IN/OUT (2011.11.13)

最高気温が20度弱。一番、気持ちの良い季節になりました。

以前、赤道直下であるが故に四季の概念を理解出来ないシンガポール人から「夏と冬はなんとなく分かる。で、春と秋はどっちが寒いんだ」という質問を受けたことを思い出したりする、今日この頃です。


in最近のIN

"Contagion"11.11.12

Steven Soderbergh監督の新作を観てきた。

新種のウィルス感染が世界中に蔓延する様子を、徹底的にリアルに描いた作品だ。大体、この種の映画だと、「致死率100%!」とかの派手な設定と、サスペンスたっぷりの展開。そして、ワクチン開発の目処がついた瞬間にハッピーハンドという能天気な終わり方というのが定番だったりするが、この映画では、致死率20〜30%という現実的な設定で、ワクチンが開発されても、それを量産し世界中の人にどうやって投与していくのかというリアルな難題もきっちり描いている。SARSや豚インフルエンザから浮かび上がった課題をちゃんと捉えた、良心的な作品とも言えるだろう。

さらに、世界に蔓延するのはウィルスだけではない。インターネットを通じて拡散する「情報」の怖さも描いているところが現代的だ。国家など権力サイドが流す情報は都合良く操作されたもので、ブロガーなど一般市民が発信する草の根情報こそ真実であると単純馬鹿に考えることの危うさを、嫌みな役に徹したJude Lawが伝える。

ただ、リアルに徹したが故、物語的な部分に感情移入しづらいのが難点か。 Gwyneth Paltrow、Matt Damon、Laurence Fishburne、Kate Winslet、Marion Cotillardと、超豪華な出演者が次々と登場するが、別にこれほどビッグネームを揃えなくても良いのでは?と思えてしまうほど、ドラマ的な盛り上がりが無いのだ。Soderbergh監督は業界内の評価が高く、彼の作品ならとにかく出演したいという俳優が沢山いるという噂を聞くが、このメンバーを見る限り、その噂は真実味があるようだ。

硬派な社会派映画から娯楽大作まで幅広く手がけ、俳優陣から絶大な信頼を寄せられる演出力の持ち主であるSoderbergh監督だが、私は今まで何となく食わず嫌いだった。今回、初めて彼の作品を観たのだが、確かに巧い。カメラワークの凝り方やテンポの良さなど、本当に大したものだと感じた。ただ、素直じゃ無い私としては、演出の端々に、「ほら、巧いでしょう」的な嫌みを感じてしまったりもしたのである。



春と秋、どちらも外出に適した気候ですが、私には今のこの時期の方が圧倒的に好ましい。味覚や紅葉の美しさなど秋の良さは多々ありますが、何よりも、杉花粉が飛んでいないという一点で。