IN/OUT (2014.8.24) |
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日が暮れるのも早くなってきて、一旦涼しくなりかけたと思っていたところに、日中の暑さ復活。あと一ヶ月ぐらいは、本当に過ごしやすくはならないですかね。 最近のIN"Barfi!" (14.8.23)今週もインド映画。2012年製作のヒンディ語映画。邦題は「バルフィ!人生に唄えば」 Barfiは、Ranbir Kapoor扮する主人公の名前。彼は、生まれついての聾唖者。家は貧しく、教育も受けているとは思えないが、その明るい人柄で町の人気者、という設定。彼を中心に、Ileana扮する美女と、Priyanka Chopra扮する自閉症の女の子が繰り広げる人生模様。 正直、映画の冒頭30分ぐらいは、観るのが苦痛だった。インド映画によくある時系列を錯綜させた語り口と、エキセントリックな主人公の言動についていけない。しかも、主要人物の一人は聾唖者、一人は強度の自閉症ということで、台詞は少なく、非常に特殊な映画になっているのだ。 しかし、映画の終盤には、涙腺決壊。ええ話や!となってしまった。実のところ、Ranbir Kapoorには最後まで感情移入しづらかったのだが、女性陣の演技が素晴らしい。特に、「DON」や「Ra.One」にも出演していた、元ミス・ワールドの超美人 Priyanka Chopraが、一瞬、彼女とは分からないような自閉症の女の子役で、大熱演。 もう一つ、グッときたのが、ラスト近くの叙述トリック的なシーンだ。敢えて、時系列を複雑にして、様々な人の回想シーンから主人公の人となりを浮き彫りにしていく演出が、このシーンで、一気に別の意味合いを持ち、足下が崩れるような感覚と感動を味わってしまった。厳密には違うのだが、ニュアンスとしてはTim Burtonの"Big Fish"に近い感覚。 残念ながら、歌とダンスには、あまり見るべき所が無い。しかし、主人公が聾唖者ということを活かしたのか、昔のサイレント映画のコメディ・シーンのような演出の箇所が多く、良いアイディアだと思う。 主要人物の中で、障害を抱えず、常識的な道を選んで生きてきたはずのIleana嬢が、実は、一番、辛い思いをするというところも、能天気ハッピーエンドが多いインド映画の中では異色。こういう変化球の号泣作を繰り出してくるところ、インド映画の奥深さは底知れないな。 夏フェス後遺症で、体力的にキツい一週間でした。もう、若くない。暑さも応える… |