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SUICAのペンギンの卒業のニュースに、寂しさを覚えると同時に、古くは「E電」から、「高輪ゲートウェイ」の駅名まで、どうもJR東日本とは趣味が合わないなぁと思う、今日この頃です。
最近のIN
ニューデリーへ向かう特急寝台列車を舞台に、総勢40人の強盗団と、偶然乗り合わせた特殊部隊の兵士の死闘を描く、ヒンディー語映画を観てきた。邦題は「KILL 超覚醒」。なお、ハリウッドでのリメイクも決定しているそうだ。
上映時間は、インド映画にしては短い1時間45分だが、冒頭の導入部以外、ほぼ全て、暴力・殺人・人体損壊の連続。それでも前半は、主人公は真っ当な軍人らしい戦闘を繰り広げるのだが、後半、ある事がきっかけで「超覚醒」してからは、殺戮の限りを尽くすエグいことになる。当然、R15+指定である。なお、舞台となる列車も、欧米スパイ映画に出てくるオリエント急行のような優雅なコンパートメント車ではなく、インドの混雑した寝台列車。そして、一般的な娯楽映画だと最後まで生き残りそうな人にも容赦無い扱いが待っている。何とも荒々しいエネルギーに満ちた映画である。
ただ、復讐による暴力や殺人を安易に正当化するのは、決してよろしくは無い(というか、倫理的に問題があるだろう)。しかし、色々突き抜けすぎて、悪役の無惨な死に、つい快哉を叫んでしまう……。これぞ、インド映画パワー。
そして、インドらしい(?)のが、悪役の設定だ。欧米の娯楽映画にありがちな、高性能銃器で武装したテロリストではなく、親族一同で結成された、ファミリー強盗団。武器も、ナタやナイフなどプリミティヴな得物ばかり。物凄く凶悪なのに、垢抜けない間抜け感が漂ってしまう。
ということで、万人には勧めづらいが、インドのバイオレンス映画に耐性がある人には堪らない作品だ。それにしても、ハリウッドでリメイクするには、色々ポリコレ的修正が必要では無いかと余計な心配をしてしまうな。
東京都現代美術館の開館30周年を記念し、国内外で活動する幅広い世代のアーティスト約30名/組を紹介する大規模展を観てきた。タイトルの「コレオ」は、「コレオグラフィー」=「振付」のこと。公式サイトによれば、制度や慣習、社会的規範によって規定される言動と、そうした管理や統御に対する批評的な応答の両方を指すらしい。なんのこっちゃ? という感じであるが、果たして…
2フロアを使った展示の前半(1F)は、社会派のメッセージが込められた作品が多い。それも、正面から声高に主張するタイプで、いささか苦手なタイプ。
そんな中、異色だったのが、マレーシア生まれで、台湾を拠点に活動するFAMEMEのミクスト・メディア作品「THORNITURE」。ドリアンをモチーフに、蛍光色のヴィジュアルとヒップホップ音楽で、異空間を創出している。
地下2階のフロアには、興味深い展示が多い。特に、インドを拠点にするスタジオ CAMPの「Bombay Tilts Down(ボンベイは傾く)」。ボンベイの高層ビルに設置されたカメラを遠隔操作して撮影した1日の風景がマルチスクリーンに映し出される。朝靄の中の海、モダンな高層ビル。そして、視点は徐々に降下し、高層ビル群のすぐ隣に密集する住宅街(と言うか、屋根をブルーシートで覆ったぼろ家が並ぶ、ほぼスラム)。垂直方向に視点を動かすことで、まったく違う風景が広がるムンバイの様子を、巧みなカメラ操作と編集で提示する。この没入感は凄い。
また、やはりインドのアーティスト Shilpa Guptaのインスタレーション「Listening Air」も、印象深い。暗い室内の天井から、電灯とスピーカー(マイクを転用している)が吊され、ゆっくりと動いている。スピーカーからは様々な言語の音楽が流れ、床に立てられたスタンドには歌詞が印刷された紙。不思議に居心地の良い空間だ。
ということで、結局、「コレオ」については、良く分からないまま。展示されている作品も、私に深く刺さるものは素晴らしかったが、刺さらないものとの落差が激しかったかな。
東京都現代美術館ではもう一つ。ニューヨークを拠点に、パフォーマンス・アートや造形表現など分野を横断した活動を続けるアーティスト、笹本晃の約20年におよぶ仕事を紹介する展覧会も鑑賞。
展示は、彼女が制作した立体造形と、その中で彼女が行ったライヴ・パフォーマンスの映像が並列されるというパターンが多い。
例えば、「Wrong Happy Hour」。バー風の空間が作られ、その中で行った彼女のエキセントリックなパフォーマンスが隣のスクリーンで上映されている。
弘前れんが倉庫美術館に収められた「スピリッツの3乗」のような大規模インスタレーションもある。数学者を目指したこともあるという彼女の作品は、その裏に、難解な数学的概念が潜んでいるらしいのだが、その辺りは私の理解を超えている…
その一方で、床に開いた穴から、タンスが釣り上げられ、その穴に降りた笹本晃がトランポリンでピョンピョン跳びはねながらポエトリー・リーディングをする「random memo random」のような、訳が分からないのに癖になる映像もある。
