いきなり、今後の経済や外交がどうなるのか全く読めなくなる混乱の中、新年度がスタートしました。
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19世紀イギリスの画家、Aubrey Beardsleyの個展を観に、三菱一号館美術館に行ってきた。
1872年生まれの彼は、若くして注目され、1892-93年にThomas Maloryの「Le Morte d'Arthur(アーサー王の死)」、1894年にOscar Wildeの「Salomé」の英訳本(元々はフランス語で執筆された作品)の挿絵に起用される。しかし、1895年、Oscar Wildeが同性愛によって逮捕された余波で職を失う(Beardsley自身は、同性愛とは無縁なのに…)。その後、再起はするが、結核のため1898年、25歳で死去。その間、1000点以上の作品を残したそうだが、この展覧会は、挿絵や素描、彩色されたポスターや同時代の装飾など、218点の展示物で、その全貌を俯瞰する。
大胆な白黒の平面と細密な線描で描かれた淫靡な画像は、魔夜峰央の漫画を想起させる(実際、魔夜峰央はBeardsleyの影響を公言している)。パタリロ好きの私としては、嬉しい。ただ、今では、こういうタイプの意匠は消費されつくした感もあり、新鮮な驚きは無い。
しかし、この展覧会の優れているのは、工夫を凝らした展示空間だ。Beardsleyに影響を与えた同時代の画家の作品や、当時のインテリアなども展示。さらに、展示室の内装にもこだわりがあって、ただでさえ趣のある三菱一号館美術館が、彼が活躍した時代のロンドンのような雰囲気になっている。この空間自体を楽しむ展覧会だと思う。
Guy Ritchie監督の新作を観てきた。第二次世界大戦中、英国で結成された”SOE = Special Operations Executive”(特殊作戦執行部。非合法の諜報活動等を展開していた)を描いた作品で、邦題は「アンジェトルメン」。
破天荒な主人公達の活躍と、徹底した悪役のナチス。シンプルなストーリーを疾走させるGuy Ritchie監督らしいテンポの良い演出と、アクの強い音楽。今時、珍しいほど、何の捻りも無い、ただただ痛快活劇。この突き抜け具合、お見事!
なお、SOEは実在の組織で、タイトルの"The Ministry of Ungentlemanly Warfare(「非紳士的戦争省」)"は、当時、実際に使われていた俗称。この映画も、事実に基づいた作品という事になっていて、007の作者 Ian Fleming(実際、海外情報部に所属していた)と、SOEのメンバーで007のモデルとなったと言われるGus March-Phillippsが登場する。リアルとフィクションの境目が曖昧なところも楽しい。
読めないと言えば、今年の新入社員のような若い人達についても、昭和世代にとっては難しい。いよいよ、時代について行くのが難しくなったと実感してしまう、今日この頃です。 |