IN/OUT (2022.11.13)

皆既月食11月8日は、ちょうど会社帰りの時間に皆既月食。道行く人達が、皆、スマホ片手に夜空を見上げているのは、なんとも平和な雰囲気です。

せっかくなので、私も撮影してみましたが、手持ちでさっと撮るだけでは綺麗な写真にはならず。まぁ、所詮スマートフォンだからと思っていましたが、後で調べてみると、我がスマホには、「天体写真モード」が搭載されていました。次の機会があれば、三脚を持ち出して、機能をフルに引き出した星空撮影をしてみたいものです。


in最近のIN

"Don't Worry Darling"22.11.11

Midsommar”で強烈な印象を残したFlorence Pugh主演の映画を観てきた。

舞台は、1950年代風の建物・インテリア・ファッションが溢れる住宅地(本当に1950年代なのかは定かでは無い)。そこの住民達は皆、男達は同じ勤務先に出勤し(具体的にどんな仕事なのかは定かでは無い)、専業主婦の妻達は、昼間はバレエのレッスンに通い、夜は、毎晩のように開かれる賑やかなパーティーに夫婦で出席。Florence Pughも、夫と共に、この何不自由ない豊かな暮らしを満喫している。しかし、あまりにも絵に描いたような完璧さに、観客は、どこか非現実感を覚えることになる。そして、Florence Pughの身辺に、微妙に現実が揺らぐような出来事が起こり始める。物語は奇妙な方向に転がり出す。

正直、オチは想定の範囲内。手垢の付いた設定とも言える。むしろ、観るべきは俳優陣の熱演・怪演だ。Harry Styles(One Directionのメンバー)が演じる、妻を愛するイケメン夫が、どこかいけ好かない印象を与えるところなど、巧みだなぁと思う。もちろん、Florence Pughの表情豊かな演技は見応えあり。と言うか、この人、”Midsommar”同様、本作でも、とんでもない地獄巡りをする羽目になる。つくづく、癖のある作品で酷い目に遭うのがピッタリくる俳優だ。ご本人もそういう役を進んで選んでいるような節もある。典型的な美人というより、存在感が印象に残る人だ。彼女の出演作は、積極的に鑑賞していきたいと思うのである。


"Black Panther: Wakanda Forever"22.11.12

Marvel Cinematic Universe(MCU)の最新作にして、フェーズ4の最終作、そして、”Black Panther”の続編に当たる作品を観てきた。

前作の主人公、Chadwick Bosemanが、2020年、ガンのため43歳の若さで逝去。果たして、どのように物語をつなげるのか不安ではあった。シリーズ作にありがちなパターンで、まったく別の俳優が、しれっとBlack Pantherに扮するのではないかと危惧していたのだ。しかし、それは全くの杞憂だった。本作は、Chadwick Bosemanが演じていたT'Challa = Black Pantherが亡くなるところから始まり、映画の隅々に、Chadwick Bosemanへのリスペクトが溢れているのだ。冒頭から目頭が熱くなる。こういう誠意あるところも、MCUが高い人気を維持している所以だろう。

物語は、MCUらしく手堅くまとまっている。前作からのつながりも見事だし、緩急の付け方も上手い。ただ、映画的な興奮という点では、やや弱い気がする。やはり、この作品はChadwick Bosemanに捧げた作品としての輝きに尽きる。

次々と風呂敷を拡げ続けるMCU。今回も、さらに新しい勢力が登場しているし、最近は、劇場公開映画以外に配信作が増えていて、余程のマニアで無ければついていけなくなっていると思う。今のところ、どの配信サービスとも契約していない私には、面白くない展開ではある。ただ、その一方で、初心者やライト・ファンでも楽しめるように配慮されているのがMCU。この作品でも、MCUの過去作について、知っていれば知っているだけ面白くなるのは当然だが、単体の映画としても十分に成立していると思う。つくづく、Kevin Feigeのプロデュースの巧みさに感嘆する。


「挾間美帆 & デンマークラジオ・ビッグバンド」 @ 豊島区立芸術文化劇場 東京建物 Brillia HALL22.11.13

東京建物 Brillia HALLジャズの作編曲家・挾間美帆が、2019年から首席指揮者を務めるデンマークのビッグバンド、デンマークラジオ・ビッグバンド(DRBB)を率いて敢行する日本ツアーの池袋公演を観に、東京建物 Brillia HALLに行ってきた。

DRBBは、1964年に設立された、デンマークの国営放送局が運営するビッグバンド。ヨーロッパでは、公共放送局が、クラシックのオーケストラだけでなく、ジャズのビッグバンドを持つことも多いそうだ。今回の来日メンバーは、トランペット・セクション 5名。トロンボーン・セクション 5名。サックス・セクション 5名。ドラムス、ベース、ギター、ピアノ 各1名。そして、指揮者である挾間美帆。

演奏曲は、昨年発売されたMiho Hazama featuring Danish Radio Big Band名義のアルバム"Imaginary Visions"(本当は、この発売に合わせて、昨年、来日ツアーを行う予定が、コロナ禍で今年になったのだ)の収録曲と、DRBBの長い歴史の中で演奏されてきた楽曲とが混じる構成。中には、2010年にThe Rolling StonesのCharlie Watts(ジャズ好きとして有名)とDanish Radio Big Bandが共演したライヴ・アルバム(デンマークでは国営放送でオンエアされたそうだ)収録曲もある。

私には、技術的なところは分からないが、5本のトランペットの音が重なる迫力など、さすがビッグバンド。しかし、アメリカではない、ヨーロッパらしい捻りも感じられる。The Glenn Miller Orchestraの演奏でお馴染み ”Sing, Sing, Sing”も披露されたのだが、挾間美帆がMCで「一風、不思議なアレンジ」と語っていた通り、確かに、能天気に踊れるとは言えない捻くれた感じがある。このアレンジは、挾間美帆ではなく、DRBBの前首席指揮者 Jim McNeelyによるもの。こういう歴史的厚みが、流石である。

途中、休憩を挟んで2時間弱。見事なアンサンブルと、それぞれのソリストのテクニック、そして、挾間美帆の才気溢れる指揮を堪能。

そして、アンコール。演奏を始める合図をする挾間美帆。しかし、バンドが演奏したのは、”Happy Birthday to You”。ちょうど、この日が彼女の誕生日なのだ。そこに、花束を抱えた豊島区区長が登場。金のふくろうバッジをプレゼント(池袋での公演ということで、挾間美帆は、元々、銀のくろうバッジを身につけていた)。楽しいサプライズの後、”Imaginary Visions”収録の”Mimi's March”で全編終了。とても良い雰囲気のライヴだった。



挾間美帆の公演チケットは、いわゆるスマートチケットだったのですが、ダウンロードしたのは旧いスマホを使っていた時期。ダウンロード後に機種変更すると、チケットが消滅してしまうということも知りませんでした。前日に気がついて、慌ててe+に電話して再配信してもらうことができましたが、スマホにまつわるあれこれ、知らないままの事が多いのだろうなぁと思う今日この頃です。