いかにもな現代アート・パフォーマンスという感じの作品ばかりだが、「日常のコレオ」と同様、刺さるものと刺さらないものの差が大きいかな。また、ヴィデオ作品は、どれもたっぷりの尺を使っていて、オチまで観ていると、かなりの鑑賞時間を要してしまう。見終わると、お腹一杯、という感じだ。
氣志團が主催するフェスを観てきた。
2017年に観た時(山下達郎目当て)は、千葉県・袖ケ浦海浜公園での開催だったが、昨年から幕張メッセに会場を変更したそうだ。
今回の目当ては、「-真天地開闢集団-ジグザグ」。「千里ちゃんまつり Super Ultra Hyper Drum Summit」に出演したドラマーの影丸を見て興味を持ったのだが、彼らの単独ライヴに行く度胸は無いので、この機会を捉えた次第。
2日間開催の2日目。9時開場、10時30分開催だが、私は12時前に会場到着(DJダイノジ、ロバートの秋山竜次、ゴールデンボンバー、ジュースごくごく倶楽部を見逃したことになる)。到着後、まずは会場のレイアウトを確認。中央の休憩エリアを挟んで、大きめのメインステージ(YASSAI STAGE)と小さめのステージ(MOSSAI STAGE)で、交互にパフォーマンスがある。まずは、YASSAI STAGEへ(なお、どのステージでも、観客の圧と音圧を避けるべく、後ろの方に陣取る)。
アイナ・ジ・エンド
初めて観たが、堂々たるステージ捌き。正統進化を遂げた歌謡ロック女声ヴォーカリストという感じだ。尖っているようで、無理はせず、親しみやすさも両立させているところが、令和仕様。中々、好印象。因みに、このフェスでは、パフォーマンス開始前に、綾小路翔がアーティストを紹介するヴィデオが流れるのだが、彼が、ママ・ジ・エンド(アイナ・ジ・エンドの母親)を接待する様子に、ほっこり。
途中、氣志團万博ということで、「One Night Carnival」をカヴァーしたのだが、サプライズで氣志團の皆さんもステージに登場。可愛がられているなぁ(そして、氣志團の面倒見の良さよ)。
レキシ
裏では、超ときめき宣伝部がパフォーマンスしているのだが、そのまま、YASSAI STAGEに残る。レキシのサウンド・チェック中、ステージ脇のスクリーンにMOSSAI STAGEでアイドルが飛び跳ねている様子が映るのは、中々、シュールだ。
いきなり、鉄板曲、「きらきら武士」からスタート。そこから、息もつかせぬレキシ・ワールド。「ナウシカ」あり、ここでも「One Nigh Carnival」あり、イルカが会場を跳ね、きらきら光る稲穂が揺れる。そして「ultra soul」で一体感を煽る。見事なまでのエンターテイナー。もちろん、楽曲とパフォーマンスのクオリティの高さがあってこその盛り上がり。ラストは当然「狩りから稲作へ」。つくづく、良い曲だ。
君島大空 合奏形態
MOSSAI STAGEへ移動。シンガーソングライター 君島大空のバンド形式でのパフォーマンス。初見だが、変化球っぽい爆音ロック。かなり幅広く複雑な音楽性の持ち主のようだ。嫌いじゃ無いのだが、私には音圧が高すぎで、ステージには近づけず。彼も「One Nigh Carnival」を披露。氣志團、愛されてるな
BUCK∞TICK
再び、YASSAI STAGEへ。ヴォーカリスト 櫻井敦司の逝去後も残ったメンバーで活動を続ける結成40年のベテラン・バンドだが、今時の音に、ちゃんとヴァージョン・アップし続けているのが流石。インディーズ時代から知っていて、バンドとしての佇まいには好感は持っているのだが、イマイチ、私には刺さりきらないかな。
-真天地開闢集団-ジグザグ
ネットで仕入れた予備知識だと、ライヴの事を「禊」と呼んだり、ヴォーカルの命-mikoto-は、愚かなる者に救いを差し伸べるために転生を繰り返していると主張するなど、変テコな設定が目立ち、ビジュアル系を自らパロディ化しているようだ。そんな彼らだけに、登場直後は、ぎこちなくウケを狙うような寒さも感じたのだが、なかなかどうして、楽曲はキャッチーで、メンバー全員、演奏スキルも高い。特に、気になっていた影丸は、菅沼孝三ドラム道場で川口千里の兄弟子にあたるだけに、基礎のしっかりしたテクニカルなドラムスを炸裂させている。この実力なら、変な設定は要らないと思うのだが(まぁ、氣志團自体もそうだし、万博の出演者、レキシや聖飢魔IIなどもそうだな)…。熱心なファンが多く、お揃いの振り付けやヘドバンで盛り上がっている。やはり、彼らの単独ライヴは、ハードルが高そうで、このフェスで観て正解だった。
なお、開演前の紹介ヴィデオでは、その設定が適当に揺らいでいることで、綾小路翔から「あやふや集団」とイジられていたが、本人達も気に入ったようで、このライヴ中は「あやふや集団 - ジグザグ」で通していた。
この後まだまだ、Dragon Ash、私立恵比寿中学、NEWS、RIP SLYME、氣志團と、有名アーティストが続くのだが、私はここで離脱。
滞在時間5時間ほどではあったが、久しぶりのフェスらしいフェスへの参戦だった。足腰は疲れるし、ライヴ用耳栓を持っていくのを忘れたのは痛かったが、たまには、こういう場に身を置くこと、大事だよなと思ったのである。
JRと言えば、民営化の際、地域別に分割したこと自体、何だかなぁという気もします。「えきねっと」(恐ろしく使い勝手が悪いと思う)と、「スマートEX」(こっちの方がマシかな)の使い分けとか、結局、利用者に不便を掛けているだけのような…。 |