IN/OUT (2013.9.8)

東京でオリンピック。たぶん、喜ばしいことなんだろうけど、これから始まる工事やら規制やら浮かれ気分の世の中やら、なんか面倒くさいなぁという思いの方が先に立ってしまう今日この頃です。


in最近のIN

"Side Effects"13.9.7

Steven Soderbergh監督の新作を観てきた。ちなみにSoderberghは、劇場用映画の製作から退き、今後は、活躍の場をTVに移すことを表明している。実際、この映画の次に撮った新作はTV公開(国によっては、劇場公開もされたようだが)。最新作にして、最終作ということで、あまり好みの監督では無いのだが、鑑賞してみることにした。

精神科医のセラピーを受けること、向精神薬を摂取することが、マイナス・イメージではなく、むしろ、セレブの証といった現代アメリカの風潮をベースにした、ミステリ作品だ。薬物の影響下、事件を起こす女がRooney Mara。"The Girl with the Dragon Tattoo"での存在感が印象的な女優だが、この作品でも、謎めいた女性を好演。そして、主治医として事件の責任を問われ、窮地に立たされるのがJude Law。彼もまた、熱演。

筋立ても凝っている。思いもかけないトラブルに巻き込まれるJude Lawと共に、観客も先に読めない展開に振り回されっぱなしだ。前半は、ゆったりとした進行で、薬害告発の作品かと思わせるが、中盤以降、話は意外な方向に突き進んでいく。それでいて、語り口は冷徹。どの画面も計算され尽くされた構図とカット割りだと感じる。地味な作品だが、商業映画で大ヒットを飛ばす一方で、社会派作品やアート系の作品も撮る才人 Soderberghの個性が凝縮されたような映画だ。

ギリギリまで着地点の想像が付かない物語は、ちゃんと、ハッピー・エンディングに落ち着いて一安心。見終わっての後味は良い。ただ、個人的には、"Contagion"を観たときに感じたのと同じく、この作品でも、その隙のなさ、巧みさを見せつけるような演出に、ちょっと苦手意識を持ってしまう。



どうもネガティヴ思考はよろしくないな。もう一回"Pacific Rim"でも観に行って、気合いを入れ直すか。