IN/OUT (2025.3.9)

今週も、気温の高低が極端に変わる日々が続きつつ、陽射しは確実に春のものになっていますね。


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「野宮真貴 Birthday Live 2025 ~ニュー・ウェイヴを歌う~」@ ビルボードライブ東京25.3.7

ビルボードライブ東京野宮真貴のライヴを観に、ビルボードライブ東京に行ってきた。

ピチカート・ファイヴのヴォーカリストや、「渋谷系の女王」としての彼女をそれほど熱心に聞いていた訳では無いが、今回は、ニュー・ウェイヴがテーマ。
「“トンガリキッズ”だった私を皆さんに披露したい」
という彼女自身のコメントで、一気に興味が沸いたところに、ゲストに立花ハジメが出演するという。これは、行かねばなるまい。

メンバーは
・野宮真貴(Vo
・堀江博久(Key
・永井聖一(Gt
・白根賢一(Dr
・高桑圭(Ba
ゲストとして
・立花ハジメ
・小山田圭吾
高橋幸宏系の人脈と言えそうなバンドで、期待大!

開演前に場内に流れていたのは、ドイツのニュー・ウェイブ姉妹”Humpe Humpe”。このマニアックなチョイスから、既にワクワクしてくる。なお、集まった観客は、年齢層高めだが、お洒落度も高めの人が多い。さすが、野宮真貴ファンの皆様だ。

1曲目、野宮真貴はモノトーン水玉衣装で、私が大好きなStrawberry Switchbladeの「Since Yesterday」。これは嬉しい。そして、ポータブル・ロックの「アイドル」。

続いて、メドレーで、彼女のデビュー曲「女ともだち」(作曲は鈴木慶一)~ジューシィ・フルーツの「ジェニーはご機嫌ななめ」~矢野顕子の「春咲小紅」。特に、「春咲小紅」は、ユキヒロを彷彿とさせる白根賢一のドラムスに感涙。

そして、シーナ&ザ・ロケッツの「ユー・メイ・ドリーム」。この曲の紹介で、YMOに言及するところが、野宮真貴、さすがである。

ゲストの立花ハジメ登場。まずは、野宮真貴がお色直しで退場中に、1曲。そして、佐藤チカの衣装を完コピしたファッションに身を包んだ野宮真貴と共にプラスチックスの「good」。完璧だ! さらに、もう一人のゲスト、小山田圭吾も登場し、「PEACE」。プラスチックスの楽曲のクオリティの高さを再認識。そして、ステージを縦横無尽に駆け回り、好き放題にプレイするハジメちゃん、カッコ良し。

ここで、立花ハジメは退場。そして、小山田圭吾と共にYMOの「Cue」。YMOのカヴァーを演るには無双とも言えるメンバーでのパフォーマンス、熱い!

小山田圭吾が退場し、終盤はピチカート・ファイヴの楽曲「テレパシー」、「ゴー・ゴー・ダンサー」。そして、本編ラストは、矢野顕子の「東京は夜の7時」をイントロに歌ってからの、ピチカート・ファイヴの「東京は夜の7時」(このアレンジは、2019年の「Yellow Magic Chidren」でも聴いた。あの時も、白根賢一のドラムスに驚いたのだった)。このタイミングで、ステージ後方のカーテンが上がり、東京の夜景が見える。完璧な演出だ。

ビルボードライブ東京アンコール1曲目は、撮影可。ピチカート・ファイヴの「トゥイギー・トゥイギー」を、Sex Pistolsをブレンドしたアレンジで。そして、最後は「三月生まれ」で全編終了。

もう、信じられないくらい、私好みの嬉しいセットリスト。バンドもゲストの2人も、見事な演奏。そして、存在感有りまくりの野宮真貴のパフォーマンス。超絶楽しいライヴだった!!


