IN/OUT (2008.8.10)

先週は、夏休み期間を潰してのシンガポール出張。

出張先自体は、以前、赴任していた所とは違うのですが、昔の部下・同僚達と昼食を共にすることもできました。やはり、メール・ベースで仕事をしている今のカウンター・パートよりも、6年以上、一緒に席を並べて働いていた昔の仲間といる方が、くつろげます。むしろ、直接の仕事関係がなくなった分、現在の同僚と食事するよりも、さらにリラックスできたかも。


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A380でシンガポールへ行く。08.8.4-7

外観シンガポールとの往復は、エアバス社の最新鋭・総二階建て大型ジェットA380。現在、シンガポール航空では5機のA380が、ロンドン・シドニー・成田、さらにオリンピック期間中は北京と、シンガポールを結ぶ路線で就航している。初飛行からある程度期間が経過したとはいえ、まだまだプレミア感が高く、機内はほぼ満席。同時間帯に飛んでいる他航空会社のフライトとは混み具合が全然違うみたいだ。

総二階建てと言っても、飛行機の場合、上下階、どちらに座っても、あまり大きな違いはない。極力通路側を取るようにしているので、なおさらだ。それでも、せっかくなので、行きのフライトは、メイン・デッキ(一階)、帰りのフライトはアッパー・デッキ(二階)を選んだ。シンガポール航空は、ウェブ・サイトを通じて48時間前からチェックインができ、座席指定が可能なので便利だ。なお、エコノミー席の配列は、メイン・デッキが3-4-3、アッパー・デッキが2-4-2となっている。

いざ、搭乗。機体前方のビジネス・クラスを横目で見ながら自分の席に向かう。噂のスイート・クラスを見ることはできなかったが、ビジネス・クラスでも、その席の広さは尋常じゃ無い。他社のファースト・クラス並と言っても良いぐらいだ。いつかは、上級クラスに乗ってみたいものだ。

エコノミー席の方は、所詮、エコノミーの広さではあるが、それでも、前後・左右とも、他のシンガポール航空の機材に比べて、少しずつ広いように感じる。もちろん、USエアウェイズやユナイテッドなんかよりは、はっきりと一回り広い。また、飛行中の機内の騒音が、大型ジェット機としては小さいのも、快適さを増している。

機内そして、驚くべきは機内エンターテインメント・システム、KrisWorldの進化ぶりだ(これはA380だけでなく、B777-300ERにも搭載されているらしい)。液晶画面は、座席背面を目一杯使った大型のワイド液晶。映画 109本、TV番組 181本、CD 740枚がオン・デマンドで選び放題。実際、膨大なCDライブラリから、マイ・プレイリストを作成するだけで相当の時間がかかる。さらに、エコノミーでも全席に電源、USBポート、ビデオ・インプットジャックが付いている。USBポートには、USBメモリ、デジタル・カメラ、iPODなどをつなげて、音楽ファイルの再生、画像ファイルの閲覧、PDFファイルの閲覧が可能。その上、表計算、ワード・プロセッサ、プレゼンテーション用ソフトまで利用可能(SUNのStarOfficeを使用)。試しに表計算ソフトを起動してみたが、レスポンスが遅く、リモコン裏面のQWERTY配列キーボードを用いる操作は快適とは言い難く、ノートPCの代用としてサクサク使うことは不可能だろう。それでも、ちょっとファイルの中身をチェックしたりする程度には使えそうだし、これだけの機能を詰め込んだ心意気が素晴らしい。なお、LAN用のコネクターも装備されているが、これはまだ機能していない。将来的には、さらなる進化があるのだろう。

もちろん、ハードだけでなく、ソフト面のサービスも、SQクオリティ。やはり、シンガポール航空、最強である。


"881"08.8.9

日本に戻るとすぐ、2007年のシンガポール最大のヒット作という、シンガポール国産映画を観てきた。タイトルの「881」は、パパイヤの語呂合わせ。邦題は、もう少し分かりやすく、「881 歌え! パパイヤ

シンガポールの旧暦の7月は、ちょうど日本のお盆のように、祖先の霊が現世に戻ってくる、Hungry Ghost Festivalの時期に当たる。この時、霊に楽しんでもらうために行われるのが、歌台(ゲータイ)というショーである。そのゲータイの歌手になることを夢みる二人の少女を主人公にしたのが、この映画だ。

物語は、ゲータイの女神に力を借りた主人公達=パパイヤ・シスターズの歌と踊りとキッチュな衣装。パパイヤ・シスターズを支える寡黙な青年との愛。ライバル、ドリアン・シスターズとの確執。家族との断絶。難病に冒される主人公など、様々な要素をてんこ盛りにし、脱力ギャグをまぶした感じ。チープな特撮と極彩色に彩られた画面はインド映画風でもあり、全編に流れる中華歌謡(少しテクノ風)の安っぽさも、好き者には堪らない。内容を詰め込んだ割には、人物描写の掘り下げが足りないのが残念だが、Royston Tan監督、映像的には、中々の手腕だ。

シンガポール在住中、Hungry Ghost Festivalの時期、町の雰囲気がちょっと変わるのは気づいていたが、ゲータイを生で見たことは無い。そんな私でも、とても理解しやすい世界が描かれているし、MediaCorp(シンガポールのTV局)制作のシット・コムのチープな笑いに馴染んだ身には、安心して笑える気安さが楽しい。ただし、日本で皆に受け入れられるかは、どうだろう?インド映画や香港映画が好きな人なら抵抗感は少ないとは思うが…

BigとLittle、二人のキュートな木瓜姐妹=パパイヤ・シスターズにすっかり感情移入して見ていると、ラストの、かなりベタな展開にも、見事に涙腺を刺激されてしまう。公開初日の一回目の上映に駆けつけたため、終映後、劇場外には、ぴあの人達がアンケートを採ろうと待ち構えていたのだが、こんな映画で涙ぐんでいるところを見られるのは恥ずかしいので、ダッシュで彼らを振り切ったのである。

なお、この映画はシンガポール政府観光局の肝煎で公開されていて、ユーロスペースでは先着80名に、カヤと「ドリたん(シンガポール政府観光局日本支局のマスコット」のイラスト付きクリアファイルのプレゼントが行われていた。今回の出張で、重いカヤの瓶をいくつかスーツケースに詰めて持って帰ったのだが、こういう形でさらに一瓶入手でき、それもまた、大変にありがたかったのである。



夏休みなのに昼間を会議で費やしたので、せめて夜は仕事抜きで、ということで、現地責任者の方のお誘いはお断りし、初日の夜はスーパーマーケットで、カヤなどの食材を調達。また、二日目は、別の用件で来ていた人をつかまえて、RafflesのLong Barでシンガポール・スリングをふるまったり、Chijmesで飲み直したりと、出張者御用達コースではなく、観光客コースを堪能。

今はまだ、観光名所や飲食店を効率よく案内できる自信があるのですが、私の観光ノウハウが通用するのもあとわずか。好景気のため、あちこちでビルが新築されているし、特に、カジノがオープンすると、シンガポールの観光地図は大きく塗り変わることになりそうです。