IN/OUT (2009.9.13)

近所のクリーニング屋が、持ち帰り用のポリ袋代として10円を取るという新方針を打ち出しました。エコって奴でしょう。悪いことじゃないんだけど、ポリ袋よりも、プラスチック製ハンガーの回収率を上げる工夫こそ必要なんじゃないかと愚考する今日この頃です。


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「Sintok シンガポール映画祭」09.9.13

シネマート六本木で開催されていたSintok シンガポール映画祭。一週間の期間中、9本のプログラムが上映されていたが、そのうち1本だけ、"Singapore Dreaming(美満人生)"を観に行くことができた。因みに、2007年の東京国際映画祭 アジアの風部門で、最優秀アジア映画賞を受賞した作品だそうだ。

映画館の入り口にはマーライオン。劇場扉の脇には、シンガポール航空のフライト・アテンダントの等身大立て看板(SQが、この映画祭に協力している。それにしても、この立て看、自宅に欲しい…)。普段は私には興味のない韓流映画上映に独自性を見せるシネマート六本木だが、今回はなかなか嬉しい内装なのである。

映画は、シンガポールの平凡な一家庭に起こる悲喜劇を描いた、辛口のホームドラマ。決して、シンガポール独自じゃない、万国共通の普遍性を持った物語が、的確な演出によって語られ、意外なほど見応えがある作品だ。その上で、あちこちに散りばめられた「シンガポール あるあるネタ」が楽しい。公団住宅(HDB)の暮らし。ウェット・マーケット。エレベーターの中に小便。教育ママ。パーキング・チケット。5C(Cash, Condo, Car, Credit card, Country club)。葬式の情景。臨月の腹を抱えて働く女性。そして、ヤームセーン!。

なお、映画の台詞は、シングリッシュ、マンダリン、福建語などが入り乱れた、まさに標準的なシンガポールの口語。字幕は、日本語の他に英語でも出るのだが、そこに表示されるEnglishと、劇中語られているSinglishが違うのが可笑しい(発音の訛りだけでなく、文法や言葉の使い方なども、英米人が使うEnglishとSinglishは違うのだ)。

さらに、映画上映後、主演女優、Yann Yann Yeo嬢(881 歌え! パパイヤ」のビッグ・パパイヤだった彼女だ!)と、Skypeで結んだQ&Aセッション。シンガポールの自宅でくつろいぐ主演女優と映画鑑賞直後の観客がTV電話で直接話せるって、考えてみると凄い映画祭だ。大スクリーンに映されるSkype画面の中のYann Yann嬢は、リラックスした感じで、劇中よりもさらにキュート。一方、観客は50人ほどだっただろうか。さすがに、こういうマイナー映画を見に来る人達だけに、シンガポールに関する知識も十分。中々、的を射た質問をする人が多かった。シナリオは全て英語で書かれていて、現場で監督と出演者が何語で台詞を喋るか話し合って決めたなど、興味深い話を聞くことができた。

ついでに映画館近くのルピシア・ボンマルシェで、シンガポール・チリ・ソースやマンゴプリンの特売を物色。たっぷりとシンガポール気分に浸ったのである



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"X-Men Origins: Wolverine"09.9.12

X-Menのスピンオフ企画を観てきた。

Hugh Jackman扮するWolverineを主人公に、X-Menの前日譚の映画化ということで、痛快能天気娯楽作を期待していたのだが、ちょっと想像とは違い、失望。

原作コミックや、映画 X-Men三部作の登場人物を巧みに物語に絡ませたり、三部作では語られなかったWolverineの様々な秘密が明かされる脚本は、さすがにハリウッド大作だけに手堅い。しかし、燃えるものがないのだ。

製作陣は、流行の「大人向けの深みのあるアメコミ映画化」を目指したらしい。兄弟の確執や愛する者の裏切りなど重い題材を盛り込んでいるのだが、既に、"The Dark Knight"と、"Watchmen"という、アメコミ映画化の極北とも言える次元にまで突入した作品が存在する今となっては、製作者の意図は空回りしただけだと思う。あの二作を越えるのは、よほどの狂気を抱え込まない限り、不可能だろう。

あと、露骨に続編を匂わすラストも、興醒めである。



新方針を知らず、小銭入れを持たずに引き取りにいったら、今回は10円をまけてもらい、クリーニング屋のおばちゃんへの好感度アップ。我ながら単純ですが…