”Tatami”25.3.1

ヒューマントラストシネマ有楽町柔道世界選手権を舞台にした、米国・ジョージア合作映画を観てきた。"Holy Spider「聖地には蜘蛛が巣を張る」)"のZar Amir Ebrahimiがコーチ役で出演すると同時に、イスラエル出身のGuy Nattivと共同監督を務めている。

ジョージアで開催されている柔道世界選手権。イランの女子選手が勝ち進み、決勝戦でイスラエルの選手と対戦する可能性が出てくる。ここでイラン政府は、敵対国イスラエルとの対戦はまかり成らんとして、棄権を指示する。しかし、イラン選手の戦う意思は固い。家族を拉致してまで脅迫してくる国家権力を前に、選手とコーチの選択は……。というお話。

理不尽に個人の自由を抑圧する国家権力の恐ろしさと、それと対峙する人達のドラマが、ヒリヒリするサスペンスで迫ってくる。映画制作には、イランとイスラエルにルーツを持つスタッフが集まったが、そのうち、イラン出身者は全員亡命。完成した映画はイランでは上映不可となっているという事実も重い。が、それだけでなく、スポーツ映画として、柔道の試合自体が熱く描かれているのが見事。モノクロ映画だが、それもまた、ストイックな緊迫感を増幅している。

ただ、柔道を題材にし、タイトルも「タタミ」なのに、日本の存在感がゼロ。劇中、出場選手にも運営スタッフにも、日本人が出てこないのだ。これが、製作陣に日本に関する知識が無かっただけなのか、こうしたセンシティブなテーマでは日本の出る幕が無いと思われたのか…。ちょっと残念。

スポーツへの国家の介入というのは、1936年のナチスドイツ主催のベルリン・オリンピックや、1980年のモスクワ・オリンピックの西側諸国のボイコットなど、昔からある話ではある。しかし、個人の自由と尊厳を大切にする民主主義国家と、特定の思想や宗教、あるいは指導者への崇拝が、個人の自由より優先する強権国家が対立し、日・米・欧は前者であるという、これまで常識と思ってきた世界認識が揺らぎ始めている今こそ、観るべき映画だと思う。


「evala 現われる場 消滅する像」@ NTTインターコミュニケーション・センター25.2.24

NTTインターコミュニケーション・センター新たな聴覚体験を創出するプロジェクト「See by Your Ears」を主宰するサウンド・アーティスト evalaの現時点における集大成となる展覧会を観に、東京オペラシティタワーにある、ICC(NTTインターコミュニケーション・センター )に行ってきた。

NTTインターコミュニケーション・センター音が主役の展覧会。場内に入ってすぐのインスタレーション「Sprout “fizz”」は、床と壁に、様々な形状のスピーカーが、発芽=sproutしているが如く配置され、音を発している。鑑賞者は、その中を自由に歩き回り、自然音を編集したような音に身を委ねるという趣向。

その他、巨大な吸音材で作られた歪な形状の構造物に身を委ね、音響を浴びる作品や、平面スピーカーの技術を使い、音響データを独自のアルゴリズムによって視覚化した抽象画が音を発する作品、リアルタイムかつマルチチャンネルで「evalaのような音」をAIが生成し続ける空間などなど。興味深いコンセプトで設計された音響空間を構築したインスタレーションが6点。刺激的な展覧会だ。

ただ、肝心の音については、音色への拘りという点で、東京都現代美術館の坂本龍一の展示には及ばないというのが個人的な印象だ。また、あくまでも「音」が主役なので、どの展示室も極めて照明が暗く、歩くのが怖いのも、私には減点ポイント。

実は、展示にはあと2点の作品があり、それに一番関心があったのだ。それは、音の反響のない、完全に密閉された「無響室」で、一人ずつ体験するというもの。当然、鑑賞できる人数に限りがあり、オンライン予約開始と同時にチャレンジしたが、チケット取得ならず。これが心残りである。



シティポップも良いけど、やはり、私はニュー・ウェイヴが好きだと実感した今日この頃。それにしても、40年以上経っても「ニュー」のままというのも、言ったもん勝ち、という感じがあります(映画の”ヌーベルバーグ”もそうですね)。