヘロイン中毒のホームレス。一応、現在は、薬物中毒からの更生プログラムを受けながら、街頭でギターをかき鳴らし自作の唄を歌うことで、糊口を凌ぐ日々。もっとも、ストリート・ミュージシャンとしての稼ぎは極めて少なく、ゴミ箱の残飯を漁る、どん底の日々を送っている。そんな彼が、怪我をしていた野良猫と出会う。何故か彼に懐いたネコは、Bobと名付けられ、主人公と行動を共にするようになる。そこから、ネコを連れたストリート・ミュージシャンとして注目を浴びるようになり、主人公の人生は好転し始める。最終的には、主人公とBobの話は書籍化され、大ベストセラーとなるのだ(実話だから、オチをばらしても構わないだろう)。 このBobが、実に良く出来たネコだ。見た目が可愛い上に、人の言うことをちゃんと聞き分ける賢い茶トラ。そして、ネコと言うより忠犬と言った方が良いような、主人公への懐きぶり。こんなネコに懐かれたら、そりゃ、どん底の薬物中毒者でも、更生しようという気になるだろう。 まるで、お伽噺のような話しだが、これが実話。その証拠にと、映画のエンディング・クレジットでは、実際の写真が映される。そこに映っているネコは、映画の中のBobと瓜二つ。と思っていたら、"Bob"を演じていたのは、"Bob the Cat"。ご本人ならぬ、ご本猫なのだ(他にも、何匹かダブルは存在しているようだが)。この芸達者ぶり、ただ者では無い。そして、ただ者では無いネコに選ばれた主人公もまた、ただ者では無かったということだろう。 主人公と父親との関係など、ちょっとしたドラマティックな展開もあるが、ストーリー的にサプライズが有るわけでは無く、ほんわかと良い実話を噛みしめるという映画。Bobの可愛らしさを観ているだけで、和める訳だが、周囲の、主人公とBobを励ます人達の存在を丁寧に描写しているところにも好感。 "Wonder Woman" (17.8.26)DC Comicsが仕掛けるプロジェクト、DC Extended Universeの新作を観てきた。次回作に、いよいよ、Justice League(MarvelのAvengersに相当する、オールスター作品)が控える中、その主要キャラクターの一人、Wonder Womanの出自を描く作品だ。昨年の、"Batman v Superman: Dawn of Justice"が、全体的にピリッとしない中、唯一、燃えたシーンがWonder Womanの登場シーンだっただけに、今回の単独主演作、大いに期待していた。 映画の滑り出しは、期待に違わず好調だ。冒頭で、現在のJustice Leagueへのつながりを示唆するシーンも巧みだし、パラダイス島での子供時代のエピソードも楽しい。Diana = Wonder Womanが島を出て、ロンドンに到着したあたりまでは、快調だ。時代は第一次大戦中。まだ、女性の地位が低かった時代に、俗世を知らずに育ったDianaが、真っ直ぐな信念を貫こうとする姿には、社会派のメッセージすら感じる。 しかし、ここからの展開は、いささか退屈だ。水準以上の作品だとは思うが、驚きが無い。こちらの期待が高すぎたのもあるが、イマイチ、盛り上がりにかける。 何よりもガッカリしたのは、音楽の使い方だ。全体的にオーケストラ・ベースのBGMばかり。"Batman v Superman"でも印象的だった、Hans ZimmerとJunkie XLによる超絶カッコ良いテーマも、少しは使われているのだが、その使い方が、全然分かっていない。あのテーマを、一番燃えるポイントに持ってこないなんて、監督のPatty Jenkins、音楽面ではセンス・ゼロだ。この一点で、私のこの映画に対する評価は大減点。いや、激怒と言った方が良いぐらいだ(その代わり、エンディングに流れるSia feat. Labrinthによる"To Be Human"は、良い楽曲だと思うが…)。 ということで、事前の期待を大きく下回る、ガッカリ・ポイント多数の作品ではあったのだが、そういった不満を全て帳消しにしてしまう、いや、プラスに転じさせてしまうのが、主演のGal Gadot嬢の美貌だ。非の打ち所のない美人とは、彼女のことだ。もう、彼女のお姿を拝見しているだけで、眼福。彼女が出演する限り、DC Extended Universeを見続けると誓うのだ。 因みに、私は、ワンダーウーマンというと、星条旗をモチーフにした、いささか能天気な雰囲気のコスチューム(原作には、その由来も、ちゃんと描かれてはいるが…)の印象が強いのだが、それをカッコ良く改変したのは、製作陣の好判断だろう。いくら、Gal Gadot嬢でも、パンツに星が付いたコスチュームだと、間抜け感が漂ってしまったと思う… あと、ほとんどのシネコンが、シネコンの出入り口とロビー、そして劇場への入退場口の動線が、ちゃんと設計されているとは思えず、無駄な混雑・混乱が生じる点も、困ったところですね(特に酷いのが、新宿ピカデリーだと思っている…) |